女の中にいる他人の作品情報・感想・評価

「女の中にいる他人」に投稿された感想・評価

ほし

ほしの感想・評価

5.0
「一家の団欒に加わることのできない小林は、ただ一人隅の暗がりでまたしてもキャメラに背を向け、一度電灯のスイッチを入れるが思いなおしてすぐに切り、決して家族と同じ光を浴びようとしない。「事件」があった、といいかけてあわてて「事故」があったといいなおす小林は手前の暗がりで煙草に火をつけ、それを聞いた新珠は奥のあかるみから手前の暗がりへと入ってくる。煙草を吹かす小林が逆光でかろうじて浮かび上がるのに対し、ここで新珠の顔はほとんど陰に塗りつぶされてしまうが、この瞬間、起こったことがなんであったにせよ、新珠三千代はすでにして夫の共犯者へと変貌しているのだ。」(藤井仁子「シネマの中にいる他人ー最後から三番目の成瀬巳喜男」)
Toku

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4.1
嫉妬心は怖い。平和に暮らしていた人を殺人者にする。誰もが殺人者になる可能性があるというスリラー映画。
2014年9月19日、池袋・新文芸坐にて鑑賞。

新珠三千代の名演が光る成瀬巳喜男監督の大傑作。

印象的だったのは、終盤の「花火」と並行しての『ウイスキーをくれないか』という小林桂樹のセリフ。
それまで、予感がしていた事もあって、新珠三千代の顔を観た時に鳥肌が立った!!

「犯罪場面で『輪郭を際立たせる』映像処理」が見事であった。

見逃してはならない大傑作だった。


100点満点では点数が足りないぐらいの日本映画史、いや世界映画史に残る傑作といえよう。
324

324の感想・評価

4.0
サスペンスなのに転々とせずとも緩めのテンションが張りっぱなしで成立している。すごい。これもまた俳優陣が皆良い。特に数カットで充分過ぎる説得力を放つ若林映子の悪魔的魅力。
初めのバーからカメラがかなりいい。ただ台詞と演技がかったるい。けものみちの福沢康道。
ひろ

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4.0
エドワード・S・アタイヤの「細い線」を原作に、成瀬巳喜男監督が映画化した1966年の日本映画

メロドラマの巨匠成瀬巳喜男のサスペンス映画というのが異色だが、過ちを犯した夫の妻の心情を巧みに描いているところは、やはり成瀬映画らしい。自分の罪に苦悩する夫と、自分と子供の未来を守ろうとする妻。夫婦の思惑のすれ違いが観ていて怖い。秀逸なタイトルである「女の中にいる他人」にあるように、情とは切り離した女の中の別人格には身震いする。

憔悴していく田代を演じた小林佳樹の芝居もよかったけど、優しくできた妻でありながら、即座に立場を守ろうとする妻を演じた新珠三千代が素晴らしかった。宝塚のトップスターだった気品を感じさせながらも、女の怖さも表現していた。妻を殺されたにも関わらず、男前過ぎる杉本を三橋達也が好演している。

殺された妻さゆり役の若林映子。この作品では殺されてしまうから出番は少ないけど、海外での人気が高かったという美貌には惹き付けられる。「007は二度死ぬ」でボンドガールに選ばれたのは伊達じゃない。若き黒沢年男が脇役で出演していた。成瀬映画の常連俳優があまり出ていなくて、サスペンスというのも珍しいけど、やっぱりこの監督は女性を描くのが上手かった。
coma

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4.3
乱れ雲でも思ったけど、こちらの方がさらにヒッチコックみたい…。リアルで細やかな和製ヒッチコック!
美しい夫婦愛もいいし、タイトル通りにそれが裏切られる説得力もよい。
成瀬のサスペンス。「それは悪ふざけのようなものでは無かった。キチガイじみた “恐ろしい興奮だった”」ある男の妻の“事故”から物語は始まる…。この映画の女は男の顛末と命を共にする覚悟の女ばかり。女の強さ。秀作。
一応サスペンスなんですが、誰が犯人かとかではなく、犯人とその周辺の人間の心境、苦悩を描いている作品です。
犯人はいくら妻や子供が苦しもうが罪を認め、自首することが正しいと考えそれを妻 子供もわかってくれると言っていましたが、流石にそれは自分のことしか考えていなさすぎると思います。罪を犯してしまったことに対する苦悩は犯してしまった人てないとわからないと思うので、僕が言えることではないのかもしれないですが、罪から解放されたいのなら、自殺するという選択肢が少なくとも自首よりは周りに迷惑をかけないと思いました。
cinemar

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このレビューはネタバレを含みます

人間の表裏を思わせるような強いコントラスト

夢か真の境界の曖昧さ、故に殺しをしてしまうほど人間の神経はモロいものなのかとも思った反面、どこにでも殺人の種は蒔かれているものなのかとも思った。

停電の夜の告白からの家族4人のコーヒーカップ。
血相変えた妻の顔を徐々に照らす車のヘッドライト。
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