ワンダーランドの作品情報・感想・評価

「ワンダーランド」に投稿された感想・評価

クリスマスのハートウォーミングドラマという宣伝コピーに牽かれてフィンランドの映画を観ました。

クリスマスなのに全然夢物語ではなく、厳しい現実に向き合わなければならない生々しくリアルなお話でした。

中年の恋愛や夫婦喧嘩、理想を追い求めストイック過ぎる若夫婦。異なる世代観の描写が面白かったです。これは万国共通にみえました。

映画というよりテレビドラマっぽく感じました。
kyoko

kyokoの感想・評価

3.1
フィンランド映画祭④

若い女に旦那を取られた49歳の女が、ひとりで鬱々としてるならいつもと違うクリスマスを過ごそうぜ!と友人に誘われ、民宿を営む有機野菜農家を訪れる。
そこにいた先客の男、農家の夫婦(&娘)との交流を描いたお話。
HPの作品紹介には「ハートウォーミングなストーリー」とあったけれど、うーん、あんまりウォームはしないかな。独身の友人と娘ちゃんとのやりとりはさりげなくて好きだった。

49歳と言えばまだまだ恋愛もしたいだろうけれども……もやっとするラストに、ますますフィンランドにおける「ハートウォーミング」の定義が分からなくなった。

かたやいかにも人なつっこそうな農家の男と育児に疲れたあまり社交的とは言えない嫁。
母親に向かない自分と向きあわされる娘に対して申し訳ないと思う、あの閉塞的な環境での葛藤は見ていてしんどかった。
男の鈍感さ(&不器用)が最初は良かったんだろうけどねえ。
あんなに「排卵日」を口にする男はイヤだ(笑)
でも嫁のあのおこないはいかん。

理想と現実がどんどん乖離していく、この関係がいかにも現代の夫婦という感じ。
大人カップルよりは感情移入できた。
実は夫はネクラだったというのもツボ。

娘ちゃんセレクトの音楽が最高だった。
Soseki

Sosekiの感想・評価

3.6
主人公は49歳の専業主婦女性。夫が浮気して家を出て間もなく1年(未練タラタラ)、一人娘はポルトガル、初めてクリスマスを一人で迎えることになる。
そのシチュエーションに耐えきれず、親友の女性と二人で旅に出る。若い農家の夫婦が営む民宿に滞在することになり、宿主の若夫婦と娘、宿泊客の中年男と交流する…という話。

メインは主人公の恋愛で、中年男と元夫で揺れ動くのだが…こちらはまあ好きにすれば、という感じ。

むしろビーガンで自給自足の生活に憧れてニワカ農家になったけど、すべてが上手くいかなくて、疲れてしまっている若夫婦の危機の方が興味深かった。子育てに疲れたママあるある満載。主人公が中年の保守的な価値観を押し付けて妻の方を苦しませるのもあるある。

フィンランドの冬、サウナでおしゃべり、娘の音楽センス(カウリスマキのよう!)、そして割と笑える会話が多くて、最後まで退屈はしなかった。
銀座シネスイッチで上映してそーーー!!!
見える......!マダム達が劇場に足を運ぶ姿がわたしには見えるぞ...!!!

そんな感じでポスターの可愛いビジュアルとは程遠く、かなり大人の恋愛映画だった。
ただね、この大人の恋愛は中身スッカスカ。
男も女も寂しいから、自分と同じように孤独な異性を見つけてセックスしてからの恋愛心が芽生える感じ。
そこから本気の恋になればいいけど、この2人にはそんな風になるようには思えなかった。
特に主人公は数ヶ月したら「悲恋」として記憶をアップデートしそう。


一般公開は無さそうだから、ここからはガッツリネタバレレビュー。
文句だらけのネタバレレビュー。



何一つ理解できなかったのは、
主人公が民宿夫婦の奥さんの軽い浮気をその夫に密告したこと。
いるよねー、余計なことを言っちゃう人。
でもこういうのって、脇キャラがやっちゃうパターンじゃないか?
脇キャラが余計なことを言って、主人公カップルに暗雲を立ち込めるパターン。
なんでそれを主人公がやったんだよ!!!
しかも、50歳近くで人生の酸いも甘いも知ってる女性がなんで言っちゃうかなー、、。
自分は宿で知り合った男とセックスしまくってることを元旦那に隠してるくせに、人の秘密ごとは言うとかアホかと。
だったらあんたも元旦那に「私はセックスしてました」って言えやー!!
自分が都合悪くなることは隠してるくせに、他人が隠したいことをベラベラ言う主人公に何も共感出来なかった。
イライラ。
いち麦

いち麦の感想・評価

5.0
フィンランド映画祭2018。俄か農家になった夫婦家族と、クリスマスをそこで過ごすためにやってきた寂しがり屋達の交流。人間関係の崩壊と再生を赤裸々に描いた、温もりと激しさの入り混じった味わい深いドラマ。劇伴も好み。
marrikuri

