ソ連脱出 女軍医と偽狂人の作品情報・感想・評価

ソ連脱出 女軍医と偽狂人1958年製作の映画)

製作国:

上映時間:75分

3.4

「ソ連脱出 女軍医と偽狂人」に投稿された感想・評価

chima

chimaの感想・評価

3.3
2017/3/17@ シネマヴェーラ渋谷 新東宝のディープな世界

社会派なのかロマンスなのかわからないんだけど結果コメディーになっちゃってるのは間違いない。女軍医がずっと好きな人に対して苗字呼びなのはツボでした。
buccimane

buccimaneの感想・評価

3.5
ヒギンスさんはホットじゃのう。
愛ゆえに解放しようとするの意外と感動的じゃないか。
狂ったふりの演技は当時は研究されてなかったんだなって感じでかなり物足りないけど相手によって日本語とロシア語を使い分けるのがフフッとなる。
ソ連軍の監督下なのにやっぱ日本兵はそーゆーイキがりかたなのかって設定にはゲンナリした。
このタイトルでソフト化、CS放送もされていないというから、よほどの反共映画、または逆に強烈な左翼映画かな?と思っていたらハッタリ娯楽映画でした。まあ本当はそっちを予想していましたが。

ソ連は考え方さえ違うナゾの国(当時)で他社が手を付けてないし、レーニンやマルクスの肖像画を掲げて置けばセットもそれらしくなるし、というお手軽な理由で製作されたとしか思えない。

原作の「ラーゲルの性典」もAmazonで大酷評で失笑。ラーゲルとはドイツ語で強制収容所の意味らしいけど、なんでドイツ語なのか? 多分ラーゲ(体位)と語感が似てるからと思ったけどこちらもドイツ語だ…。

ソ連軍も信頼を寄せる画家の主人公・細川俊夫が大した動機もなく(というか私には動機が分からず)、狂人のふりをして強制収容所を混乱させるのが物語の軸。
まさかこれを参考にしているとは思えないけど、実話をベースにした近年(2015年)の映画『コロニア』でダニエル・ブリュールが同じような役柄を演じていたので新鮮味はもちろん別に面白味も何も感じなかった。

他の狂人が言った「ヘソで茶を沸かす」という言葉に思わず笑うところではつられて笑ってしまった。もちろん失笑の笑い。

ソ連軍は全然悪く描かれていないけど、彼らの権威を笠に着た日本人捕虜たちが最悪という設定はグッド。
しかしソ連女性(従軍看護婦?)たちのシャワーを屋根の上から覗いて落ちたり、悪役としての深みがまったくないのが残念。

というかそもそも俳優さんたちのグレードが素人目にも低過ぎ…。これが新東宝クオリティなんすかね…。強制労働中に病死した初老兵士の埋葬の際の死後硬直っぷりはリアルだった。

ソ連女性囚人と駆け落ち脱走をして銃殺される日本兵捕虜、すべてをモノローグで説明するという素人もやらない超手抜き演出が炸裂しているし、そもそもこのエピソードは本筋には全く関係なくて一体何だったんだという感じで呆れた。

荒野を馬車で走ったり、西部劇に出て来そうなスモールタウンのセットで細川俊夫が浦島太郎ベースの演説したり、結構というか心配になるくらい金がかかってそうなシーンもあった。道を外れた猛スピードのジープから細川と女医が脱出するスタントも迫力あり。

もう二度会えないかもな収容所仲間が帰国する段階でも狂人を演じたのに、無理矢理な風呂場での女医の色攻撃には負けてアッサリ正体を明かすって…ネタバレとかいうのも恥ずかしいくらいのズッコケ。

最低映画としてはエド・ウッドとかの足元にも及ばないし、カルト映画としては全然吹っ切れていないし、設定がちょっと変わっているだけで特殊な作品というほどではないのが本作の最大の欠点。要はそれなりに観れる。シネフィルのリスト黒塗り用映画でした。