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剃髪式のsonozyのレビュー・感想・評価

剃髪式(1980年製作の映画)
4.5
チェコのイジー・メンツェル監督作。
『つながれたヒバリ』『厳重に監視された列車』同様、チェコの小説家ボフミル・フラバル原作で、フラバルの生まれ故郷であるボヘミア地方ヌィンブルクのビール醸造所を舞台に、フラバルの母親や叔父がモデルとなっているという作品。

小さな町のビール醸造所の生真面目なマネージャー・フランシンは、役員たちに事業の改善案などを提案しているが、役員たちはテキトーな感じ。
金髪の美しく長い髪のエロス漂うフランシンの妻マリスカは、町の男たちの注目の的で、夫と違い肉とビール大好きで奔放なキャラ。飼い豚の解体を楽しそうに手伝ったり、朝からビール&豚ステーキ。笑

マリスカを愛するフランシンは、なぜかロングコートを着てLaurin & Klementのバイク(スタート時は必ず人に押してもらう必要あり。笑)でビールを卸している居酒屋などを巡り、毎日のように妻にプレゼントを買ってくる。

ある日、フランシンの義弟ペピンが、2週間世話になるとやってくる。
このペピン、一応靴屋をやっていたようですが、デカい声で地元の誰彼のどうでもいい話や歌を終日騒ぎまくる相当迷惑なヤツです。笑

ペピンの滞在は2週間どころか、2年か、一生かも分からない..と頭を抱えるフランシンだが、マリスカはそんなペピンと意気投合して楽しそう・・・

ある日、マリスカはいつもの美容院で魅惑のロングヘアーをバッサリ切ってと頼む・・・
『剃髪式』という邦題はやや??ですが、原題: Postřižiny(=Cut)/英題: Shortcuts / Cutting It Shortという事で、このマリスカのヘアカットに象徴される、様々な無駄をカットすることで、建国間もないチェコスロヴァキアの「新しい」生活への変化や希望を猫いている感じかな?

登場人物のキャラはみな楽しいですが、やはり見どころはマリスカ役のマグダ・ヴァシャーリオヴァー。
離れにある樽の浴槽に入る入浴シーンや、夫がプレゼントに買ってきた怪しく紫色に光る高周波エステ的な器具を夫が使うシーンなどのエロス。
長い髪をたなびかせて乗る自転車や、ペピンと一緒に高い煙突に無邪気に登るシーンなど。
マリスカとビール飲みたい。^^

ペピンのせいで、何度も怪我する男も笑えます。

※英語字幕にて
ヴェネチア国際映画祭: Special Mention
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