存在のない子供たちの作品情報・感想・評価・動画配信

「存在のない子供たち」に投稿された感想・評価

ちゅう

ちゅうの感想・評価

4.9
生まれてくるってなんなんだろう。

たくましいだなんて言葉は、この荒廃した混沌とした世界では空虚でしかない。

底のない泥濘の中に、身動きも取れずに沈み込んでいくような感覚...


ただ弱肉強食の世界が広がっていて、弱いものは食い物にされるだけ。
人が人として扱われる、なんてことがあるはずのない世界で生きていく子供たち。
法的にも記録されず、時には世間からも隠されている、存在のない子供たち。


こんな世界で暮らしているのに、ゼインはとても優しい。
まだ11、12歳だというのに人間としての尊厳を持っている。
墜ちていかない強さがある。 


"人から尊敬される大人になりたかった"
"毎日が地獄だ"

グズグズに崩れさっている社会に対する悲痛な叫びだ。

"胸にナイフが刺さってるようだ"
"人の心がないのか"

生き抜くために麻痺してしまった人々に対する怒りの咆哮だ。

"もう子供を作らないで欲しい"

そう言わずにはいられない現実がここにある。


最後のゼインの笑顔が僕の胸にナイフのように突き刺さっている。

素晴らしい作品だった。
WOWOW 記録
cov

covの感想・評価

4.6
くーーーーーーってなるわー❕

「ぼくを産んだ罪」で両親を訴えるなんて……。中島みゆきの誕生を聴いてよってなる。舞台はレバノンの貧困地区。シリア難民にエチオピアなどからの不法移民、そして出生記録のないレバノンの子どもたち。自分の歳すらわからない少年が、貧困の闇の中で人生に対する希望を失わない姿。態度というか行動にぐっときた。

memo
レバノンの隣国はシリアとイスラエル。人口約600万人の小国なのに約150万人の難民を抱えていて、主演のゼインくん自身、シリア難民だったそう。
この作品に感心するくらいであれば、是枝裕和『誰も知らない』を再評価すべきではないか。映画作品の出来としても社会的なテーマとしても、あきらかに是枝作品のほうが深く描けているように思います。
Kosaku

Kosakuの感想・評価

4.8

子供を授かる責任は
今も国を超えて問われている

愛を注がれなかった少年が
目一杯の愛を注ぐ
gatty

gattyの感想・評価

4.3
深く心を揺さぶられる作品だった。自分を産んだ両親を訴える。強烈なメッセージがいろんな場面から伝わってきた。子どもたちのリアルに近い演技に感心。貧しくも、主人公ゼインの優しくて純粋でブレない心が印象的だった。
『誰も知らない』の柳楽優弥を思い出した。
生まれてくる環境によって大変な思いをしている人が、世界中にたくさんいるんだろうと複雑な気持ちになった。

このレビューはネタバレを含みます

両親が出生届を出さなかったため法的に社会に存在しない少年ゼインが家を飛び出し生きる話。
子供が親を訴える話って聞いてたから裁判がメインの話かと思ってたけど、そこに至るまでの話なのね。思っていたのとはちょっと違っていたけどいい映画だった。貧しい国で苦しい生活をしている子供達を助けるにはどうすればいいか、という疑問に対して多くの人が思っているであろうけどなかなか口にする事ができない「世話ができないなら産むな」を真正面から言うとは思わなかった。もちろん根本的な解決ではないんだけど本当にその通りなんだよ…。ゼインの両親も悪人ってわけではないと思うんだけど、考え方がそもそも違うんだよな。生まれてくる子供本人の気持ちをちゃんと考えなくては。ゼインにヨナスを育てさせる事によってよりその言葉に重みが出てくる。ゼインよく頑張ったよ。最後の笑顔に少し救われる。ゼイン役の子が役者ではなく本当にスラムで暮らしていた子供って知って驚いた。他のキャスティングもほぼ映画と同じような境遇の人らしい。みんな演技に魂こもりすぎでしょ。しかしヨナスはいったい何処から見つけてきたんだ。重い内容の映画だけどヨナスの可愛さはいい癒しになっていた。個人的に助演男優賞を授けたい。
役者たちのリアル感が半端ない。
監督の演出の巧さもあるだろうけど、主演の子はどこかの国の主演男優賞あげてもいいんじゃないだろうか?
主演賞に子供がはじかれがちという事実は、映画賞が変わる余地のあるところだなあと思った。
実際の難民の子供らしいけど、そんなことを超越した説得力がありましたよ。

宗教観や文化の違いを飛び越えて、貧困やネグレクトの問題はどの人種にも刺さるものがある。

価値観の違い過ぎる中東の問題は考えさせられはするけど他人事であるのも事実。
よその国の人にも切実に思わせるだけの感情移入させるドラマが、多くの人に届きやすいものになってるのが映画のいいところだと思います。

伏線の張り方や何気ない演出などはとても映画的に堪能できるものだし、非常に見ごたえがあって、感情移入させる作りがとても巧かった。

ドキュメンタリックでありつつもまずは映画的であって、レバノン情勢や移民問題は観終わったあとに考える理想的な形の社会派ドラマ。
Yudai

Yudaiの感想・評価

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2021
49本目
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