影なき狙撃者の作品情報・感想・評価

「影なき狙撃者」に投稿された感想・評価

序盤撮り方や編集もそんな凝ってないし展開も全然意味わからなくて正直つまらないと思ったけど、主役のローレンス・ハーヴェイが戦友を突然平然と殺す様子には仰天とさせられた。

あとテレビに別の角度からの映像が出る公聴会?のような場面とかは面白かったけど、フランケンハイマーの作品には奇抜でサスペンスフルな表現を求めていたから、ちょっと物足りないと感じた。(マフィアの似非拳法は笑えたけど)

しかしここ最近、物語主体の映画だと早々に興味が薄れるようになってさすがに我ながら少し困る。(でも映像表現の良さで覚える感動と比べると物語の良さなんて大したものでないと身体に染み付いてしまったからどうしようもない)
tristana

tristanaの感想・評価

4.5
雰囲気に対して不釣り合いに異常なほど話が安っぽい、というよりむしろ馬鹿のひとつ覚えという感じだけど、それを補って余りあるフランケンハイマーのクライマックスを作り出す腕💪『パララックス・ビュー🇺🇸』であり、『テレフォン📞』でもある。
中ソの工作員の資本主義ユーモアのやり取りに左右に向きを変える洗脳がかわいいハーヴェイ。こんな根暗なオレが冗談行ったから今日は記念日と浮かれるハーヴェイ。母の呪縛が運命の舵を握っていた切なさと絶望に苛まされてセクシーなハーヴェイ。そして勲章を首に掛けるどん詰まりの孤独。好きです。
「影なき狙撃者」というタイトルの通りなかなか掴み所のない映画。

