みかぽん

ディア・エヴァン・ハンセンのみかぽんのレビュー・感想・評価

3.8
物語に登場する誰もが、自分が生きる生活の中で苦しみ、憤り、生きづらさなどの負の感情を抱えており、我々鑑賞者たちもそんな彼らの何処かに自分を見つけることが出来るので、物語にはすんなり入り込めるはず。

あんなにも悲しんで、しかし亡き息子には心許す親友がいたのだと(勝手に?)安堵する母親に対し、普通の神経なら「いやーそれは全くの勘違いです。最後なんてもう罵倒されましたから」なんて流石に言えんでしょ…。しかも母はすがるように〝彼らの〟美しいストーリーを求め、心の拠り所にしたがっているのだと知れば、せめてその期待に応えてあげたい。
で思わずついたその場の嘘話は、転がるように自分のコントロールを外れて行くのだけど、、。

観ている我々にはこの嘘とその必要に迫られた?上塗りはいつかバレると分かっていて、主人公の幸せが膨らめば膨らむほどその振り幅が大きくなるとも分かっている。
膨らみ続ける物語が破綻してしまう理由は、根っこにある信頼そのものが結果として偽りであり、そのいきさつが何であっても、裏切りの上に築かれてしまった儚い泡でしかないのだから。。
我々はそれが弾ける瞬間を見守る側におかれ、びくびくしながらもそのディテールを推測しつつ震えるわけ。

このお話を周りの身内や仲間と(あるいは付き合い始めの相手なんかだと更に面白いと思うんだけど)主人公の振る舞いとその結果ついてをお互いで語り合ってみると良いかも知れない。あるいは学校の教材に使っても面白いんじゃないかな。

勿論、何が正解なんてないんだけど、相手を理解するためのリトマス試験紙的映画ではありそう。
2件
  • メル

    未見です。他者を傷つけない為の嘘と自分を守る為の嘘との違いは大きく別れますよね。

  • みかぽん

    メルさん まさにそうなんですよ。 最初は思いやりであっても、それがいつしか自己実現のための道具となってしまう危うさが上手に描かれていました。 卑屈なまでに自制的な主人公を少しずつ傲慢にさせる匙加減も絶妙です。

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①中学生の頃から映画に夢中。が当時は友人にお気に入り俳優をジジ専?と笑われ、最近では若造好き?と揶揄されるようになりで、若干心外です〜( ;∀;)。 ②Filmarks生活を長続きさせたいので、映画…

①中学生の頃から映画に夢中。が当時は友人にお気に入り俳優をジジ専?と笑われ、最近では若造好き?と揶揄されるようになりで、若干心外です〜( ;∀;)。 ②Filmarks生活を長続きさせたいので、映画鑑賞は週末の仕事帰りか休日、Filmarks時間は通勤の行き帰りと休日の余剰時間と心に課しています。 ③フォロワーさんのレビューは、アニメ、ドラマ、未加入の配信以外は可能な限り拝見し「いいね!」させて頂いてます。(←最近、友人から「いいねはスタンプと違う」の指摘が… えッ?(*_*)。結果?有限時間は逼迫。最近はほぼ新規フォローが出来ていない、あるいは自身のレビューすら打てないの悪循環に陥っているため、目下「いいね!」の自分ルール変更も検討中(-.-;)。どなたかFilmarksの有効運用法をご教授下さいませっ

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