一粒の麦の作品情報・感想・評価

「一粒の麦」に投稿された感想・評価

2014年9月13日、神保町シアターにて鑑賞。 
若尾文子出演の未ソフト化映画だったから観に行った。 
冒頭の出演者リストでは主演扱いで、確かに物語の面でも主役っぽいが、実際の主役は農村から集団就職した子供たちだった気がする。

若尾文子の魅力も充分にフィルムに焼き付けられていたかというと疑問である。

音楽:池野成の特集ということで、確かに「冒頭の麦穂アップにかぶさる音楽…♪多くの実を結ぶべし~~♪」などは印象的であった。 

珍しいタイプのオート三輪、(他の映画でも良く登場する)オバケ煙突などなど、昭和の風景をカラーで見られる。
Hawkwind

Hawkwindの感想・評価

2.0
中卒集団就職残酷物語。専用臨時列車に乗って上京したが、一年後には殆どが転職等で苦境にという何ともせつない話。若尾文子は中学校の教師役で出番は多くはない。フィルムの保存状態が悪かったせいか、音声が劣悪なのが残念。
福島から集団就職で上京し懸命に生きる中学卒の若者(金の卵)たちと、ことあるごとに上京しては彼らを支える中学教師の話。

登場する若者達は、15歳そこそこで右も左も分からない異境の地に夜汽車でやって来て、低賃金で重労働の町工場で働き、将来の不安を抱えながらその日その日を生きている。一方、夢だの希望だのを堂々と口にして、(結果はともかく)堂々とその道を歩いて行ける現在の我々のなんと幸福なことか。

…と、素直に思える良作。そして若尾文子がやはり美しい。
notitle

notitleの感想・評価

3.8
50年代、
大きな夢と希望を抱き、
集団就職で上京する、
少年少女のお話。

決して、あまくはない。
現実の壁にぶつかり、
時には潰れ、
試行錯誤しながら、
強く成長してゆく姿が印象的。

軽薄になった、現代とは異なる、
力強さと、優しさを感じた。
強く生きようと思ふ。

若尾文子美し。
青二歳

青二歳の感想・評価

3.9
集団就職をテーマにした映画!from 福島!タイトルは聖書。新共同からとると、ヨハネ福音書「はっきり言っておく。一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば多くの実を結ぶ。」イエスが死ぬことを受容している宣言というか、自分の死が意味あるものであり、のちに実を結ぶことを知っていて、犠牲を恐れていないかのような一節。エルサレム入りした時の言葉、ゴルゴダ行きのフラグが立ちまくってる時の発言です。強がり発言にしか聞こえませんが、まぁそんな言葉です"一粒の麦"。

閑話休題。この映画は若尾文子可愛い盛り!ってことが見所…というばかりでなくもうひとつ意味がある。1958年で新藤兼人脚本なんですね。のちに永山則夫事件で再び集団就職に焦点をあてる訳ですが、新藤兼人はこの映画に出てくる福島の中学生たちと永山少年(49年生まれ)を重ねることはあっただろうかなと考えます。

1958年当時の15歳となれば、戦中43年生まれ。その少年少女が臨時集団就職列車に乗って東京に向かう。映画はその就職先でのドラマが各様に展開。やや感傷的な演出が目立つものの…よく出来た映画です。
例えば初っ端の臨時集団就職列車の異様さ。そして国鉄ホームで流れる福島県知事(?)かなにかの激励がオープンリールのテープで繰り返されているシュールさといい、その後も随所にゾッとするセリフや小物が散らばってるんですよ。

果たして経済成長を支えた彼等は一粒の麦だったのでしょうか。現代の日本のこの生活水準を享受する度に先人に感謝を送ることは無論忘れられない。けれど犠牲なのか。このタイトルはなんの意味をもつのか。