ドクトル・ジバゴの作品情報・感想・評価

「ドクトル・ジバゴ」に投稿された感想・評価

mitakosama

mitakosamaの感想・評価

4.8
宝塚版を観劇前に予習。
流石はアラビアのロレンスのデビットリーン監督作。重厚なストーリー編成と3時間20分の大ボリュームでお腹いっぱいでヤンス。
やっぱり途中でインターミッションの入る様な大作映画は良いねぇ。

ロシア革命前後の激動の時代に翻弄された恋人達の物語。
医師のジバゴにオマーシャリフ。ジバゴは少年時代に引き取れれた家の娘トーニャと結婚する。
碧眼が美しい娘ラーラ。その恋人パーシャはボリシェヴィキと呼ばれる政治活動家。情勢が不安定で貧富の差がある時代。
ラーラは弁護士のコマロフスキーに抱かれてしまう。

もうね、必要以上に言葉で説明しないが、映像での情報が濃い!!!
何気ないシーンでも登場人物の感情を暗喩していたり、そういうバズルの様な描写が見事としか言うほか無い。

例えば、雪の夜で活動家のデモを警備隊が蹴散らすシーン。雪に飛び散った血は、同時進行で起こっているラーラの少女喪失とのダブルイメージになっている。
また共産主義の赤と、反革命の白軍。陰鬱なグレーの世界観と区別する様に、ジバゴの内面を表す黄色い花が要所要所で出てくる。ラーラとの別れを象徴する、花瓶のヒマワリの花びらが散るシーン。家族との平穏な時代とラーラとの再会を象徴する黄色い水仙。
などなど、絶妙な演出は数え上げたらキリが無い。

第一次大戦とロシア革命を経て、ジバゴ・トーニャ・ラーラ共に時代に流されていく。基本彼らはノンポリで、巻き込まれ型主人公なのでなすがまま。
平穏な地へ移り住むもジバゴがパルチザンに捕まるなど波瀾万丈。
戦死したと思われたパーシャが将校になって再登場した時は後半もっと話に食い込むかとも思ったけど、そうでもなかったね
しかしパーシャ役の俳優さんは格好良い。オマーシャリフより今のイケメンに近い気がする。

しかし何が凄いって、旧ソ連で発表されてロシア革命を否定する内容だからと発禁。ノーベル文学賞受賞もソ連により辞退。
その背景にある物語をアメリカとイタリアの合作で作ったということ。
東西冷戦真っただ中でロシア革命を否定するという話をアメリカで作ればプロパガンダにも見えるじゃん。それが一筋縄じゃない。

序盤にでてくるジバコの兄がラーラの娘を尋問する。このシーンで軍の高官で威圧的に感じ、共産主義の不自由さを暗示させる。だが本編が終わり、ラストで再登場する兄の本心が分かる。希望を持って立ち去るラーラの娘とその恋人。
冷戦時の共産圏の悪いイメージが前フリとして効いているからこそ、爽やかなラストにドンデン返しを喰らう。これってさ、プロパガンダを逆手に取ってるって事だよね。
最終的に共産主義を否定も肯定もしない。愛し合った者達に受難はあったかもしれないが、その子供に希望が紡がれている。
立ち去る恋人達を祝福する様にダムが放流し虹がかかる。映画本編の鬱憤を一気に洗い流すのような美しいエンディング。

政治を超えた所に映画の芸術は存在する。歴史に名を残す傑作とはこういうこと!
中盤以降はジバゴがひたすら理不尽な出来事に見舞われていく話。中盤以降と言っても作品自体が3時間超えだからかなり長い。ただ最後に少し希望があるって感じ。

ジバゴは医者と詩人っていう2つの顔があるけど、詩人の方はあんまりピンとこない。作品の評判がどうのって場面はあるけど、終盤まで詩作してる場面は出てこないし作品自体も出てこないからそう感じた。

トーニャからの最後の手紙が健気で切なくて良かった。ラーラもジバゴとの娘にトーニャと名付けてるの良い。普通ならドロドロする展開だけど、皆生きるために必死って時世の影響もあったのかなって感じ。

出てくるジバゴの周囲の人間の中で唯一傲慢さを感じさせるコマロフスキーだけど、最後ラーラたちを救い出すところは好きだった。ジバゴやラーラに嫌われてることは分かってるけど、「この大悪党の保護を受けてほしい」とまで言ってジバゴの頑固な姿勢を改めさせようとする。ラーラたちを救うためにプライドを捨てて訴えるのが良かった。

解説で徹底的にカラーコーディネートしてると言ってたけど、たしかに映像すごかった。ジバゴがトーニャや家族とベリキノに滞在した間は派手な色彩が出てくるけど、他は単調な雰囲気が多い。同じベリキノでもジバゴがラーラとやって来たときは氷に覆われた屋敷で単調だった。トーニャや家族とベリキノに滞在した期間が、色彩からも束の間の安息って感じが伝わってきてすごい。
デヴィッド・リーンの映画には風景や俳優にもたらされる大きく力強い説得力がある。

