この二人に幸あれの作品情報・感想・評価

この二人に幸あれ1957年製作の映画)

製作国:

上映時間:94分

3.5

「この二人に幸あれ」に投稿された感想・評価

小泉博と白川由美のカップルは親の反対を押しきって職場結婚をするが・・・親の心 子知らず
オケのホルン吹き役の三船と津島恵子、志村喬と夏川静江、藤原釜足と清川玉枝と各々の夫婦の捉え方が巧い。
「ゴジラ」を はじめとする特撮SF映画で名高い本多猪四郎監督だが、同時に本作や「恋化粧」「おえんさん」といった小市民映画も撮っていた。むしろこちらの路線を評価したい。
固有名詞が覚えられなくなってきてる。本作もタイトルの俳優名を観ててアレ?と思い、ファーストシーンの数カットめで、昔というわけでもなく、せいぜいこの10年くらいの間に観ている、と気づいた。しかも好感の持てる佳作だが、傑作というレベルの作品でもない。しかし、以前なら貴重な?時間と金、勿体ないと思ってたが、今は見直すというのは、1回目には気づかなかった、背景の風俗·価値観が楽しめる、とそんなに落胆しない。本作も結婚時点でまだ半分で、その後世の中の大小の嵐がじっくり描かれるのである。しかもラストでも、経済的な陽の光りはまだぜんぜん伺えない所までなのである。
本作も用意周到の作とはいえず、内容·プロダクション共、かなりお座なりに路線に乗った作品かもしれない。バジェットもだが、家庭、特に会社の描きかたは薄っぺらい。しかし、本多は持ち前の誠実さ·正直さで取組み、手を弛めていない。この後のTV用ドラマ全盛時代の、順番逆だが、引写しにさえみえるのだが、廻りめや横めあるも力強いカメラの·心を問う前後移動(縁日みたいなので、妻を探す半視界的パン+移動、そして斜め俯瞰の退き図切替えなどは見事に映画!)、世の厳しさを増幅の窓や戸口辺の風や雨の強さ、丁寧なシーンのFO締め、平明·着実を壊さず入り込む浅い変化のカット刻みも、何より役者と社会·時代にしっくり向き合ってること、本物の映画の力と巾を如実に感じる。そして、この時代が今より遥かに個々の人間が精神的に独立·自立してることを改めて思い知るのである。しかも気配りがもどかしい程に細やかで、表の顔と相反してることも、侭ある。それでも、今時の計算も奢りもなく、釜足夫婦なんてのには微笑まざるを得ない(その分、出世本位の同僚のカリカチュアは半端だが)。
親に同僚との結婚を反対されたOLが、流れと思いで押しきるも、夫の失業にいきなり出くわし、夫や、当の親·姉夫婦·大家·友人らとの結び付きと自己の姿勢を、考え強靭·柔軟に 鍛えてく、ハートウォーミングな若い経験浅い新婚さんの特に妻の方の話だが、東宝調を出ていないとはいえ、妙に貴重な感触を憶える。小泉=白川のカップルに共感せざるを得ない、清々しいフレッシュさと思い詰め誠実と不思議な肉感がある。「元々昔気質も、父は、優秀な兄失ってから変。代わりの婿は同じ位のレベルでないと」「真剣な目を見てると、可哀相·許そうと。只、頼るは夫だけと、覚悟もさせる為、追い出した。本人が幸せで悔いなくばいい、と。親も将来まで責任は」「辞めなくても? いや、殴った相手より、その間周りの傍観者であり続けた、会社の雰囲気の方が」/「職を失なっただけで全てが壊れ··。結婚間違いかと。私でなく支店長娘さんなら、今ごろは課長と。でも、男らしくなく私に隠し黙って、職探しとは。私が働くと云うとぶたれでてきたが、父に職頼もうかとも。」「ぶつ気が分かる」「私なら更にぶつ。子供に頼られて喜ぶ親なんて20年前の話。そんな時代では。自由を云うなら責任も」/「はやりすぎた、ゆっくりと慌てず」
前半は同じ会社にいる小泉博と白川由美が結婚するまで
後半はなにかとうまくいかない夫婦生活、さらには小泉博が失職しちゃって、、、

そんなにたいしたお話ではないです
才能があるわけでもないしお金も稼げないけどささやかな幸せみたいな、そんな共感できそうな平凡なお話

ラストシーがすごい好き!
二人でおでこ寄せ合ってハグして、見つめあってハグするラブラブシーン、なんかかわいらしくて幸せそうでw

小泉博と白川由美が結婚するまでには色々あって
小泉博は会社のお偉いさんの娘との縁談があったんだけど、それを蹴ったことで出世コースから外れ、その辺りの確執により後に退職にまでなっちゃう
白川由美の方は両親(志村喬、夏川静江)が結婚に大反対、その理由は上述の経緯があって小泉博の会社での評判が良くなく、将来の出世が見込めない、つまりそんな人と一緒になって苦労させたくないから

