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『浜辺の女』に投稿された感想・評価

muscle

muscleの感想・評価

5.0
どエモいホンサンス。一回目を軽々とニ回目夜が超えてくれるので本当にすごい。謎理論本当に好き。
最初に居酒屋の店外でキレた3人が立ち直すところで、被らないように入れ替わり立ち替わり場所を交換し合う。いったいリハーサルどんだけしたんだ。

このレビューはネタバレを含みます

ヒロインが、白い犬を連れた人に出会う。
「お利口そうですね」
「皆が、かわいいと」
「トリミングを?」
「(犬種的に必要ないので)しません」
「かわいい」
ほんわかな一幕の後、さらっとで立ち上がる人間の残酷さ。
現実にあったら人として最低だけど、まさに映画ならではのワンシーン。+0.2
本作の主題は、突き詰めれば、あそこに集約されている。
ふいに訪れる自己や他者に対する冷徹な眼差しは、映画監督に必須の要素だね。
好きかもしれない?ホン・サンス監督の過去作を恐る恐る。

2006年の作品で、近年の監督作に比べるとかなり長尺。
シナリオもしっかりめに作ってあると感じた。
何かを暗示するようなカットの挿入多め。
ズームもある。(謎ズームではなかった)

やってることは今とそんなに変わってなくて、

主人公は監督を投影したと思われるキャラ

偶然出会った女性に「あなたかわいいです」と言う

女性は「監督のこと知ってます」「すごいです、尊敬します」と言う

近隣の食堂で楽しく飲んで、、

という流れだ。


ちなみに登場人物たちが飲む焼酎の量はこの頃の方が断然多い。空き瓶がゴロゴロ。
今回のヒロインは一人でも爆飲みして、食堂の店主にあなた飲み過ぎです、と言われた。

近作ではテーブルのチャミスルの瓶は4本程度なので、監督の酒量が減ったのか。


本作の感想は、面白いけど面白くない、です。

私は役者で映画を観ているつもりは無かったけど、とにかくキム・ミニの不在を感じた。

やはりホン・サンス監督にとってのミューズと呼ばれるだけある。
この二人にはケミストリーがある。

どこか牧歌的な作風なのにヒリヒリとした焦燥感があるのは、キム・ミニの存在が大きかったことに気づいた。

本作の序盤、シナリオを書くために海辺の観光地に行くのに、監督の助手が彼女を連れてくるんだけど、え?まさかこの人が今作のヒロイン??となった。
いや、この話におけるリアリティはめちゃくちゃあるんだけど。

思うにこの頃ホン・サンス監督は写実的なリアリズムを指向して、かつ自分を投影した主人公に悪意があったのかな。
現実に起こることの醜悪さを描く、みたいな。


キービジュアルの写真、劇中でこの服着てるシーンは無いです。
内容とパケ写が全然違うけどそれもホン・サンス監督の悪意なのか?

あと、珍しく監督役の長い独白もあって、私はひとつ疑念が生じた。
これには結論を出さず、もう少し過去作を観てからにしよう。恐る恐る。


犬と散歩してはしゃぐ監督がキラキラして可愛かった。(怪我するけど)


ノートに図形を書くシーンのなんじゃこりゃ感。

監督が本気でこれを書いてるなら相当に気持ち悪いけど、女性を煙に巻くために適当やってる可能性もあり、、どっちなんだろう。

直後の監督のすごく嬉しそうな表情を見ると後者が正解かな。
P

Pの感想・評価

4.0
初ホン・サンス
ホン・サンス・ズームてこれか
これは発明ですねw
手書きのオープニング、変態ズーム、おとぼけBGM、要素は今とさほど変わらないのに空気の重さが全然違うという不思議体験をした。さてはホンサンス、戯言の連続で空気をあやつる天才なのだな。さすがに浮気を正当化するためにイミフ理論を展開する男とそれを聞いて納得する女はばかばかしすぎて吹いた。真面目に話聞いてた時間返せ!という感じで本日もホンサンスにしてやられております。ありがとうございました。
レク

レクの感想・評価

3.7
女性に焦点を当てつつ、だらしない男をコミカルに描くこの視点の鋭さ。
反復することで生じる差異が視覚的に分かる男女間の構図とストーリー構成も面白い。

ホン・サンス監督のフィルモグラフィーではまだ初期の方の作品だが、演出面に関してはもう確立されつつあると感じる1本。
再見。

ホン・サンスのばかばかしい面白さは全てこのフィルムに詰まっているともいえる。

最近ではやらなくなった望遠レンズでのパニングは見応えがあった。
パッとしない何もない海辺のペンションの風景が妙に残る。
一方が真剣に内面を語ろうとした時、もう一方の目線は移ろい、何かべつの事を考えている。ようやく自分の事を語ろうとする時には、今度は相手が明後日の方を向いている。あるいはもうここにいない。
全ては微妙にズレていて、他人は全く思い通りにならない。
しかし、だからどうしたというように浜辺を走り去るラストの車が気持ちいい
イメージと実体の話みたいなのを延々とやってほしい。急にキレるのマジで好き。
まさに内容に見事にマッチしたタイトル。

ホン・サンス監督作品のこれまでの登場キャラクターの中でも、今回の主人公である“映画監督”の男ほど、軽薄で好色で狡猾な人物は見たことがない。

旅先で後輩の女友だちを寝取り、かと思えば別の女性ともアバンチュールをちゃっかり楽しみ、浮気を疑われると癇癪を起こして逆ギレするという・・。男性目線で見れば、演じたキム・スンウの容貌もあいまって、まあ可愛げがあるというか、滑稽で痛い男だなあくらいで済むのだが、女性視聴者はどう思うのか気になるところ。

ホン・サンス監督ならではのリアルな会話劇・・他の作品群では最後の最後まで他愛のない内容であることもあるのだが、本作に関しては、結構、男女の駆け引きの本質を突いている部分もあって中盤以降の台詞やストーリーの流れ自体も面白い。

浮気を疑われた主人公が、多角形のでたらめな図形で男女の恋愛について説明し誤魔化そうとするシーンは傑作。「自分を跨いで出ていったのか否か」に拘る女性心も、何だかとってもリアル。

一人の男を巡る女性同士が食卓で刺身をつつき合うシーンも面白い。

監督がお気に入りの東海岸ではなく、韓国の西海岸のひなびたリゾート地を舞台にしているのも新鮮で画になる。

個人的に好きな作品だけど、2時間超えさせるほどの内容ではないかな。
ジャケ写が作品内容とかけ離れた爽やかさで、個人的にはツボ。
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