ウィスキーの作品情報・感想・評価

「ウィスキー」に投稿された感想・評価

日傘

日傘の感想・評価

4.4
ムチャクチャいい 計算し尽くされたテンポ 最低限の所作で感情を読み取れる 「映画の愉しみ」を知っている映画 あとたぶん訳が上手い
ファン・パブロ・レベ―ジャ&パブロ・ストールの「ウィスキー」は、どなたにも一度は訪れたに違いない(あり得たかもしれない、もう一つの人生)という言葉を、観ている私たちに今一度、想起させてくれる無視できない映画です。

例えば
出勤前にシャッターが解錠される。
薄汚い裁縫工場の灯りが点く。
職務である裁縫作業しながらも、壊れたブラインドを不器用に修繕する工場主がいささか気になる。
合間合間にお茶などを入れ、タバコなどを吸う。
間違い電話に応対する。

狭い職場で10年も20年も何一つ変わることなくそのような営みが続けば、顔なじみの同僚や雇い主と交わす会話も恐らくは何も無くなる筈。

ところがそんな自分が置かれている環境への不毛な苛立ちなど、とっくに無くなっている筈なのに、別の環境に身を置く事で啓発される。

似たような経験を見聞きしたり、身近に思い当たる人がいる、という方も多いと思います。

そしてウルグアイのふたりの映画作家はまさにそんな女性マルタに(ウィスキー)という、シャッターを押すときの合言葉でもって、雇い主である工場主の形だけの妻、という課題を与えます。

とは言え、そこに息詰まる疑似夫婦の形態が見られるわけでもなければ、更年期女性の燻っていた最後の性気が息吹いているふうでもない。

そもそもは言いだした工場主自身が(口裏だけあわせていればヨロシイ)とでもいうように他人事なのだから。
せめて写真だけでも、というマルタの提案にタイトルそのままの(ウィスキー)という合言葉が重なります。

かつては仮所の虚ろな日々から連れ出してくれそうな相手を待ち続ける事で生きてきたかもしれないにせよ、もはや自分にそんな情念が根ざしていた事さえ忘れていた矢先、(ウィスキー)という合言葉によって。美容院や新調した服装でめかし込む姿にマルタが枯渇することへ拒む決意を私たちははっきりと見てとれます。
ありがちなハリウッド映画なら、夫婦の真似事をするうちに互いの価値を意識しあい、最終的には結ばれていく道筋を踏んでいくでしょうが・・・
弟と再会する場面も、妻としてマルタが紹介される場面も、更に弟が兄に長年にわたる不義理を詫びる場面も、構図=逆構図のカット割に拠らずにおどろくほどあっさりワンショットで切り取る演出を目の当たりにすれば、苛立ちや疑問を介入する余地さえなく(そうする事しかできない)男の姿をありありと見てとれ、
もはや、こんな男が、それまで傍にいることが当たり前だったマルタが自分のもとから姿を消していることなど気付くはずもない、と私たちは悟るわけです。
どなたにも訪れたに違いない、もしかしたら(有り得たかもしれないもう一つの人生)はやはり、残酷なくらい単純に(有り得ない人生)だった、と。
マルタはあっさりと彼の元から去ることで(枯渇の進行)に歯止めをかけようとしたのと同様に、ファン・パブロ・レベ―ジャというウルグアイの映画作家は世界から注目されて、いよいよこれからという時に、そのあっさりとした自死によって「ウィスキー」という映画の(枯渇の進行)に歯止めをかけたのかもしれません。

このレビューはネタバレを含みます

・ウルグアイの小さな靴下工場を営むハコボと助手のマルタは、ハコボの弟のエルマンが訪ねてくる為に夫婦のフリをする
・非常にミニマルな人数で日常の些細な変化を時にクスッとさせるタッチで描く優しくもビターなコメディ
・夫婦を演じて旅をするにつれ見えてくるハコボのちっちゃさが可笑しくもかなしい
・マルタかわいいよマルタ
・南米でも「カラオケ」で通じるのね
・「ウィスキー」は日本で言う「はい、チーズ」
・カジノで大勝ちした金をマルタに渡した翌日職場に来なかったラストシーンがマルタのことを思ってビターな後味を残す
靴下はなぜ、ふたつの別のものをひとつのペアとして見せえるのだろうか?同じ色だから。同じサイズだから。偽装夫婦と重なるようだ、とは単純すぎる。もっと深くの心の微動。写真を撮る時くらいは「ウイスキー」と作り笑いができる、知りすぎた故の複雑すぎる中老の旅。ウイスキーというよりは煙草、でもやっぱり靴下映画。
ぺあの

ぺあのの感想・評価

2.0
名作?NHK国際映画作家賞をとったので観たけど・・・途中から3倍のスピードで早送りながら観賞。
dodo

dodoの感想・評価

4.5
シュールだけど、好きです。
色味や、音、兄弟の気まずい独特の空気感がいい。
正反対の兄弟とマルタ。
ハイチーズ!みたいなものが、この国では、ウィスキー!ならしい。
写真みたく作りものの笑顔では、いろんなものを失う。
本当にあった話だそうですが、観察される側と観察する側の距離感が面白い。
higatree

higatreeの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ウルグアイ映画 靴下工場の男女 最後は女が去ってしまう感じ 面白い カウリスマキに似てる
庭

庭の感想・評価

3.7
こころが泣いても
かおでは笑える

かおでは笑っても
こころが泣くの

あなたの孤独と
わたしの孤独は
ちがう色
emu

emuの感想・評価

3.8
もともとはジャケ写を見ていいなーと思い借りた作品でしたが、私の中ではハマった。
ウルグアイ制作というのも気になった理由のひとつ。
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