marrikuriの感想・評価

2.9
大して必然性もなく熟年たちがすぐセックス。若者たちはキス&ゲロ。こんな汚らしいクリスマス映画にお金払うぐらいなら、12月までにシュトーレンを一本でも多く買い込んだ方が有意義。
さも繊細そうに「心情」をばらまいておきながら、めんどくさいことはすべて「男女を出会わせて触れ合わせれば、解決」の姿勢。それだけだと大人の鑑賞にはやっぱり堪えないから、繊細描写に再び立脚? だけど、ダサい。TVドラマ的。
せめてもっと精神性を高くした上で、ここぞという時にだけスキンシップへと昇るのがいい。セックスする/しない、を年齢重ねてなおストーリーの主要道具にするのは安易。
ぶよぶよした裸。後朝(きぬぎぬ)を表現するヒゲづら。美的じゃないそれらは、もちろん計算内なんだろう。しかし、白人の中年女性を結局の自我のカタマリとして(しかも最低限、首から上だけでも美しく艶かしく現役的に)描こうとすれば、すぐイザベル・ユペール風になる。そこんとこの欧州人たちの没個性というか、、、、、。
恋愛物好きの中・台・韓(ついでに日?)なんかが醜さありのこういう男女図にシャレ感を纏(まと)わせれば、意外とTVっぽくはならずちゃんと映画的になる場合もあるんだが、なぜここにはロマンもリアリティーもない?
設定が悪いから。

そう、各、設定が悪い! それを脚本全体の強引さと“演技のムダな巧さ”が助長してる。「客を迎えるくせに民宿のホスト側(特に若妻)が最初っから精神不安定」なのも、「宿泊客の一人の独身初老男が、最初っからもう“そういう役割”の予定感を出してる」のも「今時、田舎暮らしを始めた程度のことで肩肘張ってる若夫婦」も、全部ベタ。つまりリアルさの中にそもそも活(い)きてない。何よりも、「孤独なクリスマスを五十路の女が厭いまくり、癇癪まで起こす」という物語の出発点自体が軽々しい。離婚はそりゃハードなイベントだろうけども。。。。
まずは耐えなよ、もっとひどい孤独に。みんなそれぐらいやってる。
画に全然そぐわない音楽を当てつづけて何か新しさを出そうとしてるのも、痛い。終盤の民族音楽的部分はべつにいいけど。
あと、親友に内緒でハムを食べるのも、ストーリー上は素敵なのだけれどすごく感じ悪かった。(存在感乏しいその親友以外)厭な人ばかりの映画だった。
土岐美佳って人が訳した字幕も、気に入らない。民宿ホストの若夫婦が年配客たちと終始タメグチで、そういうのは日本人の感覚と懸け離れてるのに、「女子会」とか平気で今風ワードを使用。

以上、ボロクソ書いたわりにはさほど低からぬスコア。脚本の特に後半にグイグイ引っ張る気概と工夫が感じられたのと、雪の針葉樹林が眼福だったので。国は違うが先日すばらしすぎるムンク展に行ったので北欧加点で。

[ユーロスペース “フィンランド映画祭2018”]

このレビューはネタバレを含みます

@フィンランド映画祭2018@ユーロスペース

まもなく50歳というヒロインは、夫が年若い女と暮らすために出て行き、娘は遠くポルトガルにいるので、クリスマス休暇を初めてひとりで過ごすことに。長年の親友にその淋しさ、惨めさをグチったら、彼女は急遽、農場での民泊というクリスマス・プランを見つけてきて、一緒に菜食主義者のカップルが自給自足を目指して移住したという片田舎の農家へ。そこで出会ったのがやはり、クリスマスをひとりで過ごしたくないとやって来たいささかクタビレた中年男。

さりながらこのオトコ、ギコチナイながらもけっこう果敢にヒロインにアプローチ、初めはトンデモナイという顔をしていたヒロインも、エイ!とばかりにベッドイン。「一夜限りの関係よ」と言っていたくせに、翌日も昼間からふたりでベッドでいい感じ(笑)。

シングルの親友は昔からそちらの方はお盛んというタイプで、思いがけないヒロインの行動に対する反応もサバケたもの。ところがそこへ、ヒロインの元夫が「彼女とは別れた。あれはミドル・エイジ・クライシスだった」と迎えに来た!

このあたりのまさかの展開の描写は、ちょっと邦画ではあり得ないようなナチュラルさ。北欧の映画が興味深いのは、シングル・マザーになってもまがりなりにも人間らしい暮らしができる条件が整っているからだろう、結婚も離婚もお金や世間体が問題にならないところ。つまり、女も男もそれぞれの気持ちと互いの関係性だけがモノを言う世界なのだ。

サブ・ストーリーとして、エコロジカルな志を抱いて都会から移り住んだものの、とかく何事も上手くいかない農場の若いカップルの結婚生活の危機が絡む。建築学の修士論文を書き上げないままで、5歳の娘のよい母親になれない自分自身に秘かに苛立つ妻に、農場主としても男としても自信を失いつつある夫。こちらの描写もさりげないながらもリアルこのうえない。

さて、当然のように元夫との馴染んだ生活に戻るつもりではあるものの、どうにも新しいオトコとも別れ難くて、「ああ、からだがふたつ欲しい」というヒロインはどうする?

もちろん映画はヒロインの未来を観客の想像にゆだねて終わるのだけれど、初日のティーチインでヤボは承知で監督に「映画を作る過程で監督自身、いろいろなアイデアがあったはず。それを聞かせて欲しい」と質問してみた(フィンランド映画祭の通訳さんは日本語が超絶に上手なので、安心してどんな質問もできる)。

今年40歳という監督がまず考えたのは、とにかくヒロインがどちらを選んでも説得力があるように、男たちを造型することだったとか。「幸福になりたいと願っていても、人生とははたして結果はどうなるかわからない選択しなければならないもの。ヒロインにはそんな未来にむけて一歩踏み出す勇気を持たせたいとは思いました」。

いや、実にオトナな映画でした。

11月9日にもう一度上映あり。

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