スザンヌ、16歳の作品情報・感想・評価

「スザンヌ、16歳」に投稿された感想・評価

オンライン試写とリアル試写で
5回ぐらい観てしまったけど…

多くを語らず、観ている側に感じさせる。
そんな映画。

主演で監督のスザンヌさんが、そこらへんにいそうな普通っぽい人だからこそっ!ってのも大きい。

詳しい評論は私のサイトでのちほど!

このレビューはネタバレを含みます

@試写
 エンディング・クレジットを見て、そうか! 主演の女優さんが脚本・監督だったんだと知ったときの嬉しい驚き! 16歳の初恋を文字通り女の子の目線で撮って、どんな紋切り型にも陥らず、恋愛映画と呼ばれるジャンルを刷新している! 純で微笑ましくて、しかもシッカリしてる! 遂にこんな作品が現れたのだ!

 15歳、彼女が高校入学前の夏に書いた脚本なのだという。「私は恋愛にとても興味があって、恋してみたいと強く願っていました。・・・まだ経験したことのない恋愛感情というものに好奇心でいっぱいでした。それで少しずつ自分が経験してみたいラブストーリーを書き出しました。同じ年の子たちとはあまり合わなくて退屈していたので、自然に年上の男性との恋愛が思い浮かびました。かつて思春期に私と同じような気持ちを抱いていた大人の男性です」(プレス資料より)。

 ヒロインは同級生たちから浮いているというほどではないのだけれど、周りに溶け込めないままに自分自身を世界を、居場所を、探し求めている。そんな夏の日に街で見かけた、どことなく憂い顔の大人の男性。街の劇場にかかっている芝居に出演中の俳優で、同じ演目を演じる日々にいささか倦んでいた。ふと目線が出会い、「ライターある?」なんて言葉を一言二言交わし、ある日、翌朝のカフェで朝食を一緒にとることに。傍目にはちょっぴりじれったいほどのこのヒロインの初々しさを、さてどう言葉にすればいいものか。そのカフェで彼が好きなヴイヴァルディを聴かせてくれて・・・・・・。

 彼は35歳。20歳近くも年下の彼女を自然にあるがままに尊重している彼の非マッチョさ! ヒロインに対する優しさは彼自身が人生に真摯に、かつ謙虚に向き合っているからだろう。
 演じているのはアルノー・ヴァロワ。監督いわく「私が一番恐れていたのは、私が幻想で作ったこの男性を演じる俳優を探しだすことでした。ぜったいに見つからないと思っていたんです(笑)。そしてある日、劇場公開からだいぶ遅れて『BPM ビート・パー・ミニット』を見たんです・・・アルノーは私が想定してて探していた俳優とはまるで似ていませんが、すぐに彼だと思ったのです」。『BPM』('18年、ロバン・カンピヨ監督)は90年代のエイズ・アクティビズムを描いた作品で、エイズに罹っている主人公と恋に落ち、彼を看取る役柄を演じていたのがアルノー・ヴァロワ。その「セックス・シーンのリアリティと厳粛な美しさには静かな衝撃を受けた」と書いた私は、監督の選択眼に大いに納得。

 監督の両親(後に離婚)はどちらもよく知られた映画俳優。母はサンドリーヌ・キベルラン。私に印象的だったのは『ヴィオレット』(’15年、マルタン・プロヴォ監督)でのボーヴォワール役。父はヴァンサン・ランドン。彫刻家のロダンを演じたり、女性監督の作品ではフロイトの先達であるシャルコーに扮したり(’12年、アリス・ウィノクール監督『博士と私の危険な関係』:トンデモな邦題だが、〝ヒステリー〟治療を女性の視点で語り直した意欲作)という大物だが、『ティエリー・トグルドーの憂鬱』(’16年、ステファヌ・ブリゼ監督)という大変な秀作をこの「勝手にフェミニズム批評」でも紹介している。

 そして、イマドキの映画には珍しく、この作品でのヒロインと両親の関係はとてもいいのだ。「パパは女の子のスカート姿とパンツ姿のどっちが好き?」と聞かれたりして、「おい、あの子はこのごろちょっとヘンだぞ」と言う父親(笑)。ヒロインは最後に自ら恋に終止符を打って、母親の肩で泣くのだけれど、母親は驚いて問い質したりなぞ一切しない。大人がちゃんとオトナな環境なんだなぁ。ちなみに母親役はアカデミー・フランセーズのメンバーで勲章も受けているベテラン女優さん。

 スザンヌ・ランドンは19歳でこの作品を撮った。ずっと映画に出たいと思っていたけれど、両親が業界の有名人であるだけに、「映画に出演し、それが正当なことだと感じるためには自分で脚本を書かなければいけないと思ったんです」と語っている。この健全さ、賢さ! インタビュー動画を見ても実に伸びやかだ。 






 

 


勝手にフェミニズム批評   by Chiaki
〝亡国〟の夏に敗けない1本
★スザンヌ・ランドン脚本・監督・主演『スザンヌ、16歳』@8月21日よりユーロスペース他
 エンディング・クレジットを見て、そうか! 主演の女優さんが脚本・監督だったんだと知ったときの嬉しい驚き! 16歳の初恋を文字通り女の子の目線で撮って、どんな紋切り型にも陥らず、恋愛映画と呼ばれるジャンルを刷新している! 純で微笑ましくて、しかもシッカリしてる! 遂にこんな作品が現れたのだ!

