不沈のモリー・ブラウンの作品情報・感想・評価

「不沈のモリー・ブラウン」に投稿された感想・評価

半兵衛

半兵衛の感想・評価

3.8
お金や裕福になることに執着し、大金をつかんで成り上がっていく女性モリー・ブラウンの半生を映画化したドラマ。苛めてくる奴らに対して顔を踏まれたりしても屈しない冒頭や周囲の目を気にせず出世していくその姿はピカレスクっぽいが、そんな悪党とは違いモリー・ブラウンは汚い手は使わない。また彼女は欲しいものを手に入れるパワフルさと周囲の目を気にしない厚顔さを持ち合わせているが同時に内面は優しく、どこか愛嬌があるので温かく見ていられる。

彼女が一から出世していく前半はやや退屈するが、上流階級の仲間入りを果たす後半から面白くなっていく。新参者のため社交界のリーダーである夫人や周囲の人達から無視されるのに対し、モリーは様々な手段で自分の存在を認めさせようとする。四面楚歌状態から人たらし的な手腕で徐々にのしあがっていったり、大盛況のパーティーでのハチャメチャな騒ぎの痛快さは溜飲がさがる。同時に上流社会に馴染めず、故郷に帰ろうとする夫とのすれ違いがドラマに奥行きを加える。主人公をはじめ父親や、ライバルの夫人、ライバルの母でありながらモリーを応援する老女など濃いキャラクターも魅力的。

お客さんが最も見たいであろうモリー・ブラウンの名を一躍有名にしたタイタニックのくだりはあっさりと処理されているものの、そのわずかな描写に彼女の生きざまが集約されているのが粋。
上旬

上旬の感想・評価

4.6
【第37回アカデミー賞 主演女優賞他全6部門ノミネート】
TSUTAYA発掘良品で入荷していたので借りてみた。期待以上にとても楽しかった。好きだなこの作品。

監督は『イースター・パレード』『サマー・ストック』などのミュージカル映画の名手チャールズ・ウォルターズ。『雨に唄えば』で一躍スターとなったデビー・レイノルズがタイタニック号の生存者としても知られる実在の人物、モリー・ブラウンを演じた。

確かにモリーはなぜかジムに気に入られ、たまたまお金持ちになるだけで何の努力もしていない。薄っぺらいキャラクターになってもおかしくなかった。でもデビー・レイノルズの役のハマりっぷりによって見事に命を与えられている。

粗野で教養もないけど人懐っこくて芯がある。そんな彼女を誰もが愛さずにはいられない。夫との愛情と裕福への執着が見事に帰結するラストは泣いてしまった。

演出としても無駄を省きミュージカルのツボが押さえられているし、指輪やベッドなど道具の使い方も実にスマートだった。歌よし踊りよし美術よし、素敵なミュージカル作品だった。

実際のモリー・ブラウンは『タイタニック』でも描かれた通り金持ちを鼻にかけず船を戻して命を救った人物であり、ジムとは別居しながらも生涯離婚はせず、慈善事業に精を出す慈善家だったという。その後の彼女にしっかり繋がる余韻がちゃんとあるのも見事だと思う。
MGMミュージカルの中でもバカみたいに売れた作品だが、作品の出来としては普通。デビー・レイノルズをキャスティングしたのは良いものの、ブルジョワになってからの展開がクソつまらん。あと男性役はハワード・キールで観たかった。実在の人物をベースにしているらしいが、期待していたタイタニック描写はほぼなし。タイタニックのセット組んでぶち壊すくらいしてくれよ〜。
lemmon

lemmonの感想・評価

3.9
タイタニック号の生存者であり、人生も決して沈まないど根性女モリーブラウンの生涯。


成り上がりで中流住宅街に移り住むが、下品と一掃され総スカン。で、だからなんだ!
ヨーロッパで洗練されてくるわ!とヨーロッパ旅行。そこではなぜか彼女の個性が大歓迎!

前半少しもたつくが、中盤からの上流に憧れる中流階級のババアどもとのやりとりからは息を吹き返す!
レイノルズの踊りも冴え渡る!

彼女を大切にする旦那は運もあり大金持ち。でも、本当は田舎でゆっくり過ごしたい。そんな旦那とのイザコザもドラマ要素に!

