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くぅー

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3.6
ずっと気になっていて、やっとのことで鑑賞。
市川雷蔵が長髪で道鏡を演じているが、史実を大胆過ぎるほどにアレンジした怪作。

3,600日の山籠り仏法修行にて、死人を甦らせる様な法力を得た僧侶、やがて朝廷に呼ばれ、女帝の病を法力で治して寵愛を受け、謀反さえも防ぐ前半・・・おどろおどろしさもあり、なかなかの見応え。
後半は一転、美しき女帝と一線を越えてしまい、戒律を破ったがゆえに法力は失せ、女帝への愛と仏法僧としての己との葛藤のドラマが描かれる。
さらには、政権争いにも首を突っ込む描写も興味深く・・・政は権力ではなく慈悲ってメッセージは、今の議員の方々に届けたくなるが。

何だろう、怪作と紹介はしたが、寓話的な余韻にも浸れた作品。

そう、城健三郎こと、若かりし若山富三郎の悪役ぶりにニヤリ。
市川雷蔵が道鏡を演じる異色作
冒頭のおどろおどろしい雰囲気、ヒッピーのような姿からてっきり悪役でいくのかと思ったらそうはならず
寡黙で謎めいた怪僧だった前半に比べ、後半の盛り下がりははんぱない
いくら女帝が美しいからって、そりゃないでしょと、いきなりキャラ変わりすぎでしょと
道力が無くなり、神仏に見捨てられるのも仕方のない落ちようでした

ちなみに道鏡って名乗ってはいるがストーリーはほぼオリジナルで史実とは程遠い内容です
あとは撮影が結構綺麗です、モノクロの光と影のコントラスト、ローアングルの構図、なかなか良かったです
当時としては珍しかったであろう純真高潔な道鏡像…
道鏡役の市川雷蔵さんは、本来この役のために髪を剃ったが、監督の意向でフサフサロン毛&ワイルドなお髭姿となったそうな。つるつる美坊主道鏡、惜しかった…
恵美押勝(作中では藤原良勝)は完全なるかませ犬。恵美太師通常運転です。
市川雷蔵のスタイルからしてB級感満点だがそんなことは無い。奈良時代、女帝・孝謙天皇の寵愛を受け権力の座を登り詰めた僧・道鏡の話。歴史で習った藤原仲麻呂の乱(恵美押勝の乱)も出てくる。

かといって、絢爛たる王朝絵巻あるいは重厚な歴史絵巻かというと、そうでもない。

妖術を操りつつ民のために尽くそうとするむさ苦しい怪僧が、純粋無垢に育った処女で美人の女帝と出会い善政を行うが、それに嫉妬した藤原氏が謀反を起こす、というのが物語の前半。そして後半では、ピンチを乗り切った怪僧と女帝が、実行しようとしていた善政はどこへやら、一大メロドラマを繰り広げる。

文章におこすと何が何やらわからない物語のようだが、決して支離滅裂というワケでは無い。ただし、B級では無いものの怪作の部類には属する。