トリコロール/青の愛の作品情報・感想・評価(ネタバレなし)

『トリコロール/青の愛』に投稿された感想・評価

Yuta

Yutaの感想・評価

3.7
テーマは「自由」とのこと。
あまり入り込めず残念。急な暗転や急な大音量の音楽、当時はいけてたんだろうか。
寄りのカメラワークや、ジュリーの決断の際の唐突な暗転などの演出が斬新。

青を基調とした照明で美しい画作り。
音楽と映像の合わせ方も独創的で良い。

ジュリーが寛容と厭世の間で揺れ動くさまをジュリエット・ビノシュが好演していた。あと、シンプルに美しい…!
日本の「キェシロフスキ」への盲目的な信頼が、ふと疑問に変わる。この三部作もどうにも歪で、彼のフィルモグラフィーを「運命」だとか「必然」などでまとめてしまうのは容易いが、そして我々はそう紹介されてきたが、自分が思うに彼はあくまで映画の本来の話法である(とかつての人間が信じてきた)「演出」をただバカ真面目に取り組んでいるわけだ。

その中で一作目に当たる本作は、一番バカ真面目に撮っている。シンプル。大仰なクラシックも久々のキェシロフスキ鑑賞だと、どうにもわらけてきてしまう。

35mm
anna

annaの感想・評価

3.6
theフランス映画だった

タイトル通り青の印象が強い
愛という言葉は何回も出てくるが
主人公自身、愛とは無縁な行動で
ちょっと冷たい印象を受けた…

だから青の愛なのかな。

彼女が何を考えているのか、
自ら拳を傷つけたりそっと母親のところから去る…
言葉ではなく行動から彼女の気持ちを感じる

ノスタルジックなセピア色の物語。


2022年/74本目
TJ

TJの感想・評価

4.3
もっと醜くてこそ人間だろ
拳を壁に押し当てて歩くシーン
テレビを見てる自分を覚えてない母親に会わず帰るシーンが良かった
プールに飛び込み出てきた時の青く染まったシーンは格別
v

vの感想・評価

-
彼女の痛みに寄り添ったり一緒に悲しんだりできない拒絶を映画が放ってた気がする
寄り添えないけど、見つめ続けた
クロ

クロの感想・評価

3.3
フランス映画の三部作一作目。
映像は綺麗で凄く文学的な映画やなぁと思いながらも見入ってしまったけど、内容はそこまで入ってこなかったな😅
特にプールの場面が綺麗で泳ぐのがメチャ上手い!
昔の彼女が雰囲気の有るフランス映画好きってよく言ってたけどこういう映画が好きやったんやろうなぁと観ながら感じた。
#2022#178本目
mokumoku

mokumokuの感想・評価

3.8
夫と娘を亡くしたジュリーの再生の物語。再出発を決意したジュリーの痛々しさと力強さが同居する演出がジュリエットビノシュにぴったりハマる。

数々の美しい演出の中でも、拳で塀をなぞるシーンがひと際印象に残る。ほんの数秒のシーンだが、ジュリーの抱える痛みが鮮烈に表現されていて素晴らしい。
lente

lenteの感想・評価

5.0
クシシュトフ・キェシロフスキの全作品は僕にとって、映画という美しい砂漠を渡るときの北極星のような存在かもしれません。はじめてその世界にふれた20歳のときから48歳になった現在に至るまで、揺るぎなく同じ場所で輝き続けている。

その魅力について語ることは何光年も離れた星の秘密について語ることのように感じられて、どんな言葉をもってしてもきっと無理だろうと思っています。ほんとうは何も観れていないのではないだろうか。いつもそう思うことになるのですが、その観れていない距離に関してだけは深く知っているという幻想があります。

何光年も離れた、北極星までの遠さを知るように。

キェシロフスキへのそうした魅入られ方こそが映画に魅入られた深さであり、キェシロフスキを語ろうとするときの無力感こそが、むしろ映画について語ろうとする僕の情熱を裏返すように支えてもいる。この感情は恋愛のような強さというよりは、ほとんど宗教的な感情に近いかもしれない。キェシロフスキの存在によって僕は映画の力への信仰をもつことができた。

その寡作なフィルモグラフィのなかで、1993年から1994年にかけての『トリコロール』3部作が最終的に撮られたものであり、最も手に取りやすい作品でもあるのですが、ここに描かれているものが何であるかを受け取るためには、もしかすると『デカローグ』(テレビ向けシリーズ, 1989年-90年)の存在は欠かせないかもしれません。

フランス国旗の3色「青:自由、白:平等、赤:博愛」を、色彩的にもストーリー的にもモチーフとしながら群像を描き出す『トルコロール』3部作の第1作は青(Bleu)。またこの3部作には旧約聖書と新約聖書それぞれからの意味合いも重層的に付与されており、そのことによって深いアイロニーが描き出されています。

登場人物たちはフランスを舞台にフランス語を話します。



フランス人女性ジュリー(ジュリエット・ビノシュ)が娘と夫を車の事故で失い、愛ゆえの喪失から自由になろうとする姿を描いていきます。青に象徴される自由とは、そうしたアイロニーのなかに息を凝らすような意味をもっています。彼女にとって愛とは喪失のことであり、自由とは喪失から救い出されることだった。

高名な作曲家の夫が書き残したスコアを捨て、家族で住んだ郊外の屋敷を引き払い、思い出を清算するように夫の同僚オリヴィエ(ブノワ・レジャン)と一夜を共にするジュリー。そしてあらゆる過去を捨てパリのアパルトマンに引っ越した彼女は、1つだけ手元に残した青いシャンデリアを部屋に飾る。

