白い鳩の作品情報・感想・評価

白い鳩1986年製作の映画)

Cuzaja, belaja i rjaboj

製作国:

3.2

「白い鳩」に投稿された感想・評価

あーや

あーやの感想・評価

4.5

このレビューはネタバレを含みます

1930年代から近代のソビエト映画を35ミリフィルムで立て続けに観ていました。ソビエト映画を一言で表すと「人間賛歌と映像美」。タルコフスキー以外はすべて初見の監督作品です。どの作品も映画大国ソビエトの名にふさわしい貫禄がありました。

1本目は 「白い鳩」ЧУЖАЯ БЕЛАЯ И РЯБОЙ (1986年)
セルゲイ・ソロビヨフ監督作品です。
本編が始まる前に「幼少期の美しい思い出はかけがえの無いもの。その一つの思い出が悪事を思いとどまらせるからだ」(残念ながらうろ覚えです)というドストエフスキーの前書き。そしていきなりロケットが打ち上げられる。宇宙船内を漂っている宇宙飛行士の語りが始まります。本作は彼の幼年時代の回想なのですね。宇宙の画からいきなり1羽の鳩が大空を元気に飛び回るシーンへ切り替わります。このシーンで鳥肌が立った。主人公の男の子(ワーニャ)はモスクワ生まれだが、戦争のために田舎(現在のカザフスタン)へ家族疎開する。彼の父親は元々画家だったが戦争で手を失った。今は学校の兵隊育成教官として生計を立てていた。母親はワーニャがチフスにかかっている間に亡くなっており、そのショックでワーニャの髪の毛は一部が白髪になってしまった。終戦後の貧しい暮らしの中でもワーニャにはひとつだけ楽しみがあった。それは鳩を育てること。自宅のすぐそばにある鳥小屋には鳩がたくさん。この街には鳩マニアがたくさん居り、美しい鳩を育てることが流行っていたのです。その村にある日美しい白い鳩がやってきた。村の皆がその鳩を捕まえようとしたが、なかなか捕まえられない。そんな中ワーニャが何とかその白い鳩を捕まえたものの、鳩マニアの人たちがその鳩を手に入れるためにワーニャに近付いてくる。どんな取引も断るワーニャだが、ある日留守中に鳩マフィアに白い鳩を盗まれてしまう。早速友達を連れて取り返しに向かうも、そこには既に白い鳩はおらず返り討ちに遭ってしまう。やっと白い鳩の居場所を突き止めて今の飼い主の男の場所に父親と向かい、鳩を奪い返したワーニャ。しかし男は執拗にもう一度取引してくれとせがんでくる。ワーニャがどれだけ拒否しても逃げても追いかけてくる。ワーニャは大きなタンクの階段を登ってゆく。男もついてくる。どこまでもワーニャの白い鳩を追ってくる男。次第にワーニャの中で気持ちの変化が起きる。「この白い鳩は誰の鳩?」誰のものでもないと気づいたその時、ワーニャは抱きしめていた白い鳩を大空へ逃がしていた。その大空を白い鳩が羽ばたくシーンこそ冒頭に私がゾクッとしたシーンなのでした。
朝ワーニャが鳥小屋に入った時の鳥小屋の窓からの陽射しの眩しさ、雨に濡れた婦人が一つ扉の向こうで着替える様をガラス越しに横目で見つめる部屋の壁に反射した雨、天気のいい日に公園を歩く時にすれ違う恋人達、マッチを擦って進む暗闇の階段、ワーニャが大きなタンクの階段を昇っていき鳩を逃がすシーン・・スクリーンに映し出される画がどこもとってもロマンチックでした。特に印象派の画家たちが描いた絵画が動いているような感動がありました。
撮影はユーリー・クリメンコ。調べたら「神々のたそがれ」の撮影もこの人だったのですね。夢を見ているようなふわふわとしたポエティックな映像がとても心地よく美しかったです。はっきりとしたデジタルリマスターには相応しくない作品ですね。ぼやけてザラっとしたフィルム上映で観れて良かった。
『白い鳩』のこと。今は亡きオーディトリウム渋谷で見た。
もやけた光の撮影と、ときたま白黒になるのは面白いし、構図もいいし、窓ガラスにうちつけられる雨粒の影が壁に写るのもいいが、そもそもカットを割って魅せる気が更々ない感じが退屈でしょーがなかった。
はっきりいって、てんけーてきな退屈なアート映画って感じだ。