アフガン零年の作品情報・感想・評価

「アフガン零年」に投稿された感想・評価

今池でミナは歩いていくを観た時に、解説に出てきた映画。
こういうの、良いかもしれん。
宗教や文化は児童労働も性的搾取も正当化しないし、基本的人権を国際的スタンダードとして保証するの、いつになったら実現するの???
女性が一人で外を歩けないのも、子供が働かざるを得ない経済的状況も、男性が圧倒的支配権を握っているのも、まず前提としておかしいはずなのに未だに根強く残っているのがつらい
よくある手持ちカメラで臨場感を出そうとする映画で、それをアフガンでやろうってところに意識の高さは感じたが、モキュメンタリー的演出を使いつつスローモーションとかも使っていたせいで余計に絵空事感が強まり結構冷めた目で終始見てしまった。
ガンダーラに行けばどんな願いも叶うとエキゾチックな理想郷を歌い上げた曲もあったようだが、史実上のガンダーラが栄えた地とはインディアではなく皮肉にもここ、こんにちのアフガニスタンである。

この映画は過酷な運命に翻弄された1人の少女を通して、タリバン政権に対するアフガン人民の怨嗟の声を悲痛なまでに描き上げている。そこは願いが叶うどころか、人が自らの望むように生きることなど到底できない理不尽と不自由に埋め尽くされた世界であり、あらゆる意味で想像を絶する価値観が支配する空間である。特に終盤など「とんでもないことだ」と感じる人が大多数だろう。

少女を通して過激派の現場を切り取るあたりはクメール・ルージュを描いた『最初に父が殺された』と通ずる所もある。しかし、共産主義とイスラム原理主義は相容れぬもの。神という絶対的存在の名を使ってあらゆる力を振りかざす所に、それとはまた違った方向性の底知れぬ恐ろしさが垣間見える。

だが、アラビア語を学び、実際イスラム圏を訪れ、モスクまで入って見学したことのある自分としては、この映画を観て「イスラム教ってやっぱりヤバいんだな〜」みたいな短絡的な結論に走らないでほしいと切に願う。そもそもアフガンの人民やこの映画を作ったアフガニスタン・イランの人々もムスリムである。作中のアフガン人民もタリバンを恨んでもイスラム教を忌み嫌っている人は誰一人としていない。この場合本質的問題が存在するのはそこではないのである。信仰というひとつのツールをいかにして使うか。これは土着の文化として神道を育んできた日本にも、かつて身に覚えのある話のはずだ。

作中のようなタリバン政権の全盛期はとうに終わったとはいえ、アフガニスタンは2020年現在もなお厳しい状況下にある。願わくば早く平和になってほしい。
jamming

jammingの感想・評価

4.2
生活の一部を切り取った話なのに
すべてがわかる。。 

映画で真実を知る
NHKさんありがとう。
女の子だと雇ってくれないから男の子のふりをして、じじいにちんこの洗い方を教わって、ばれてじじいと結婚させられる!なんて人生だ!
Roca

Rocaの感想・評価

4.0
死んだら天国へ行ける(かもしれない)が、タリバン支配下のアフガニスタンでは生きのびたら地獄が永遠に続くのか…という思いで観た。
女性が働くことが出来ないイスラム社会。貧困故に少女は少年のふりをして働く。更なる不幸は予想以上のものだった。
秀作だと思う。

