ハラキリの作品情報・感想・評価

「ハラキリ」に投稿された感想・評価

固定カメラしか技術的に使えなかったのかなと思ってみてたら一回だけ横移動した!恐る恐る試したんだろうか。

全編ジャポネズム趣味で錯誤感が笑えるのだが、小物は豪華に揃ってる。仏教に傷つけられ西洋にも裏切られるという展開は日本という国を描いたようにも見えるし、純真さが悲劇と直結するというのは後の『熱い夜の疼き』『スカーレットストリート』にもつながるラングの主題だともいえる。流石に映像的、物語的快楽は薄いが、オラフが再来日してからのラストに至る流れにはサスペンスがあった。階段の上り下りは権力構造を仄めかしてるのかな。
あちゃ

あちゃの感想・評価

4.7
グリフィスの不変の海を思わせる、涙無くしては見られないメロドラマ。
灯篭の下の、白い花咲き乱れるなかにいるオタケサン。彼女はさる大名の娘で、大僧正の嫉妬からヨシワラにまで落ちることになる。
で、外人の船員オラフと結婚して子供を産むも、裏切られてヨーロッパに逃げられてしまう。けれども、オタケは枯草が生い茂る浜辺に1人立ち、水平線の向こうをじっと見つめて帰りを待っている。なんと、心を打たれる健気さ。それに、オラフが帰ってくるとなると、わざわざ障子窓に穴を開けて、その前に女中と息子と三人並んで、ひたすら待ち続ける。けれども、オラフは来ない。ネタバレになるが、とうとうオタケは父を自刀させた短刀を握りしめ、額に寄せ、「恥よりも死を!」と叫ぶ。そこで、オラフはようやくオタを訪れる。「オタケはどこだ?」と探していると、女中が襖の向こうで死んでいるオタケを見てから飛び跳ねる。オラフが駆けつけると、オタケは床に倒れ込んでいた。遺されたのは彼女との子供だけ、というまさに悲劇である。
こう書いていると、ラングのメロドラマ映画だと見るのをためらってしまうかもしれないが、大僧正と王子が階段を降りる様子が、まさに権力者であることを示すに足りうるショットはまさにラングだし、先ほども書いたハラキリを目撃するシーンはまさにラングの刻印が見られる。それに、オタケの家にある池を提灯が乗っかった舟が行き交いするところなど溝口の山椒大夫ぐらい思わず見入ってしまうだろう。無頼の谷のように書き割りのような岩壁があるのもまた面白い。
オタケと写真を撮るギャグ(視線を合わせてくれない)や見ざる聞かざる言わざるな飾りを渡されて、ポーズを撮るところは笑える
AS

ASの感想・評価

3.2
美術・衣装と良いものが揃ってはいるんだけど着付けが酷くて笑う。そこが見所
@シネマヴェーラ
本日、シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞。
タイトル通り、日本を舞台にしたフリッツ・ラング監督作品。

蝶々夫人を翻案したらしい。
長崎の大名はオタケなる娘と一緒に暮らしていたが、坊主の陰謀で切腹(ハラキリ)となり、オタケさんの波瀾万丈の人生が描かれる。

この映画、日本を舞台とした物語なので日本的な風景・小道具が出てくるが、どうも日本らしくない違和感あり。
そもそもオタケさんを演じている女優も、モロに外国人だし…。

コアなフリッツ・ラングのファン以外にはお勧め出来ない映画だった。
shibamike

shibamikeの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

1919年の映画。
フリッツ・ラングが日本のことをどう見ていたか、サービス精神たっぷりに描いていると思う。ケチケチ感は皆無。きらびやかな衣装とか仏像とか、どうやって用意したのだろう。そもそもどこで撮影したのか。

ストーリーは終盤メロドラマ調で退屈であるが、視覚的(衣装、振る舞い、風俗)なエキセントリックさが我々を興奮させる。

20世紀の長崎にて、外国人仏教徒の大名トクヤマさん(父)とその娘オタケさんが、外国人嫌いのクソ坊主から睨まれていて、クソ坊主の陰謀で父トクヤマさんがハラキリすることになる。

