グロムダールの花嫁の作品情報・感想・評価(ネタバレなし)

「グロムダールの花嫁」に投稿された感想・評価

ドライヤーにとって『牧師の未亡人』(製作はスウェーデンだけど撮影はノルウェー)に続く2本目のノルウェー映画。脚本も作らず、セットもほぼなく、あっという間に取り上げた作品らしい。それにしては良い出来。

若い男女のささやかな恋愛がノルウェーの自然と共に描かれる。牧師の所に相談に行って二人で手に持った帽子を回す所とか、ちょっとした仕草が可愛い。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

3.0
【『Midsommar』前夜祭に...】
大学時代、デンマーク映画について研究していて、当然ながらカール・テオドール・ドライヤーも観ていたのだが、この作品の存在を知ったのは卒業後であった。親友から激推しされた本作を、グアム帰りの飛行機で観てみました。

絵画のように作り込まれた構図で有名なカール・テオドール・ドライヤーですが、本作は意外と雑なショットが多いように思える。田舎の結婚騒動を描いた話で、内容自体はそこまで面白いとは感じなかったのですが、時折面白いショットに遭遇するから楽しめた。

まず何と言っても、アリ・アスターは『Midsommar』に組み込んだのではと思わずにはいられない円を組み踊る場面の華やかさ。そこにのっそりのっそり男がやってくる不気味さは、非常に印象的です。

また、終盤男が丸太に跨り流される場面があるのだが、死んでもおかしくない程に狂ったショットとなっており、《静》のショットが多いドライヤーにしては珍しく《動》に満ち溢れていた。

とはいえ、やはり『裁かるるジャンヌ』『吸血鬼』が凄すぎるため霞んでしまう作品である。

さて、来週ようやく『Midsommar』が観られる。楽しみだなぁ。
ドライヤーも西部劇を観ていたのか、それとも偉大な映画作家は意識せずとも皆アメリカ映画に一度は接近するものなのか。
[監督八作目の愛すべき"小さな愛"の物語、ドライヤー未公開サイレント①] 90点

ドライヤーが好きすぎて堪らない人間からすれば、彼の少ない作品群を先に見てしまうか後までとっておくか非常に悩ましいところである。私は「裁かるるジャンヌ」「吸血鬼」を見て以降それ以外は見ないように努めいていたが、日本で円盤の出回っていない本作品は私の中のドライヤー神格化を進める鑑賞三作目として最適だったと言い切れる。

主人公トーレは奉公から戻り、経営縮小した家族の農場を引き継ぐ。若いエネルギーを使って河の反対側にある大きなグロムガーデン農場(奉公先)のようにしようとする。グロムガーデン農場の娘ベリットに恋をしていたがその父親オーラが金持ちのイェルムンと婚約させてしまった。結婚式が近付いて、ベリットはトーレとその両親と逃げ出そうと彼のもとにやって来るが病に倒れてしまい、トーレは自責の念に駆られる。オーラはベリットを勘当する。やがて夏がやってきてベリットは回復し、紆余曲折を経てオーラは彼女とトーレとの結婚を認める。嫉妬深いイェルムンは結婚を邪魔しようと両家の船を下流に流す。トーレは馬で河を渡ることにするが流され、ようやく岸に辿り着き、無事結婚する。

やはり字幕は少なく平易であり、ヒロインと社会規範との戦いという話はドライヤーっぽい感じもするが、前に見た二作の強烈なインパクトのあるショットなどは無かった(最後の流されるシーンの素早いモンタージュは中々だったけど)。やはり注目されてないだけあるなぁという感想を持ってしまうのは仕方がない。しかもラストは「東への道」まんま。ただ圧倒的に平和な空気感といい自然の美しさといいベリットの美しさといい、私の心に染み渡る要素はいっぱいあった。

ベリットが二階へ続く扉を閉めてその上でドタドタやるシーンと二人で帽子を回してるシーンが可愛すぎたから世界中の映画でパクって欲しい。私の切なる願い。

追記
IMDbでは評価めっちゃ低いけどなんでだろ?でも載ってるポスターは最高にかっこいい。そしてなぜかワイエスの『クリスティーナの世界』が載ってるというね。謎。