このレビューはネタバレを含みます

前は、映画に政治を持ち込むのは好きではなかった。

たとえば、ハリウッド映画によって、アメリカ=偉大な国、という印象を世界に与えたとしても、それは結果であって目的ではないと信じたい。

とか、思っていた。でも、今は「別にいいんじゃない?」。プロパガンダ映画であったとしても、作りたきゃ作ればいい。

ただ、プロパガンダに利用することは断固反対。

むかしむかし書いた感想です。

===

アフガニスタン。

ソ連のアフガン侵攻、その後の内戦、タリバン支配…世界で最も苦しんでいる国。

ここでは、女性は働くことを禁じられている。男がいない家族にとって、それは「死」を意味する。

その少女は、父も、兄も、戦争で失っている。家にいるのは、女だけ。

年老いた祖母が言った。
「虹をくぐると、少年は少女に、少女は少年に変わるそうな…」

少女は髪を切られ、服を着替させられ、働くように命じられる。泣きじゃくる少女は、祖母は、
「虹をくぐると、少女に戻れるさ、そして自由になれるさ」

少女は「少年」として、仕事得て、働き始める。だが、ある日、タリバン兵がやってきて、街中の少年を宗教学校へ連行する。
勿論、彼女も…。

当然、向けられる疑惑の目。

そして…。ついに少女は、女であることがバレてしまう。

裁判で死刑になる直前で、ある老師に救われる。老師は自分の家に連れて行き、彼女を中に入れ、そして、外から鍵をかけた。
中には、数人の女と子供がいた。老師は、少女を助けたわけではなかった。己の汚れた欲望を満たすため、少女を4番目の妻としたのだ!

妻のひとりが言った。
「あの男にここに連れてこられた瞬間、自由も希望も失った。私の人生はめちゃくちゃになった。絶望しかなくなった」

少女は泣きじゃくった。

その夜、老師は少女を特別な部屋に連れて行く。夜が明ける頃、老師は、水浴びをして、体を清めていた。

…アフガニスタンが悲惨な状況にあるってことが、刺すように伝わってくる映画だった。それ以外に、何が言えることはない。

ちなみに少女役の女の子は、本物の物乞いの中から選ばれた。字の読み書きが出来ないので、台詞は口頭で伝えられた。

さて、最後の最後で、少女は虹をくぐります。自由を手に入れ、少女の人生は希望へと向かいはじめたのでした…。

…と、なるはずだったんだけど、このエンディングシーンは全カット!

監督、曰く
「今のアフガンには自由や、希望は存在しない。だから、描けない…」

賢明だ。だけど、とても悲しい選択。

というわけで、映画は、老師が水浴びしている場面で幕を閉じる。

アフガンのその少女は、まだ地獄に囚われたまま…。
ホラー映画の10倍怖い映画。
国のどこにも逃げる場所がない。
仕事も無ければ外にも家にも救いがない。
アフガニスタンの殺風景の下、ドキュメンタリーのように淡々と進む分、起こる事がより恐ろしく伝わる。
ラストの展開はあらゆるホラーを凌駕する救いの無さで立ち直れなかった。

映画はNHKのロゴが大写しになるところから始まる。
機材等の協力をしているようで、プロデューサーも日本人の上田信さんが務めている。
『ペパーミント・キャンディー』といい、NHKが製作している作品は素晴らしいなと思う。
今後注目して見ていこう。
イラン🇮🇷のお隣、アフガニスタン🇦🇫の作品です。

なぜかNHKの文字が。
調べてみたら、この作品はタリバン政権崩壊後の復興アフガニスタンで製作された映画第1作目。
日本のNHKが機材などのハード面をサポートしたんだそう。


お話はタリバン政権下でのもの。
父親と兄を戦争で失い、働き手のない女性だけの一家。
祖母と母親は12歳の娘の髪を切り、男性の服を着せ、少年に変装させて働きに出します。

タリバンの兵士たちにバレたら捕まって殺されてしまうのに。
命がけの行為でも、女性が働く場がないこの国では仕方のないこと。
冒頭で女性たちのデモ運動がありました。
“夫を亡くしたひもじい私たちに、どうか仕事を”
なんだか信じられません。


そして、知りました。
この国では9歳以上の女児との結婚・セックスは合法だとゆうこと。

先日観たイランの映画『私が女になった日』でもありました。
女の子は9歳になると、大人の女になるって…そおゆうことなんだ…。

“預言者ムハンマドが53歳のとき6歳の女児と結婚し、彼女が9歳のときに結婚を完成させた(要はセックスしたってこと)”

そんな事実があることから合法になったんだって。
しかも一夫多妻制、結婚前の性行為は禁止なもんだから、気に入った女の子と強引に結婚して家に連れ帰り…。

可哀想に。

夢も希望も未来も、なんにも感じられない悲しいお話でした。
宗教上のことだけに胸が痛みます。

演じていたのはやはり一般の方々。
賞もとっているんですね。
広く世界中の人たちの目に留まれば良いと切に願います。
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