マリヤのお雪の作品情報・感想・評価

「マリヤのお雪」に投稿された感想・評価

まつこ

まつこの感想・評価

3.0
西南戦争と2人の酌婦の話。

性と生まれに翻弄される女の維持を描いているから個人的には溝口らしい作品だと思う。ただ世知辛いけど薄味だからヒリヒリが少ない分ずーんとはこなかったなぁ。

なによりも、人を嘲笑い、弁当を奪い、エロオヤジに差し出すメガネのおばさんの存在感がすごい。

酌婦…酒場・料理屋や宴会などの席で酒の酌をする女。またそれをよそおった売春婦。
爆発と崩れる屋根瓦のオープニングに面食らっていたら乗合馬車まで出てきて感服。
坊主に化けた薩軍兵士と官軍の銃撃戦時の馬の出で立ちといい、見事な西部劇のルックが構築されている。

夏川大二郎が出てからはチープなメロドラマになって退屈。
ショットの強さは維持されていても人物が尽くつまらない。
士族の女とか噴飯物。
溝口も西部劇を撮ろうと思えば撮れる人だった、というのを確認。
Zorba

Zorbaの感想・評価

4.0
花見シーンのこの世のものとは思えない美しさ。照明、構図ともにヤバすぎ。もはや絵画。瞬間最大風速ならムルナウのサンライズに匹敵するかも。
青二歳

青二歳の感想・評価

3.4

このレビューはネタバレを含みます

溝口健二の西南戦争。まさかの爆発シーン&銃撃戦シーンあり。でも溝口なので戦争アクションにはならず悲恋物語でした。脱走兵を追う山のシーンはのちの宮川一夫撮影"平家物語"を思わせるけど、戦争映画というには弱いかな。
酌婦、一文酌婦、田舎芸者と名乗るが、違いはなんなのか。酌婦というのに三味線もって逃げるあたり本分は芸者なのだろうけど、セットが酌婦の居そうな店構えである。

川口松太郎原作、原案モーパッサン。うーん無理があるぜ…普仏戦争の“脂肪の塊”を西南戦争って、ブルジョワv.s.庶民を士族v.s.酌婦って…いやいや。
山田五十鈴の大人びた所作と通る声も印象的だが、原駒子の張り上げる声がいい。また士族の梅村蓉子がいい感じにムカついて素晴らしい。
固定カメラで人物が出たり入ったりするのも面白いし、中々見ごたえあるんですが、卑しい職業だと蔑まれたり身分違いの悲恋というのはなんだかやり過ぎ。こんなシナリオありなのか。西南戦争の頃ってどんななのかピンときませんが、明治時代ならではのロマンスってところでしょうか。でもちょっと話の運び方に違和感があります。江戸時代の都市部だと実はそんな身分による差別ってそこまでイメージできないし、賤業と言われる仕事にも一定の地位を感じさせるんですが…
果たしてここまで明確な蔑視が当たり前だったのだろうか…

また突っ立ってる夏川大二朗がギャグにしか見えず笑ってしまった。総じて馬丁の他は女しか印象に残らん…
oiruka101

oiruka101の感想・評価

4.7
トーキーへの移行期に撮られた作品。
隊長の部屋に向かうおきんを捉え続けるカメラ、ラスト前の船のシーンの画などは溝口っぽい。
西郷側との斜め・縦の銃撃戦のシーンと、乗船を拒否され、揺れる船から映される2人が面白い