いやー楽しかった!
クライマックスが、あの超大作映画タイタニックを嘲笑うかのような(こっちが古いけど)、端折りかたで驚く。
まあ、全体通して、あっけらかんとしていて最高😆

レイノルズはほんと素晴らしかった。
前半の田舎娘から、後半の美しい洗練されたマダムまで、別人と思えるほどの変身っぷり。
ポイントは外見だけ変わったところ。中身のモリーブラウンは常にぶれず!それがまた嬉しい😁
洗練される意味って何なんだろう。

旦那役のプレスネルはブッサイクに見えたり、イケメンに見えたり面白い俳優だった。
あとはハーマイオニのおばっちゃんっぷりが最高😂
笑った笑った!


絶対にまた観る!
前半だなあ。また観たら点数上げるかも😏
Filmomo

Filmomoの感想・評価

3.9
①「私は誰にも屈しない」「私は誰の下にもならない」と力強く歌う冒頭のデビー・レイノルズ。ぼさぼさの短い髪、男まさりで、一緒に暮らす兄弟のような子ども達からは馬鹿にされるが、いつもやり返す。そんな暮らしを続けていたデビー=モリーはこの田舎暮らしから出て行く決心をする。洪水によって1人赤ちゃんの時に流されて奇跡的に助かったモリーは、デンバーへ行って伴侶を見つけると、育ての親に謝意を伝えて出て行く。この若きモリーが後に、タイタニック号の生き残りとなるモリー・ブラウンへと成長する。まったく女っけがなく、字も読めないし書けない。場面変わってコロラドの大自然の中で、「コロラドは我が家、この山々がなければ俺もつまらない人間になっていたかもしれない」と歌うジョン・ブラウン、のちのモリーの伴侶となる男が空腹のモリーを家へと誘う。しかしモリーは教養もなく、好意を無にして後さき考えずにジョンの家を飛び出す。デンバーの街で通りがかった酒場で働くことになる。「歌ってピアノが弾けたら雇おう」と言われるが当然ピアノなんて弾けるはずがない。それが適当にやってると簡単な和音を弾けるようになる。「さあ酒場へ行こう」と歌い踊るデビーは、まるでヤケクソのように見えるが、その動きは完璧に計算された動きで、まあとにかく手足を振り回しよく動く。そして後を追いかけてきたジョンに手荷物を渡され、彼の優しさに気付いたモリーは彼から読み書きを習うことにする。やがてジョンはプロポーズする。ジョンの愛を受け止める場面はとてもいい。「私はこの悲惨な暮らしから抜け出すために金持ちと結婚したい!でも私は嘘をつけないの!あなたが好きだから」②ジョンはモリーのためにログハウスを作り家具を揃える。「思い描いていた夢とは違うけど、心がイエスと言っている」モリーはジョンの求愛を受け入れる。②ところがジョンはジョンで、モリーが心変わりする前に結婚式を挙げようと町の人々を家に呼んでいて、そのまま式を挙げてドンチャン騒ぎ。ウエディングドレスも指輪もなし、花婿は酔っ払いという今の状態にモリーは泣きだし、うっかり騙されたと言ってジョンを傷つける。ジョンは家を飛び出すが、3日後になってこっそり大金の30万ドルを持って戻ってくる。モリーのために自分の鉱山を売ったのだ。ところがモリーはその金をこともあろうに、盗まれないようにとストーブの中に隠したものだから、何もしらないジョンが火をくべてしまい、全て灰になってしまう。(当時の観客がスクリーンを観ながら「OH!NO!」と叫ぶのが目に浮かぶ)③ここからがまたドラマチックな波乱万丈の人生が始まるわけだが、とにかくモリーのマンガのような性格と底抜けのジョンの優しさが、幸運に招かれて展開していく。上流社会の仲間入りをしようとしてつまはじきにされる場面は悲しいものがある。しかしモリーはいじけないし、くじけない。上流社会の人間たちも、モリーもアメリカ人の側面。憧れていた世界に一度は落胆はするが、神父にヨーロッパの社交界で教養と品位を身につけてくれば彼等を見返せると聞いてモリーは大いにモチベーションを上げる。この前向きな力はすごい。多少の(いや大いに)脚色はされていると思うが、実際のモリー・ブラウンも少なからずそういう人物だったのだろう。終盤は上流社会の人々との対立と、タイタニック号に乗船するまでのいきさつとその後が語られるが、「不沈の」という言葉にモリー・ブラウンの人生のすべてが含まれている。