今夜、列車は走るの作品情報・感想・評価

「今夜、列車は走る」に投稿された感想・評価

アルゼンチン映画。日本公開当時に映画館で観賞。

物語は鉄道で栄えた小さな町が舞台。ある日、鉄道の廃線が決まったことで人々は困難な状況に陥ります。経済的な困難はもちろん、鉄道員として誇りを持って働いていた人々は苦悩し、追い詰められ、町は閉塞感に覆われていきます。

重く苦しい場面ばかりでなく、所々に散りばめられた日常的ユーモアが重い空気を緩和してくれます。また、登場人物それぞれにそれぞれの愛を感じさせるシーンは力強さを感じさせてくれます。

ハリウッド的なミラクルは起きません。でもそこには確かに希望がありました。
見終わった後には、胸が熱くなるような感動に包まれました。
eri

eriの感想・評価

2.8
新自由主義・グローバル化がもたらしたものを表現した映画。
たしかに経済上は景気回復したのかもしれないけれど、数字以上に失業者が溢れた。実際アルゼンチンでは民営化によって16万人が失業した。職を失っても生きていかなくてはいけない不安、それでも社会は助けてくれない冷酷な現実を突きつけてきて、これが本当にあったとは信じたくない…。
「保険」がどれくらい自分たちの生活にとって大切なものなのか実感した。オバマケアや保険に否定する人々もいるけど、私は自分の大切な家族を守るために絶対に必要な制度だと思う。
この映画の中でも、子供の病気のために吸引機が欲しいけど保険が切れていて中古でも買えない家族が描かれていた。熱を出してもお金がないから医者を呼べなくて自力で氷水で熱を冷ましてるシーンの、子供のうるんだ瞳を見たら絶対に守らなきゃ…!って気持ちに私がなった(笑)
犯罪に手を染めた人の愛人?の人の電話が虚しかった…。みんな誰もが愛されてる。その事実だけで十分なのにお金がないだけで犯罪に手を染めて無残な死を遂げ手をしまう…。お金は大事だけれど、最低限の生活は保障しなければいけないよ…。
虚しい気持ちでいっぱいだったけれど、最後は一筋の希望を見せてくれるシーンで良かった。
新自由主義を経て数字以上に大変な世の中になったけれど、一筋の希望を目指して決して諦めず進んでいく、というアルゼンチンの強い意志が感じられた。いい映画!
えりみ

えりみの感想・評価

4.0
アルゼンチン映画って初めて見た。30代の監督やって!なかなか面白い。
90年代鉄道などの国営事業が軒並み民営化されて安定した職業に就いたとばかり思っていた人達が軒並み路頭に迷う・・・って話。

映画の最後にはちょっとした希望と言うか、自棄になったり死んでまう大人がいるなかで子供達が前向きに行動する姿があって、何となく救われた気持ちに。

登場人物のカルロスとアティリオの区別がつかなくてちょっと混乱。
海月

海月の感想・評価

4.0
良作!!
ラストは熱くこみ上げてくるものがあった。どんな不条理もそれに嘆いているだけではダメだ自分自身も変えて強くならなきゃってメッセージを残したと思う。
それとアルゼンチン人には違和感ないんだろうか、音楽もこの場面でなんでその音?ってなるのも面白かった。
ai

aiの感想・評価

4.1
アルゼンチンはかつて鉄道王国でもあり、中南米の中でも例外的に地下鉄も含み鉄道網が整備されていた。

日本でもお調子者元総理が、アメリカの言いなりで外資を呼び込むために、郵政民営化なんぞしやがったが、アルゼンチンでは道路輸送の需要超過の陰で鉄道投資の赤字と衰退は続き、国内貨物輸送の鉄道のシェアは7%にまで下がっていったそうだ。
そこで鉄道を民営化したのである。
その結果、地下鉄と観光用鉄道を除く路線がほぼ廃止、大規模なリストラが断行され、90年代前半に実施された民営化の前後に90%の鉄道労働者が職を失った。鉄道民営化は国家の影響力など含め、アルゼンチンという国の崩壊を象徴している。
富める人はますます富み、貧しい人はますます貧しくなる。今の日本も同じであるが、アルゼンチンの貧しさは比較にならないであろう。

色々と薀蓄を並べたが、ぜひこの背景を知って鑑賞してほしい。
この作品はリストラされた鉄道員と、その家族が苦しい日常を淡々と生きているリアルな姿が描写されている。ハッピーエンドではないが暗いだけじゃない、子供たちがその現実を受け止めながらも、小さな抵抗・希望が感じられる映画だ。
国家に翻弄される国民、富と権力しか考えられないバカな政治家は、どこの国でも同じなのだ。
ハリウッドでは絶対に作れない映画であろう。
panda

pandaの感想・評価

3.7
初見時の感想が残っていたのでペースト

久しぶりに映画館で号泣してしまいました。
現実を突きつけられるような、それでいて人の情や愛すべき弱さを感じるような映画でした。
アルゼンチン映画なので、スペイン語の切ない響きや映像の色の具合もツボ。
音楽もよかったです。
最後の列車が走るシーンは、思い出すだけで泣けてきます。
決してハッピーな映画ではないです。
でも、たまにはこういうの観ないとなあ。
働くこと、元気で心豊かに生きていくことがどれだけ人間にとって大事なことか考えさせられました。

この映画のラスト、生きることにもがき苦しむ大人達を勇気づけるようとした鉄道員の子どもちの行動。
それは何の解決にもならないことかも知れないけど、なぜこんなに涙が止まらないほど胸を打つのか、どうにもならない事にも自分達の誇りをかけて抵抗や訴えをする力、その気持ちの強さをみた時、決して無駄にはならない人間として尊いものを感じました。

90年代のアルゼンチンの民営化は、80年代後半にできた親米政権の政策によって、鉄道に限らず公共性の高い生活に密着したものが次々と民営化され、多くの失業者を生み、格差や貧困につながっていったという背景があります。
こんな矛盾をはらんだ社会とそれに翻弄される人々を描き、力強く心に訴える作品だったと思います。