とらキチ

三姉妹のとらキチのレビュー・感想・評価

三姉妹(2020年製作の映画)
4.4
人間の、オンナの、奥底に秘められたドロドロコッテリとしたイヤーなものを次々と喰らわされ、もうお腹いっぱいで胸ヤケしそうな状態なのにも関わらず、ラストシーンでは何故か胸がスッと、晴れやかな気分になってしまう、そんな不思議な作品。
序盤中盤と、三姉妹、三者三様の暮らしぶりが細切れで次々と描かれる。3人ともそれぞれ問題を抱えているのだが、その問題から目をそらして何でもないふりをして暮らしていて、そんな感情の描き方がとてもリアル。そしてそのような3人に対し、観ている側には、ちょっとした違和感をも抱かせる。
そんな三姉妹が父親の誕生日を祝うために実家に集い再会すると、観ているコチラ側がずっと抱いていた違和感の正体である、各々が幼少期に負っていた心の傷と真正面から向き合うこととなる。
互いの感情をぶつけ合うシーンが息を飲むほど素晴らしくて、しかも韓国語特有の、あの言いっぱなしな感じの語感がとてもハマる。
親子や家族という“呪縛”に囚われてしまう、というのは洋の東西、国を問わず、やはり普遍。今作は、そんな誰もが多少なりとも抱いている何とも言えない複雑な感情にフッと触れてくる。そしてその先にちょっとだけ見えた希望のようなものに、やはり家族の、人間の、どうしたって分かち難い愛おしさ、救いを感じさせられた。
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