父を失い、身寄りの無くなったオタケさんは尼僧になったり、吉原(長崎に吉原があった!あるわけない!)に身売りしたり、キャリアのジェットコースターを経験するが、高収入・高身長・高ステータスの3高を備えた海軍将校オラフ(長崎へ出張中)に見初められ、吉原脱出。

オラフと結婚の契りを交わし、子どもも授かる。「あたし、幸せの絶頂!」とオタケさんがプルプル震えていたら、何とオラフが欧州へ帰国することに。
「絶対長崎に帰って来てね!」と泣きながら、オラフを見送るオタケさん。ところがどっこい!このオラフ、長崎でオタケさんと結婚する前に欧州本国で他の女性とも結婚を既にしていた。要するにオタケさんは「火遊び」相手だった。妊娠までさせてんのに!

健気なオタケさんは案外紳士諸氏から人気があり、オラフが不在の間にマタハリ王子なる紳士からも求愛を受ける。
マタハリ王子と結ばれときゃいいのに、「あたしはオラフの妻なんです!そうに決まってるんです!」と頑固一徹で、最終的に父トクヤマさんと同様にハラキリして、おっ死んじまう。

タイトルの「ハラキリ」が序盤のトクヤマさん以降出て来ないので、「これ如何に?」と思っていると大ラストの結末でタイトルに納得。
何故、「切腹」ではなく「ハラキリ」と外国に広まったのか。

意地悪クソ坊主は外国人嫌いという設定であったが、「言うてるお前も外国人やんけ」と心の浜田雅功が顔を出した。

映画全体を通して、見よう見まねの日本的所作が登場するのが楽しい。正座の状態で深々と頭を下げる時も、畳についた両手が180度外に開いていたり(逆に辛そうだよ!)、正座から立ち上がるときも、よっこらっしょ!感がいなたい。あと、お辞儀するときに両手も一緒にペコリとさせる謎の動作が興味深かった。日本時代劇における俳優達の所作が如何に洗練されているかを思わされた。

オラフがオタケさんに愛を語るシーンで「日本女性には3つの美徳がある。…見ざる・言わざる・聞かざる。」と至極当然かつムーディーに発言し、言われたオタケさんも満更ではなく、見ざる・言わざる・聞かざるをしなやかな動作で表す。噴飯であったし、意味不明。

登場人物達の名前も楽しい。自分が見た本作では「トクヤマさん」だったはずだが、ネットを見ていると、「トクヤワさん」と書いてる人もいたりしたので、そういう字幕もあるのだろう。主役のオタケさんにしても、しょっぱなのオープニングクレジットで「O-Take-San」と紹介されていて、初め自分は「大竹さん?」とさまぁ~ずを思い浮かべた。オタケさんの下女は「ハナケ」と呼ばれていたが、恐らく「ハナコ」の変化球であろう。

オタケさんはハラキリする前に呟く。「恥辱にまみれて生きるより、誉れある死を選ぶ」
これは仏教というより、武士道であろう。

映画途中で「落葉の祭り」というお祭りシーンが登場する。川をおびただしい数の提灯で飾った小舟達がゆらゆら漂うのであるが、えもいわれぬ豊潤さに心奪われた。あんなお祭り本当にあったのだろうか。はたまた。
映画史上の名作11
2014/07/12 ~ 2014/08/15
散水夫

散水夫の感想・評価

1.5
ジャポニズムだけで作った映画。ラングのフィルモグラフィでは、「スピオーネ」との関連を指摘することができる。まあ、日本人が出てきて腹を切るってだけだけど…
ラングの作家性である運命論はこの作品にも現れている。しかし、あまり重視するほどのものではないと思う。
ラングの中では決して出来がいい方ではない。
しかしラストのヒロインの意思の強さには恐怖を覚えた。
ラングは初期の頃から悲劇作家であったことが分かる1本。