愛のレッスンの作品情報・感想・評価

「愛のレッスン」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

 [ライト・コメディー]

なかなか面白かった。

 最初の始まりは、軽過ぎると思ったのだが、話が進んでいくうちに段々事情が分かって来て、巡り巡って、最後には、それで元の鞘に収まるのか,という感じ。

 結婚をあっさり蹴って、親友と結婚する辺りや、酒場での騒ぎが元に戻る切っ掛けになる所は、ちょっと荒っぽいストーリイだが、役者の上手さとノリで引っ張って行くのが、面白いことは面白い。

 ダビッドのグンナール・ビョルンストランドもマリアンヌのエヴァ・ダールベックも上手くて引き込まれる。

 イングマール・ベルイマンには、こんなライトコメディもあるのだと驚かさせる。(2018.8.26)
Moeka

Moekaの感想・評価

3.6
この物語は悲劇になりそうな喜劇である...ウディ・アレンが好きというのも納得の悲喜こもごもの恋愛劇。お互いを愛しながらも相手を嫉妬させるしか相手と自分の気持ちを確認できない大人の姿には胸が痛くなる。ただ恋愛に限らず生や死、人生といったテーマもコミカルに心に残る台詞たっぷりに描かれているところが好き。
冒頭のオルゴールを映しながら「この物語は悲劇になりそうな喜劇である」といったナレーションで始まり、何気なく観始めたら、芸術と娯楽を兼ね備えたイングマール・ベルイマン監督の大傑作であった。 


医者の診察室で、患者女性=ベラン夫人と別れ話をする医師ダビッドは、かなり自由な恋愛をしている様子。まもなく車で出かけたダビッドは、ベラン夫人との出会いを回想する。 
車が到着した駅で列車に飛び乗ったダビッドであるが、ここで「雨に濡れる列車の窓に、ダビッドの横顔が映り、外の流れる風景を描いたシーン」が素晴らしく綺麗である。こうしたシーンを見られるので、ベルイマン監督作品を観続けてしまうのだ。 

続いて、列車の中で子供2人の写真を見て、父子のエピソードを回想するダビッド。 
娘は『不良少女モニカ』(本作の前年に製作)のハリエット・アンデション。その弟もいる。 

その後、ダビッドとその妻マリアンヌの男女の回想シーンで物語が、過去と現在を同時に描く見事さ。 

妻マリアンヌも自由な恋愛をしているが、夫ダビッドに言う「私達が本当に幸せだったのは、子供たちが生まれる前の二人きりだった頃」というセリフは、現在の世間一般でよく耳にする。

「女は神だ」とか「死とは永遠の命を生きることだ」とかのセリフも、ベルイマン監督らしさが出ている。 

映像面でも、家族でピクニックに行って、夫妻が見上げた木々の間から漏れる「太陽の光」は、この映画がつくられた1954年より前の黒澤明監督『羅生門』(1950年)の影響がモロに出たシーンである。 

物語は楽しく、映像も綺麗で、セリフも秀逸。こんな作品を今まで観ていなかったのが不思議に思えるほどのベルイマン監督の大傑作である。
pika

pikaの感想・評価

4.0
「神の沈黙」や「生と死」という重厚でヘビーなテーマに、ユーモアやコミカルさを散りばめてくる見事な凄技を持つベルイマン監督によるロマンティック・コメディはひと味もふた味も味わいが違う。
次作「夏の夜は三たび微笑む」の主演が同様に共演しているし試作品のような印象。

シーンの切り替わりに荒さはあるが、シーンひとつひとつがニクらしいほど面白い。
ウィットに富んだ台詞や、悲劇から喜劇になだらかに変遷していく展開が堪らなく魅力的。この試行が「夏の夜は〜」で完璧な完成度で昇華するとはさすがベルイマン。

キャラクターの心情や感情を見せるのではなく単に男と女の恋愛観を表現している印象なので奥深さがあるわけではないが、普遍的で誰もが心に持つ感情を表現していること自体に意味があり、自分を投影させたり端々に散りばめた目がさめるようなインパクトを持つ台詞によって重ね合わせて考えさせる側面もある。

そんなことを思考しつつも終始一貫してコミカルな雰囲気を保つベクトルは好感が持てるし、その中で大きな輝きを放つグンナール・ビョルンストランドの素晴らしい巧みな演技と個性的なキャラクター性がとにかくマッチしていて、作品自体の魅力を高めている物凄い存在感が大好きです。