世界一美しい本を作る男 ―シュタイデルとの旅―の作品情報・感想・評価

「世界一美しい本を作る男 ―シュタイデルとの旅―」に投稿された感想・評価

櫻

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世界一美しい美術書をつくる彼のもとへ、世界中からオファーがやってくる。量より質、なによりも丁寧に本を制作したいという気持ちが強い彼は、ひとりひとりと直接打ち合わせをするために、世界中を飛び回り納得がいくまで話し合う。顔を見て、生の言葉を聞き、共に考え、作りあげる。その様には、現在では珍しくなってしまったものづくりの普遍が詰まっていた。現在では本は商品であると捉える人が多いと思うけれど、彼にとってはひとつひとつが大切な作品。人と人との丹念なコミュニケーションの末にできた妥協なきその本の美しさが、すべてを物語っている。

世の職人たちには、たいそう尊敬の念を向けている。何かひとつでも取り憑かれたように向き合えるものがあるのならそれだけでいい、何よりも羨ましい。紙の種類によって匂いが違うのだと皆の前で話していた彼のいきいきとした顔が忘れられない。

余談なのだけど、私は本のページをぺらぺら捲るのがすきだ。本の内容だけではなく、手ざわりも匂いも重要であるのではと考えている。だから、彼の紙とインクの匂いから離れられないという気持ちわかる気がした。
ayu

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3.8
本作りへの拘りと情熱と矜持が強く感じられるドキュメンタリー。ものづくりとはこういうことかと改めて気付かされた。
ronji

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アートブック等を企画から製版まで行うシュタイデル社は、ただの出版社ではない。

代表のシュタイデル・ゲルハルトは、一流の企画者であり、一流の技術者でもある。
※あっ、見る限り、変人でもある。

企画と技術。一般的には、分業されがちな業種だが、僕個人としても、本来、物が生み出される現場を知らないものに企画などできないと思っている。

アーティストからの抽象的な依頼を、技術者として、具体的な数値に変換していく彼の仕事ぶりは圧巻であり、芸術品を工業製品に落とし込むのではなく、芸術品として分身させるという発想は、僕のような凡人には思いつかなった。

ただ、それを実現させるためには、一冊一冊のバラツキは、極限まで0に近づけなければならない。でないと分身とは言えない。

つまりは、技術者として自信がなければ、そんな発言はできないということだ。

「過去の成功体験や経験を繰り返すのは好きではありません。常に実験的でありたい。」

こう語る彼には、オールドルーキーという言葉がぴったりだと思う。

積み上げてきたもので勝負するんじゃない、積み上げてきたものと勝負するんだ。
最近ではほとんど目にすることがなくなった活版印刷。
オイルインクの色のノリ、香り、濃ゆさ。
紙と紙が擦れる音、肌触り、厚み。
「売れる本を作ったそのお金で、こだわり抜き、本当に作りたいと思った本を作る」と言うシュタイデル。
見事に全身全霊をかけて作り上げる様は、尊敬に値する。
写真家のこだわりも汲み取りつつ、己の信念を曲げない。
さらにいいものを作るためにはどうすれば良いのか?
一対一で本と向き合う。そこから生まれる新しい発見や可能性に、こちらまでワクワクしてしまう。
この世の中に、こんなにも心を込めて作った紙媒体はどれだけあるのだろう。
d

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4.2
本には匂いがある。
一枚一枚めくったときに、香る匂いがあるってことを教えてもらった。

これからポートフォリオをつくるときに、紙をにおいで買ってみようかな、こんな匂いがする紙で、こんな景色を想像させたい、みたいなコンセプトで。
作品を出版するアーティストのためのアーティストであり、コンサルタントでもある。一流のものづくり、その厳しさと面白さが凝視されてる。
lololo

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4.0
本当に面白かった!

本を作るためにシャネルのランウェイに行ったり、カタールの砂漠で石ころ眺めたり、ドイツの工房でクライアントの写真家に「それはもういいからこっち見てもらえる?」ってダメ出ししたり…。

紙とインクの香りから離れられない、と言っていたその通りで、紙には香りや肌触りがあるんだと力説する(どの紙が一番いい香りかも添えて)姿は、デジタルな時代でも本がなくならないっていう現象の具現化のよう。そして、世界が求める職人とは、相手が思い描くことを言葉に変えて実現する人なんだなと思いました。

しかしまぁ、芸術家ってよくわからないことにこだわる厄介で愛らしい人たちだと思ってたけど、この人もなかなかの人ですね。そのくせお茶目でさ。ずるいよ!
一冊の本が出来上がるまで丹念に描かれている。昨今、失われてるニスの香り…

ドバイの人は敢えて、悪趣味にしよう!フェラーリの色みたいに!ってくだりは笑った。笑
nana

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これ最高だった!デジタル化が本を特別な存在にしているという前向きな考え方とか、製本に対する姿勢がとにかく凄い、、。紙やインクの匂い、ページをめくる音や厚みなど、本への愛がすごく伝わる1本だった。ジョエルの写真集が無事にできてよかったー!
シュタイデル氏の製本への姿勢に感銘を受ける。
デジタルで本を読むのが苦手で、かつ紙の手触りや匂いが好きなので、嬉しくなりました。
ここまでマニアックでも無いけれど、こうして拘りぬいて出来上がる作品に愛しさを感じます。
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