切腹の作品情報・感想・評価

「切腹」に投稿された感想・評価

新文芸坐、追悼・橋本忍特集。

芸州広島、福島正則が改易され、1万もの藩士が浪人となる憂き目に。
仲代演ずる津雲半四郎が井伊家の江戸屋敷を訪い、逼迫した生活にピリオドを打つべく切腹の場所を拝借したいと申し出る。
井伊家家老が言うには、以前に同じく芸州の浪人から同様の申し出があったと言う…

会話劇から始まる、体制の中枢にある者と羽根をもがれた落伍者の対峙。
サスペンスに満ちた脚本で、予期せぬ悲劇に巻き込まれた侍達の救いのない人生の顛末が映し出される。

クライマックスに至っても、カタルシスは得られない。
武士道の名の下、面倒な事に蓋をする社会悪、そこに生きる者の醜悪に、強烈なアンチテーゼを突きつける。


2018劇場鑑賞77本目
息詰まる会話劇と衝撃的な切腹シーン。
今の時代、こんなに顔面ドアップのショットに耐えられる俳優はいるのか。

橋本忍脚本だけに救いのない悲劇的なストーリー。どちらも悪くて、どちらも悪くない。誰が悪なのか、観客の見方によって変わるだろう。
食パン

食パンの感想・評価

4.3
日本映画史上の傑作と聞いてはいたけれど、想像を絶する圧倒的映画だった。仲代達矢の堂々たる存在感と覇気。それにオーラが人間じゃない。武士という者は誠にやくざな人種であると心得る。武士道の冷酷さ…江戸屋敷で語られる身の上話に戦慄。これは現代日本にも通ずる話でもある。というか今まさに起こってる事件だ。これだけ凄いんだから日本の古い映画観なきゃいけないな。
Wisteria

Wisteriaの感想・評価

4.7
これこそ日本映画の傑作だろう。
これほどずっしりこたえる余韻を与える作品はそうあるものではない。
なんて率直な題名だろう。
その簡潔さと裏腹に、えも言われぬ感情になる映画だった。

竹光で切腹する。竹光とは竹で作った刀である。それで自分の腹を自分で切りえぐる。想像しただけでもお腹のあたりがモヤモヤする。このモヤモヤは本作に始終つきまとい、登場人物とシンクロし冷や汗が流れそうな感覚に陥った。流れなかったけど。
三味線の音と色のない画面、そして仲代達矢の抑揚のない語り口調。今から切腹をするという武士の身の上話が明らかになるにつれ緊張感が高まり、やがてその懐からアレが取り出された時それはピークに達する。そして実際に真剣を用いたという殺陣。井伊家の家紋が血で染まる所はグッとくる。また無機物なはずの鎧兜の存在感もすごかった。そしてまた場は整えられ、最後は日本文学のような手法で締められる。

本質は多分ちがうけどこの映画と似たようなことは日々起きてるしネットとかでも日常茶飯事なので問いって大事だよね
「一命」のリメイク元がこちら。
時代劇というなかなか馴染みのないジャンルで、しかもモノクロだったとしても、俳優の演技力と本気の殺陣、カメラワークが最高だと、こんなにも2時間10分があっという間になるとは思ってもみませんでした。

<俳優の演技力>
仲代達也の演技が素晴らしい。浪人感があり、凄みと気迫がひしひしと伝わる演技。
対する三國連太郎も、丹波哲郎もまた味わいがありとても良いよかったです。

<殺陣・カメラワーク>
津雲半四郎と沢潟彦九郎の河原での殺陣。
あれで使用した刀は竹光ではなく、真剣だというから驚きです。
それぐらい美しくカッコ良い殺陣。
そして、七人の侍に通づる小林正樹監督のカメラワークが良いのです。

ここがクライマックスでもおかしくないぐらいの味があるのですが、ほんまのクライマックスがまた良い。
「一命」よりも「切腹」のエンディングの方が僕は好きでした。

武士にとっての武士道精神とは。
切腹とはなんなのか。
藩にとって大事な道理とは。

時代劇入門にもちょうど良い作品だと思いました。
TSUBASA

TSUBASAの感想・評価

4.3
【武士道精神とは】90点
ーーーーーーーー
監督:小林正樹
製作国:日本
ジャンル:時代劇
収録時間:133分
ーーーーーーーー
平均スコア4.3を誇る作品はそうそう無い。期待を膨らませて見たら、期待通り途轍もなく面白い傑作でありました。武士道の脆さ、そして武士社会に対して批判的に捉えた時代劇。話はシンプルでありながらも最後まで鑑賞者を飽きさせない工夫がされています。音声も聞き取りやすく、とても50年以上前の作品と思えないくらいです。

時は1630年。江戸時代に入り争いが少なくなった世の中。そこでは生きる意味を感じずに放浪する武士、すなわち浪人が増加していた。そんな中、武士道精神に基づいて自ら切腹をしようとする輩が増えてくるのだが。。

切腹は日本独自の処刑法であり海外でもそのままseppukuという言い方をされているそうです。処刑といってもその色合いが強いのは最後に首を斬る介錯であり、半分は自決であります。自分の不始末は自分でカタをつけるという、如何にも日本人らしい考え方はこういうところからも垣間見れます。大体、海外の処刑となれば処刑される者が逃げ出せないように拘束具をつけるのが普通ですが、日本の処刑となればそうはいかない。自分に非を認めさせ、かつ自分で最後の行為を行わせるわけですから、良い意味で言うと潔いですが、悪く言うと卑怯であります。ともかく、その切腹をしたいという輩が増えてきていたため、井伊家の家老である斎藤勘解由が本当に切腹を実行させるに至るのです。

実は切腹をする人が増えてきていたというのは嘘であり、切腹を口実に屋敷の中に入り、何か食べ物を貰おうというものに過ぎなかった模様。もちろん本当に切腹をしたい輩もいたかもしれませんが、大体はあまりの空腹さについた嘘であります。なのでハナから切腹をする気がない輩がほとんどなのです。まあでも他に口実はないのか。切腹をする気がサラサラないのに運良くそこに入れても、激怒した主に斬り殺されないのかと要らぬ心配もしてしまいます。そしてついにそういうことが起こってしまいます。それが今作の内容なのです。
仲代達矢演じる主人公津雲半四郎はそういう理由できている訳ではありませんが、それほ今作を見ていけばわかってきます。程よく殺陣のシーンもあり、後半のとある人物たちの殺陣シーンは本物の真剣を使っているようです。

切腹とは何なのか、日本人が疑うことのなかった武士道精神とは何なのかということを考えさせられるとともに、それを世界的に見たらどういうものであるのかということも薄々わかってきます。我々が是としたものは、果たして非ではないのか。今作は国内よりも海外からの評価が高く、外から見た極めて異質な文化に衝撃を受けた人が多かったのかもしれません。これは見るべき作品の一つと言えましょう。
とんでもない
時代劇なんてそんな見たことないから他と比べようがないけど、脚本が良ければ昔の映画だろうが関係なく抜群に面白いことがわかる
>|