 15歳、彼女が高校入学前の夏に書いた脚本なのだという。「私は恋愛にとても興味があって、恋してみたいと強く願っていました。・・・まだ経験したことのない恋愛感情というものに好奇心でいっぱいでした。それで少しずつ自分が経験してみたいラブストーリーを書き出しました。同じ年の子たちとはあまり合わなくて退屈していたので、自然に年上の男性との恋愛が思い浮かびました。かつて思春期に私と同じような気持ちを抱いていた大人の男性です」(プレス資料より)。

 ヒロインは同級生たちから浮いているというほどではないのだけれど、周りに溶け込めないままに自分自身を世界を、居場所を、探し求めている。そんな夏の日に街で見かけた、どことなく憂い顔の大人の男性。街の劇場にかかっている芝居に出演中の俳優で、同じ演目を演じる日々にいささか倦んでいた。ふと目線が出会い、「ライターある?」なんて言葉を一言二言交わし、ある日、翌朝のカフェで朝食を一緒にとることに。傍目にはちょっぴりじれったいほどのこのヒロインの初々しさを、さてどう言葉にすればいいものか。そのカフェで彼が好きなヴイヴァルディを聴かせてくれて・・・・・・。

 彼は35歳。20歳近くも年下の彼女を自然にあるがままに尊重している彼の非マッチョさ! ヒロインに対する優しさは彼自身が人生に真摯に、かつ謙虚に向き合っているからだろう。演じているのはアルノー・ヴァロワ。監督いわく「私が一番恐れていたのは、私が幻想で作ったこの男性を演じる俳優を探しだすことでした。ぜったいに見つからないと思っていたんです(笑)。そしてある日、劇場公開からだいぶ遅れて『BPM ビート・パー・ミニット』を見たんです・・・アルノーは私が想定してて探していた俳優とはまるで似ていませんが、すぐに彼だと思ったのです」。『BPM』は90年代のエイズ・アクティビズムを描いた作品で、エイズに罹っている主人公と恋に落ち、彼を看取る役柄を演じていたのがアルノー・ヴァロワ。’18年にこの「勝手にフェミニズム批評」ではその「セックス・シーンのリアリティと厳粛な美しさには静かな衝撃を受けた」と書いた私は、監督の選択眼に大いに納得。

 監督の両親(後に離婚)はどちらもよく知られた映画俳優。母はサンドリーヌ・キベルラン。私に印象的だったのは『ヴィオレット』(’15年、マルタン・プロヴォ監督)でのボーヴォワール役。父はヴァンサン・ランドン。彫刻家のロダンを演じたり、女性監督の作品ではフロイトの先達であるシャルコーに扮したり(’12年、アリス・ウィノクール監督『博士と私の危険な関係』:トンデモな邦題だが、〝ヒステリー〟治療を女性の視点で語り直した意欲作)という大物だが、『ティエリー・トグルドーの憂鬱』(’16年、ステファヌ・ブリゼ監督)という大変な秀作をこの「勝手にフェミニズム批評」でも紹介している。
 そして、イマドキの映画には珍しく、この作品でのヒロインと両親の関係はとてもいいのだ。「パパは女の子のスカート姿とパンツ姿のどっちが好き?」と聞かれたりして、「おい、あの子はこのごろちょっとヘンだぞ」と言う父親(笑)。ヒロインは最後に自ら恋に終止符を打って、母親の肩で泣くのだけれど、母親は驚いて問い質したりなぞ一切しない。大人がちゃんとオトナな環境なんだなぁ。ちなみに母親役はアカデミー・フランセーズのメンバーで勲章も受けているベテラン女優さん。

 スザンヌ・ランドンは19歳でこの作品を撮った。ずっと映画に出たいと思っていたけれど、両親が業界の有名人であるだけに、「映画に出演し、それが正当なことだと感じるためには自分で脚本を書かなければいけないと思ったんです」と語っている。この健全さ、賢さ! インタビュー動画を見ても実に伸びやかだ。 






 

 
カフェに隣あって座って、オペラを聞くときの頭からはじまり手に動くダンスシーン良い
sonozy

sonozyの感想・評価

3.5
弱冠20歳のスザンヌ・リンドンが監督&主演。
彼女は俳優夫妻(その後離婚)ヴァンサン・ランドンとサンドリーヌ・キベルランの娘さんとのこと。

学校も同級生との付き合いも退屈な16歳の女子高生スザンヌは、下校途中、劇場の前で一人タバコを吸う憂いをまとった感じの年上の男に見惚れる。

その日から、毎日彼の姿を追うようになるスザンヌ。
彼の赤いスクーター、いつも座っているカフェのテラス席、劇場を覗くと彼のポスター、ラファエルという名、こっそり覗く彼の稽古…

