◆概要◆
2012年から始まったシリアのアレッポで始まった政府と反体制派の戦いの中で、反体制派の市民、ワアドが撮影し続けた政府軍やロシア軍による市街地への攻撃とそれにより死傷する人々の姿、そしてその最中、結婚したワアドと医師のハムザの生活の様子を描いたドキュメンタリー作品である。
◆感想◆
ジャーナリスト志望の女性のワアドが戦争の中で医師のハムザと結婚し、娘のサマを授かるのだが、撮影期間中は空爆が続いていて日常化している様子は日本では想像できない過酷な環境なのだが、ワアドたちがそれでも結婚、出産して命を繋ごうとしている様子は観ていて呆然とするしかなかった。
本作は反体制派のワアドの視点で描かれているので、政府側がどうだったのかを語ることはできないが、アレッポを包囲してロシア軍の協力の下、空爆し続ける様子は狂っているようにしか見えない。病院も容赦なく攻撃され、どう見ても一般市民や子供たちが死傷していく様子はその攻撃の苛烈さを感じさせた。ワアドは医師のハムザとともに行動して撮影していたので、病院に運ばれる負傷者たちの様子がとても生々しく、息がつまった。
ワアドは娘のサマのためにアレッポの日々を撮影し続け、彼女たちがアレッポに残り続けた意味を伝え続ける。そこには政府側への抗議の意味であり、武器を持って戦っているわけでなく、アレッポに居続けただけなのであり、その回答が空爆であることがあまりに不条理で理不尽であることを感じえない。
本作だけをもって何が正しいのかを語ることはできないが、戦火の中で暴虐を受け続けた市民の姿があったことは間違いのない事実だと思う。本作のおかげでシリアで何があったのか、パソコンで検索して学ぶきっかけになった。観て良かったと思います。
鑑賞日:2024年10月12日
鑑賞方法:Amazon Prime Video