世界一美しい本を作る男 ―シュタイデルとの旅―の作品情報・感想・評価

「世界一美しい本を作る男 ―シュタイデルとの旅―」に投稿された感想・評価

作品を出版するアーティストのためのアーティストであり、コンサルタントでもある。一流のものづくり、その厳しさと面白さが凝視されてる。
lololo

lololoの感想・評価

4.0
本当に面白かった!

本を作るためにシャネルのランウェイに行ったり、カタールの砂漠で石ころ眺めたり、ドイツの工房でクライアントの写真家に「それはもういいからこっち見てもらえる?」ってダメ出ししたり…。

紙とインクの香りから離れられない、と言っていたその通りで、紙には香りや肌触りがあるんだと力説する(どの紙が一番いい香りかも添えて)姿は、デジタルな時代でも本がなくならないっていう現象の具現化のよう。そして、世界が求める職人とは、相手が思い描くことを言葉に変えて実現する人なんだなと思いました。

しかしまぁ、芸術家ってよくわからないことにこだわる厄介で愛らしい人たちだと思ってたけど、この人もなかなかの人ですね。そのくせお茶目でさ。ずるいよ!
一冊の本が出来上がるまで丹念に描かれている。昨今、失われてるニスの香り…

ドバイの人は敢えて、悪趣味にしよう!フェラーリの色みたいに!ってくだりは笑った。笑
nana

nanaの感想・評価

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これ最高だった!デジタル化が本を特別な存在にしているという前向きな考え方とか、製本に対する姿勢がとにかく凄い、、。紙やインクの匂い、ページをめくる音や厚みなど、本への愛がすごく伝わる1本だった。ジョエルの写真集が無事にできてよかったー!
シュタイデル氏の製本への姿勢に感銘を受ける。
デジタルで本を読むのが苦手で、かつ紙の手触りや匂いが好きなので、嬉しくなりました。
ここまでマニアックでも無いけれど、こうして拘りぬいて出来上がる作品に愛しさを感じます。
一冊の本を手に取って、その美しさに見惚れたことがあるでしょうか。
私はコストや持ち運びの利便性を考えて大抵文庫本を買ってしまう。シュタイデル氏はその対極にある本作りをする。いわばオートクチュールの本作り。

ドイツのシュタイデル社。その徹底的にこだわった芸術的な出版物はコレクターもいるという。
縦横のサイズ、文字諸々の色彩、紙、インク、印刷方法(活版印刷かオフセット印刷か)、装丁には決めるべきポイントがたくさんある。シュタイデル氏によると本は視覚・触覚、聴覚(頁をめくる紙の音)、嗅覚を使って楽しむもの。嗅覚とは意外かもしれないけれど紙やインクの匂いにはそれぞれ個性がある。多くの出版社では合成ニスを使うのでそれらの匂いを殺してしまうが、ここでは天然の油性ニスを使うので匂いがちゃんと残るのだとか。
本作りのドキュメンタリーでここまで高揚感を覚えるとは思わなかった。


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先日銀座シャネルのギャラリーでサラ・ムーンの写真展をみた。たいへん素晴らしくて感銘を受けたので目録(写真集)が欲しかったのだけれど、見本が一冊あるだけで販売品はなし。今思えば、装丁にこだわった為にコストが跳ね上がり、沢山刷っても採算が取れないと踏んだのかもしれない。シャネルとしては妥協したものを出したくなかったのだろう。
Yoshmon

Yoshmonの感想・評価

3.7
昨年からいくつかのシアターで限定放映されていた本作、ようやく鑑賞できた。

“Don’t judge a book by its cover.”

欧米にこんな諺があるけれど、ことシュタイデルを前にすればこんな言葉も掠れてしまう。

この作品を観れば本のコンテンツを書く人もしくは撮る人、そして本にする人と、共同で一つの仕事として、作品としての本を完成させていることがわかる。

それは業界全般に言えることだと思うけど、シュタイデルが他と異なるのはその密な連帯感。

シュタイデルに依頼する人たちはワンストップでデザインや紙質、インクの種類の決定、校正、製本と全工程をシュタイデルと決めて仕事を完結できる。

効率化を進める大手出版社ではデザインや印刷等各工程が国を跨ぐこともある現状の中、シュタイデルの本作りには依頼主のコンテンツに更なる付加価値が与えられ完成度の高い芸術作品へと昇華される。

そんなシュタイデルに本作りを依頼するのは、世界的に著名な写真家やデザイナー、そしてノーベル文学賞受賞者たち。

本作で取り上げられていたのは
①CHANELのデザイナー カール・ラガーフェルド
②写真家ロバート・フランク
③ノーベル文学賞受賞作家ギュンター・グラス
(失礼ながらデザイナーの人物像は詳しく存じてなかったけれど)超大物揃い。

彼らと仕事を進めるために年中世界を飛び回っているシュタイデルに、作品をお願いするために数年越しで待つ依頼人もいるらしい。

彼の仕事への向き合い方、プロフェッショナルな働き方の極まりっぷりに憧れる。

働くことと生きることとは決して切っても切れない関係にあるし、働く行為は人を健全にさせ尊厳も与えてくれる。

SNS上で時折目にする簡単に稼ぐ方法だとか自由に生きる方法を教えます!と言うのは気持ちは分からないでもない。けれど僕はシュタイデルのように働くことに最大限の意義と社会への貢献できる方法と能力を見出したい。
think

thinkの感想・評価

3.8
(゚o゚)ゲッ!!と思うデザインでも手に馴染んできていい本になる…みたいな
インク調整の判断力を見習いたい。
kyoko

kyokoの感想・評価

3.7
シュタイデルの存在を知ったのは、2016年にロバート・フランク展のプロデュースのために来日した際のインタビューだったので、公開当時このドキュメンタリーのことは全く知らなかった。映画館で観られる機会があって嬉しい。
紙とインクが混ざり合う香りにまでこだわるような、私の大好きな変態職人だった。

本に対するこだわりももちろんすごいけど、彼が手がけているその顔ぶれも凄い。
シャネルのデザイナー、カール・ラガーフェルド、アメリカを代表する写真家ロバート・フランク。
おもいがけずギュンター・グラスの生前の姿を見ることができたのには感激した。ロバート・アダムスは30冊のシリーズのまだまだ途中らしいのだけど…ま、間に合う…?

ロバート・フランクが写真集の函見本を見て、「自分の棺みたいだ」と言う。これって、儲けよりも芸術家の価値を守ることが大事と言い切る職人にとって、最高の褒め言葉じゃないのかしら。

若干17歳でゼロから出版社を立ち上げた男の、本への愛情と自身の仕事の誇りに満ち溢れた、羨ましいにもほどがあるとしか言えないドキュメンタリーだった。


5色のiPodにはどんな曲が入ってるんだろう。
autumn

autumnの感想・評価

5.0
【ものづくりをしている人や、好きなことをしている人が、そもそも楽しいから始めたはずなのにこだわるのに疲れてきた......このまま続けていって何になるんだろうって迷い始めた時に観てほしいやつ】

とにかくシュタイデル氏の本を作ることへのこだわりが、狂人といってもいいくらいに強い。

カメラワークも良く、紙の質感やインクの香りが匂ってきそうな臨場感がある。

自分を信じ、何かに没頭しつくす人の姿は美しい。
そうして生み出された本だからこそ、世界で1番美しい。

#ドキュメンタリー
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