そしてある日、話をする二人。
ラファエルは35歳。演じることは好きだが毎日同じ繰り返しにうんざりしてきていると。
どこか自身の心境と近いことを知り、ますます彼に惹かれていくスザンヌ。
彼にとってもスザンヌが大切な存在となっていく。。

白シャツ&ジーンズが似合うスザンヌ。
カフェでスザンヌがオーダーしたグレナデン入りレモネードのシーン。
朝のカフェでラファエルがヘッドホンで聞かせた音楽(ヴィヴァルディ/スターバト・マーテル)に合わせての並んで座った2人がシンクロするパフォーマンスシーン。
などが印象的。

スザンヌが妙な行動で父を困惑させちゃうのも微笑ましい。

ちょっと危うくて、みずみずしくて切ない16歳の揺れる恋心が、独自の感性で描かれた作品でした。
[16歳の春、あなたとの出会い] 70点

ヴァンサン・ランドンとサンドリーヌ・キベルランの娘スザンヌ・ランドンが、弱冠20歳にして初監督長編を世に放ち、それがカンヌレーベルに選出された。主人公は監督本人が演じており、自身が高校に入学する直前に感じた"所在のなさ"を架空の女子高生に日記として綴っていたものを原作としているらしい。同級生たちは子供っぽいな…とまではいかないが、彼らのノリに合わせきれない16歳のスザンヌは、彼らの輪の中にいても交流がほとんどない。そんな彼女は下校中に通る劇場前で20歳年上の俳優ラファエルに一目惚れする。彼女は自分よりも彼に年の近い父親に"スクーターはすぐに直せるか"とか、"スカートとパンツどっち派か"とか、色々と尋ねて練習を重ねる。学校生活に飽きたスザンヌと俳優生活に飽きたラファエルには共通点が多いように見えて、二人は惹かれ合っていく。

本作品は、監督の頭の中にある映像/エピソードをパッチワークのように繋げただけという印象をまず受けるが、"あなたが好きだから!"という盲目的な感情がほか全ての出来事や感情を暴力的に破壊していった後のきれいな表面を見ているかのようで、ある種の爽やかさが残るのが非常に良い。父親とも母親とも姉とも仲が良く、別に見下しているわけではないので同級生とも仲が悪いわけではない(良いわけでもない)というファンタジックな世界観も、監督の今の感覚に近いからこそ出せる瑞々しさの暴力性にマッチしている。ただ、スタイリッシュな芸術映画ぶろうとする中途半端なミュージカル描写は鼻につく。ファンタジックな世界観に反さないためにマイルドな表現へと置換した結果だとは思うが、少々浅はかに見えてしまうのは、上記の"パッチワーク"という点に起因している。

また、フランス本国ではスザンヌとラファエルの年齢差が本編で言及される以上に注目されている。それは、ロマン・ポランスキーやリュック・ベッソン、クリストフ・ルッジアなど多くの映画監督が未成年の女優に対する性的虐待を告発される中で、本作品がそれを逆流するような無邪気な作品だからだろう。二人の接触はミュージカルシーンによって、よりマイルドな表現に置き換えられていて、作品そのものは(このテーマに関して)無味無臭といった感じだが、逆にこの問題に対するアンチテーゼというわけでもない。そこで機能してくるのが"架空の"という言葉だ。リンドンは退屈で憂鬱な学生生活の中で、そのコミュニティから連れ出してくれる理想的な"白馬に乗った王子様"を具現化したのだろう。

本作品はジョアンナ・ホッグ『The Souvenir』のフランス版とも言えるかもしれない。同作ほど凝ったショットがあったわけではないが、瑞々しさの爆発力はそれを超えるものがある。スザンヌ・ランドンの掠れた声と半開きの口から覗く前歯が最高の一本。

追記
そんなに観たわけじゃないが、もし開催されてたならカメラドールは本作品になる気がする。カメラドール候補作はほぼ観てないから勘だけども。
マカオ国際映画祭にて。

ヴァンサン・ランドンの娘、スザンネ・ランドンの監督脚本主演デビュー作。

同世代の友人たちに退屈している16歳の少女がほぼ歳が倍違う35歳の劇団員と出会い、新たな世界に一歩踏み出す…?

と思いきや、ませた話でも、激しい恋愛でもなく、純粋に年上の男性に憧れ惹かれていくかわいらしい恋心を描いてた。

この年頃の純粋で敏感で壊れやすい姿をスザンネ・ランドンがナチュラルに演じていた。ちょっとシャルロット・ゲンズブールっぽさある表情とあどけなさ両方。