ちなみに原題は「満州からの立候補者」、リバイバル時の邦題は「失われた時を求めて」と、こちらもいまいちピンとこない。

なお、のちに「クライシス・オブ・アメリカ」としてリメイクされたそうだがそちらはまだ観ていない。

でもこれほど“洗脳”の恐怖を描いた作品はそうないと思う。あまりの救いのない展開に観たあとしばらくは呆然としてしまった。

ポリティカル・サスペンスってだいたい後味の悪い作品が多いがこの映画はその極地だと思う。

主演はローレンス・ハーヴェイ、フランク・シナトラ。そしてジャネット・リーやアンジェラ・ランスベリーが脇を支える。

朝鮮戦争で武勲を立てたショー軍曹(ハーヴェイ)は帰国後に英雄として称賛される。

しかし、ハーヴェイが所属していた小隊の隊長だったマーコ大尉(シナトラ)は何か釈然としないものがあった。

確かにあの時俺たちは敵軍に捕まった……、そしてショーのおかげで助かったはずなのに……でも何か、何か違うような気がする。

マーコをそんな感情に駆り立てるのは、毎晩悩まされる恐ろしい悪夢のせいだった。

椅子に座らされた小隊は、なぜか園芸クラブの会合に参加している。そこへ穏やかそうなご婦人がショーに語りかける。

殺せ……

彼女の言葉にやおら立ち上がったショーは目の前にいた戦友を眉ひとつ動かさずに殺害する。

そしてその凄惨な光景を見ているマーコたちもまた無表情のままだった。

しかし、これは夢ではなかった。東側の特殊部隊は捕まえた兵士の中からショーに対して洗脳を行い、彼は意のままに動く殺人マシンとなってしまったのである。

久々に使うフレーズだが、ほんとコワイコワイですねー。

マーコはひょっとしてあの悪夢は実際の出来事なのではと思い始めショーと接触するが、既にショーの前に彼を洗脳した東側の工作員が現れていた。

なるほど、この連中とシナトラがラストに対決とかするんだなと思いきや、本作は中盤から思いもよらない展開になる。

当時はあまりにも突飛すぎる展開で不評を買ったそうだけど、トランプのロシア疑惑のニュースとか考えると、あながちあり得ない話ではないように感じる。

フランケンハイマーのシャープな映像がいつまでも胸に突き刺さる。

■映画 DATA==========================
監督:ジョン・フランケンハイマー
脚本:ジョージ・アクセルロッド
製作:ジョージ・アクセルロッド/ジョン・フランケンハイマー
音楽:デヴィッド・アムラム
撮影:ライオネル・リンドン
公開:1962年10月24日(米)/1963年2月9日(日)
構成や演出にややたるいところもあるものの、美しい白黒の画面のため終始楽しんで見られる。なにしろローレンス・ハーヴェイの気の毒の一言に尽きる境遇。はっきり言ってシナトラより冴えている。それを支えるアンジェラ・ランズベリーの堂々たる演技。この二人、実は3つしか年が離れていないという事実にこれまたビックリ。切って捨てるような潔い終わりっぷりがまた泣かせる。
ローレンス・ハーヴェイとシナトラの演技合戦になるかと思いきや、シナトラが見守る役に徹している。これはどっからどう観てもローレンス・ハーヴェイの映画なのだが、シナトラ筆頭に、アンジェラ・ランズベリー、ジャネット・リーらの助演っぷりも素晴らしい。そして何よりローレンス・ハーヴェイ尊い。泣ける。
KazurocK

KazurocKの感想・評価

3.8
大好きなフランケンハイマーのポリティカルスリラー映画の傑作!モノクロということもありシャープな印象。最初の園芸クラブのシーンが上手い。
ローレンス・ハーベイの洗脳された演技も秀逸。母親役のアンジェラ・ランズベリーも圧巻。この方ジェシカおばさんなのね。
クライマックスの緊張感もただならくて最高でした。
若きヘンリー・シルヴァが謎の韓国人役を怪演。なぜ韓国人(笑)シナトラとの格闘シーンも中々良かったわ。
洗脳とか家族やいろんなドラマが詰まっている内容なので、見方によっていろんな感想も出てくるのではないか。ただ、複雑な展開なので油断するとお話が分からなくなる可能性がある。
この時代にこんな「洗脳」のお話があったとは驚きで、すごく不気味な展開になっていた。
こちらも面白いですが、全体としてリメイク版のクライシスオブアメリカの方が洗練されている印象
決定的に差があるなと思ったのはレイモンドショーの母親
こちらは「ただの悪人」といった感じで、ぱっと見で怖い人だなとわかる役作り
悪く言えばキャラが浅いです
クライシスオブアメリカでメリルストリープ演じる母親は「野心を持った政治家であり子煩悩な母親」であり、政治家の外面の取り繕い方など、狡猾でいやらしい部分が見事に掘り下げられていました
そっちの方が悪人として生々しく、メリルストリープはすごいなあと思いました
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tjZero

tjZeroの感想・評価

3.5
朝鮮戦争で捕虜となった米軍小隊。
戦場の英雄のはずだった軍曹は敵に洗脳され、帰国後に”北”の暗殺者となる…。

ジョンという名は、欧米男子のファースト・ネームとしては最もありふれたモノのひとつだと思います。
だから、映画監督にも多彩な面々が揃っています。
挙げてみると…

・フォード=西部劇の神様
・カサヴェテス=インディペンデント映画の父
・カーペンター=B級映画の職人
・ヒューズ=青春映画の才人  …などなど。

そして、アクション映画好きとしてのファースト・コールは、グレン(007)でもマクティアナン(『ダイ・ハード』)でもなく、本作のフランケンハイマ―でしょう。

『フレンチ・コネクション2』、『ブラック・サンデー』、『RONIN』…などなど、骨太で肉をぶった斬るような強烈なタッチ、観る者の首根っこをつかまえちゃうような作風。

まあ正直、本作はアクションというよりサスペンス寄りではあるのですが、それでも、地味で真に迫るシークエンスを積み重ねた後にスカッと解放的なクライマックスで度肝を抜く…というフランケンハイマ―・タッチを充分に堪能できます。
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