真実の瞬間の作品情報・感想・評価

真実の瞬間1965年製作の映画)

IL MOMENTO DELLA VERITA

製作国:

上映時間:107分

ジャンル:

3.2

「真実の瞬間」に投稿された感想・評価

これ、掘り出し物映画だと思って何も考えずに鑑賞していたらとんでもない作品だった。とにかく考えさせられます。
監督の趣旨は、多分この当時だから、闘牛士に花咲かせて散っていく主人公の人生を描くという意味なんだろうけど、現代では、闘牛の悲惨さを伝える映画って感じに捉えられるかもです。
実はあまり闘牛の知識はなかったので、こんな酷いものだとは知りませんでした。むしろストーリーは二の次でいいかと思います。闘牛の姿をしっかり伝えるという意味では、けっこう貴重な映画です。
ただ、地元スペインでも、反対派が多く、現在は闘牛は禁止になっているのかな?勉強不足でちょっとわからないですが。でもスペインでは文化だし、向こうの人に言わせれば
「食肉になるんだから一緒じゃん!それより鯨を捕まえて食べているニホンジンのほうが残虐だよ!」なんて思われているのだろうか・・・・・
スペインの田舎の農家で育ったミゲル(ミゲル・マテオ・ミゲラン)は貧困の為に都市部に出ていった。
しかしフランシスコ・フランコ総統による独裁政権により都市部も決して仕事が有り余る状況ではなかった。
ミゲルは手っ取り早く儲かる闘牛士になろうと老闘牛士ペドルーチョに弟子入りする。
めきめき頭角を現したミゲルは瞬く間にスター闘牛士になるが・・・。

主演のミゲル・マテオ・ミゲランという方は本物の闘牛士だそうです。
どうりで闘牛シーンがあまりにもリアルだったのは納得。
そういった闘牛シーンや祭りのシーンはどうやら本物の映像らしい。

ストーリー自体は貧しい青年のサクセスもの。
栄光を掴んだ先の葛藤や悲劇は…分かりやすい展開なのでね(笑)

改めて闘牛というものを見ると現代の倫理観には合わないんでしょうね。
スペインの文化ですし他国の人間が色々言うのも御門違いなんでしょうけど、牛がかわいそうとしか思えなかった(笑)
背中に剣を刺されて生き絶えていく姿がなんとも。

それを抜きにしても特別面白い映画とは思えませんが、ドキュメンタリー映像はなかなかのものです。
フランチェスコ・ロージはそこまで個性的でないし政治的要素の多い映画も多数撮ったこともあって、個人的に当たり外れの激しい監督ではあるけど、この作品は中々面白く見られた

ドキュメンタリー三割ドラマ七割といった構成のこの作品は闘牛士を描いており、冒頭等祭の熱気が迸るドキュメンタリーシーンは良かったものの、そこから固定カメラで道を歩く主人公を映したカットになり、ドラマパートへの移行がわかりやすすぎる点にその後が不安になった

というのもドキュメンタリーとフィクションの混合的作品なのにそれが上手く混ざり合う感じがなく、いきなり期待が外れたのかと危惧したのだけど、その後の夜の街のシーンは結構上手く朧げになってて期待を取り戻せ、闘牛に乱入するシーンみたく面白い展開も所々にあり、闘牛シーンも普通に見惚れるほどの出来栄えでと、最初の杞憂が解消され楽しむことができた

それに言葉であまり語らず映像で語る姿勢は他のフランチェスコ・ロージ作品ではそんなに見られなかったもので、その点は良い意味で予想外だったのだけど、その路線をこれ以降貫かなかったことを小一時間問い詰めたい気分にもなった

しかし技の名前にあるとはいえ、こういうの映画に真実の瞬間なんてタイトルはさすがにあざとすぎだったんじゃなかろうか
電気羊

電気羊の感想・評価

2.6
闘牛士が牛へ放つ止めの一撃を「真実の瞬間」というとか。アニメの必殺技みたいでカッコいいね。闘牛士ってジムに通ってデビューするのも知らなかったし、ボクシングみたいだな思った。貧乏で何も持っていないときは命がけでチャレンジするが、成功すると金や名誉を失いたくないと臆病になるものが人間か。ラストは逆に牛からの真実の一撃で絶命してしまうわけだが、スペインの葬式が黒ミサのようで禍々しかった。あと、闘牛シーンは全部本物みたいだけど牛のパワーが凄いね。軽自動車程度なら体当たりで吹っ飛ばしそうだ。草食動物は大人しいとか言うけれど、とんでもないわ。
依緒

依緒の感想・評価

4.0
ミゲルがかっこよすぎる!
本物のスター闘牛士を主役に据え、ドキュメンタリーに近い作品。

闘牛の詳しいことを知らなかったが、ミゲルが才能を開花させ、のしあがっていくとともに、闘牛の流れも分かってくる。
牛さん可哀想だけど、でも最後の剣のひと刺しをスパッと決めることで、牛も長く苦しむことはない。
それを一瞬で決められるのが、真のマタドールミゲル。

金、名声、女、欲しいものは全て手に入るようになり、ミゲルはもう引退したかった。
しかし興行師達は儲けのために辞めさせてくれない。
そんな中、ミゲルは言い知れない不安と恐怖に襲われる。

オープニングがなんの意味を表しているのかわからず、ただ長く飽きてきたのだが、ラストで納得!

本物の闘牛シーン満載で、衣装も動きも芸術で素晴らしかった。
仕事を求めて都会に出てきた青年が、闘牛士になる話。セリフのない闘牛をやってるシーンが長い!!本物の闘牛の映像を見ればイイじゃん、本物のドキュメンタリー見ればイイじゃん、と思った。ストーリーとセリフはぜんぜんおもしろくなかった。
のん

のんの感想・評価

3.3

このレビューはネタバレを含みます


時代背景はフランコ独裁政権下。

スペインの、一種異様な怖いような復活祭(イースターと言った方が通りが良い?)のシーンから始まる。
スペイン闘牛界の光と影を、本職の闘牛士、ミゲル・マテオ・ミゲランを主演に迎えてドキュメンタリーのように描いていて、まあとにかく闘牛シーンは迫力。今となっては動物愛護の観点から実現しそうもないから、それだけでも収穫。

貧困から逃れるために都会へやって来たものの仕事がなく、「これじゃ意味がない…」と嘆く主人公が、「稼げそうだから」と闘牛士を目指す、そのリアルな動機が良い。
トントン拍子に成功の階段をかけ上るので「え?」と思って観てたら、ちゃんと待ち受けてました。
恐怖と不安とが…。

最後はまた復活祭のシーンで終わる、なんとも血の色を連想させる作品なのは、単に闘牛士が主演だからという理由だけではないかも。
フランコ政権だもん(…と勘ぐってみる)。
あ!でもそういえば興行師がミゲルに「闘牛士は軍人のようなもんだ!」と焚き付けてたし、やっぱり全体が暗喩なのかもね。


面白味に欠けるかもしれないけど、個人的にはミゲルの惚れ惚れする容貌と、荒々しい闘牛シーンで大満足。
メモとして。ザ・シネマで2017年5月12日放送。ザ・シネマは、ここ最近びっくりするような掘り出し物映画を放送してくれるな。