山奥で倒れたシーンから身を寄せる事に。居場所と言うには少し落ち着かない。何者かわからないのだから。思い出してほしいとは思う。その懇願は由実自身の不安にも向けられている。
身を寄せ合う。温もりだけが現…
記憶を失くした小料理屋の大将とパートで来てくれた女。
無言の時間が長い割に情報が少ないので、どういう感情表現なのかも解らなかったし、退屈な場面が多かった。
それに、愛情が生まれるまでの過程も薄く、タ…
セックスという行為は裸になって正直なただの男と女になる行為。
ただの男と女になって、それぞれの渇望を満たしていく。
その時は職業も立場も過去も全てが無になる。
どうでも良い人とはそういうことはできな…
二十六夜待ち ―― 陰暦正月・7月の26日の夜、月の出るのを待って拝むこと。
互いが抱えた喪失感。
杉谷は喪失感に加え、自分が何者かと云う怯えがあった。
由実の喪失感には後悔が多分に含まれている。…
最終的に宿での二人の情事を眺めながら涙を零していた。二人のことがわかってしまったから。わかりたくもないのに。そこにかつての私の姿があったから。必死に「私はもうここから抜け出した抜け出した抜け出した」…
>>続きを読む©2017 佐伯一麦/『二十六夜待ち』製作委員会