この作品全体を映像の色彩として満たす青は、このシャンデリアの他にも様々なショットに現れます。事故を起こすまでの風景と目撃者の青年、飴を包む青い銀紙、ステンドグラスや夜のネオンとなって彼女を照らす青い光、屋内プールの青など。そのように映像に青が現れるときは、色彩的な統一をはかるための細かな部分を除いてはすべて彼女の喪失と結びついています。どれだけ逃れようとしても、青い光は彼女が存在するかぎり影のように離れることはない。

また喪失として彼女を追いかけるものは青い色彩ばかりではなく、作曲家の夫が委嘱された欧州統合を記念する協奏曲は、実は彼女の力に負うところが大きい共作だったことがやがて分かる。新約聖書「コリントの信徒への手紙第1・第13章」から採った、愛と希望と信仰に関する合唱が入るこの曲の旋律はいつも彼女をとらえて離さない。

この曲は、ジュリーにとっては夫との絆の象徴であり、だからこそ自由のために最も捨て去りたいものだった。しかし夫の同僚オリヴィエはこの曲を完成させようとする。それは音楽家としてではなく、密やかに思いを寄せていたジュリーを揺さぶり愛を捨てさせないためだった。憎まれることになったとしても、一瞬であれ彼女の瞳に自分の姿を映すために。

映画には他にも、娘であるジュリーを叔母(妹)としてしか認識できない認知症の母親や事故の目撃者である青年、同じアパルトマンに住むストリップダンサー、そして屋敷の使用人などが登場する。いずれの人物も、彼女の喪失の色彩をいっそう深める存在として描かれています。

また路上でリコーダーを吹く不思議な男や、『トリコロール』3部作すべてに登場するガラス瓶をゴミ箱に捨てようとする老人や、『白(Blanc)』の主人公夫婦などが現れ、作品世界の広がりと立体感を生み出すのはいつものキェシロフスキ流であり、遠くには19世紀のフランスの小説家バルザック(1799-1850年)が用いた人物再登場を思わせます。



そのような中で転換点に現れるのが、夫の愛人の存在です。

司法の世界に生きる若くて美しい女は、ジュリーにとってはもちろんショックだった。しかも彼女は自分が失った子供さえ宿している。しかしながらジュリーにとっては、愛人とその子供の存在がむしろ窒息しそうな喪失から浮上していくためのきっかけとなっていく。このあたりのジュリエット・ビノシュの演技がほんとうに素晴らしく、微妙で劇的な心の変化を余すところなく伝えています。

最終的に彼女はオリヴィエをサポートし、欧州統合の協奏曲を完成まで導くことになる。映画は体を重ね合うジュリーとオリヴィエ、それまでの登場人物の今を映し出しながら「コリントの信徒への手紙第1・第13章」を用いた合唱を響かせながら終わる。

彼女は愛ゆえの喪失から逃れるために自由を求め、皮肉にも愛の裏切りによって窒息しそうな喪失から浮上しながらも、再び不自由な愛のなかへと戻っていく。「最も大いなるものは愛」という聖書の言葉が高らかに合唱として響くなか、愛と喪失からの自由を求めた青い影をたなびかせながら。



こうした映像とストーリーを追うだけでも、稠密(ちゅうみつ)で優れた作品であることがよく分かります。

キェシロフスキはこの『トリコロール』3部作によって本格的な国際舞台に立つ少し前に、前述した『デカローグ』を撮っています。『デカローグ』がモーセの十戒をテーマとした10話で構成された作品であるのと同様に、おそらく『トリコロール』3部作にも自由・平等・博愛というフランス国旗の象徴性の他に、旧約聖書と新約聖書それぞれの意味合いも付与されているように僕には感じられます。

旧約聖書
青:失楽園
白:バベルの塔
赤:ノアの箱舟

かつて夫との間に感じていた揺るぎない愛から、追放されるように魂を遍歴させるジュリーは、エデンの園から追放されたアダムとイブのようにも見えます。知恵の実という自由のために神からの愛を失い、それでも不自由な地上の愛へと戻っていく姿は、人類がはじめに失ったものが何であったかを伝えてやみません。

また使徒パウロによって書かれた「コリントの信徒への手紙第1・第13章」によるならば、愛と希望と信仰のうち『青(Bleu)』はとくに愛に関する話だともいえます。

新約聖書
青:愛
白:希望
赤:信仰

本編の合唱で高らかに歌われていたようにこの3つのうちで最も重要なものが愛であるならば、3部作のはじまりとしてこれほどふさわしいものはないように思います。またフランス国旗の意味合いと聖書の意味合いとの重層性が、たいへん深いアイロニーを描き出しています。

青:自由(旧約聖書:失楽園、新約聖書:愛)
白:平等(旧約聖書:バベルの塔、新約聖書:希望)
赤:博愛(旧約聖書:ノアの箱舟、新約聖書:信仰)

※)ちなみにジュリーが作曲した合唱曲の作曲家名はヴァン・デン・ブーデンマイヤーとクレジットされますが、これはキェシロフスキの遊びで架空の作曲家です。こういうところにも僕はたいへん親近感を覚えます。
ふっこ

ふっこの感想・評価

4.5
30年近く経っても憶えているのは、固そうな塀に手の第二関節をザリザリ擦りつけて歩く場面
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