お世辞にも構成がセンスあるとは思えず、出来の悪いダイジェストに見える。そこらへんは冒頭のコマロフスキーがラーラにドレスを着せて抱きつくシーンからの急な暗転の省略の下手さ具合で、編集力の悪さを予感させる。

しかし俳優は、回想シーンで一切声を発さないアレック・ギネス、コマロフスキーにしてはデブで似合わないけども階段から転げ落ちるとこや電車の中で寂しそうにするところに妙に説得力があるロッド・スタイガー、美麗なオマー・シャリフやジュリー・クリスティ、迫力ありまくりのクラウス・キンスキーなど適材適所で説得力がある。

何と言っても景色がいい。アラビアのロレンスを撮ったスタッフだけはある。厳しい雪国の土地、ラストシーンのダムの圧巻さ、そしてベルキノだかベリキノだかの草花豊かな楽園としての様相。

あとはやはりモーリス・ジャールの名テーマ曲か。あの有名なジバゴとラーラのベッドシーンまではちゃんとあの名曲が奏でられるてるのに、次に暗転してベリキノの家のカットに移った時には音楽が鳴り止んでいるあの一連のシーンは、あのテーマ曲を奏でられることも許されないトーニャが哀れに思える。
Gewalt

Gewaltの感想・評価

4.5
雄大で絢爛な圧巻の200分。
第一次大戦前夜からロシア革命に至る激動の時代に振り回され凍てついた男女の愛の物語。
構図、人的規模、音楽、美術、衣装……全てが圧倒的な完成度を誇り、その映像は一分の隙もない。
燃える朝日を浴びて雪原を進む汽車、雪上を疾駆する騎馬隊、内装まで雪に閉ざされた屋敷。凍土の美をこれ以上なく表現した映像の数々は映画の魔術だ。
KazuPSG

KazuPSGの感想・評価

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ずっと観たかったシリーズ。
こちらもかなりスケールの大きい作品ですね。歴史と恋愛を題材にしている点では風と共に去りぬと共通点を感じます。

歴史の荒波に飲まれていく中で、ラーラとターニャの2人の女性を愛すユーリ。不倫と言ってしまえば、そうなんですけど、ユーリは妻のターニャと家族も愛してますし、愛人ラーラとその娘も愛してます。そして、ターニャとラーラも互いを尊敬しあっています。美しい愛の三角関係だと思いました。個人的にターニャの夫に尽くす姿には惹かれるところがありました。

それにしてもオマール・シャリフの髭と喋らずとも表情だけで魅せる姿には感銘を受けました。
そして歴史モノということで、人員や土地を惜しみなく使って、スケールの大きさが出来上がってます。そして登場する一人一人の人物が本当の歴史上の人物に見えました。監督とキャストが作り上げた素晴らしい作品です!

そういえば、ジバゴ兄にかなりの既視感があったと思ったら、オビワンを演じたアレック・ギネスだったんですね!
ロシア革命に振り回される男女の話し。
現代からの回想の形を取る。
最後まで楽しませる工夫がありました。
young

youngの感想・評価

4.2
歴史に翻弄される男女の愛。不倫という枠組みになるのかもしれないが、ロシア革命という大波乱の中を生き抜いていく人々の姿が印象的。ワイルド・スワンの時にも感じたが、大きな歴史の渦の中で生き抜く庶民の姿ほど感動的なものはない。
ララのテーマが有名。
1987年11月8日、新宿文化2で鑑賞。(前売券1200円)

ロシア文学というのは、読んでみようとすると、大概が大作で分厚い本が多かったり、登場人物の名前が片仮名ばかりだったりして、読みづらいもの。
しかし、このデヴィッド・リーン監督作品は、そうしたロシアの物語を描いた文芸大作。

映画なので、登場人物が分かりやすくて、確かに大作なのであるが、ある男ジバゴの数奇な人生を紡いではいるものの、娘の物語がその分希薄な感じがした。

確かに長尺の作品ではあるものの、もう少し分厚い物語を期待していたのは、欲張りだろうか。。。

壮大なる力作ではあるが、デヴィッド・リーン監督作品ということで期待し過ぎたせいか、物語面でやや物足りない感あり。
とまる

とまるの感想・評価

3.3
原作がつまらないので当然のようにストーリーがつまらないけれども映像センスのよさはすばらしい。
さすがにリーン。
yuk

yukの感想・評価

3.8
美しい自然と美しい音楽にのせて、時代に翻弄される男女を描いている。
「ラーラのテーマ」は本当に印象に残る美しい音楽。映画自体は長いけれど、見ごたえがある。
原作小説が書かれた時代背景を考えるとまた奥深い。
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