白川由美の姉津島恵子も反対を押し切って結婚していたんだけど、今回の娘も説得かなわず同じ道をたどることに
ここで志村喬が心を鬼にして突き放すエピソードが良い

後半の結婚生活では
付き合いとはいえお酒を飲んで帰るのが遅くなるのに不満な白川由美
失職してるのにいつもと変わらず家を出る小泉博、結局ばれてなんの相談もないことに不満な白川由美
旦那がプー太郎だから私が働くしかない!って仕事決めてきたのに反対されて、ビンタされちゃう白川由美

両親の予想通り旦那が甲斐性なしだと苦労するんですねー
でもこの辺のエピソードは当時の就職難とか、大卒だから土方出来ないとか、男のプライド?旦那を立てるみたいなのもあって、現代の感覚とは大分違うなーって思う

最後にこの映画の良かった点まとめ!
白川由美がかわいらしい、後年のイメージと違ったあどけなさみたいなのが良い
藤原釜足の枯れ具合、清川玉枝のニコニコ具合

そして津島恵子&三船敏郎
こういう夫婦になりたいよねっていう素敵な夫婦
津島恵子の「この人だって半年はルンペンしてた、水だけでも三ヶ月大丈夫、ルンペンしてて死んだ人いない」とか達観具合が凄かった

三船敏郎も珍しい役でオーケストラのホルン?吹き
オールバックでスーツ姿の綺麗な三船なんだけど、男らしさとユニークさもあって魅力が出てます
三四郎

三四郎の感想・評価

3.5
「個人の自由があるから個人の責任も必要」これが自由の生き辛さ、難しさ。
厳格な父親を演じる志村喬の立ち位置が…理解はできるが現代の感覚では無理がある気がする。本当の心情や表情を表に出して相手に伝えず、非常に複雑に描かれている。明治生まれの男とはそういうものだったのかしら。
親の反対を押し切って結婚した新婚の妹が、夫とのちょっとした気持ちの行き違いについて、同じように駆け落ち同然で結婚した姉のとこへ相談しに来る。その時の姉のセリフ、「男なんて道端に転がってる空き缶みたいなもんよ。みんなに蹴飛ばされるんだから大事にしてあげなさい」毎日社会の荒波にもまれて生きているのだから、家庭ぐらいは温かく安心できる場所でなければいけない。
「今の時代、夫婦共稼ぎじゃないの」というセリフもあるが、1950年代から既にそう言われていて、1930年代も女性の社会進出をテーマにした映画が幾つも製作されている。どの時代も実は変わらない。
Kumonohate

Kumonohateの感想・評価

3.5
本多猪四郎監督の1957年作。親の反対を押し切って結婚した若い男女(白川由美と小泉博)が頑張る話。とりたててウリのある作品ではないが、本多監督らしい実直で手堅く破綻のない演出が光る。

それにしても、この頃の日本映画には“娘の結婚”ネタが多い。それは、自由恋愛や男女平等が叫ばれる一方で、現実ではまだまだ女性が家や家庭に縛られていたことの裏返しなのだろう。本作のラストでは、失業中で仕事が見つからない夫が、寿退社したものの夫の失業によって再び働き始めることにした妻を賞賛する。時代は変わるのだ、変わらねばならないのだ、という強い意識を感じる。そんな意識も日本映画黄金期の原動力だったのかもしれない。
本当の悲劇は身近な生活の中に

凝ったストーリーを作らなくとも、劇的な瞬間はごく身近な空間に存在しています
それを丹念に拾っていけるか

松山善三はそれが恐ろしく上手い人でした
悲劇を見通す冷徹な目
何気ない日常のなかに救いのない展開が次から次へ訪れます

支店長の縁談を断り、自分の好きな人を妻に貰おうとしたばっかりに、親とは絶縁、勤めていた銀行で喧嘩し辞職、失業の身に
折しも不況の時代、荒んでいく夫婦の間、自分のプライドがズタズタに引き裂かれます

結局問題はひとつも解決せずに終わります
経済的余裕がなく子供も持てない状況まで明らかにされてしまいます

が、最後に二人の間に自己責任の思いが芽生えます
自由に生きるならその責任も自分たちで引き受ける
人間としての成長です

ここからさらに背負いきれない悲劇を重ねていくのが松山善三の本領ですが、この映画はそこまではいきません

スカッとする映画ではありません
あっというストーリー展開もありません
ですが、生活や心理がきめ細やかに描かれています
たなか

たなかの感想・評価

5.0
優しい世界を地でいくといいますか、若い夫婦が大人たちに励まされ諭され成長しながら生きていく、そんな時代の作品

三船にほら元気出せよって酒ダバダバ注がれたら元気でるよなと笑
津島恵子が妙に出来た姉であり奥さんでちょっとおかしかったんですが、こんな姉夫婦がいたらいいなと羨ましくなりました
志村喬と藤原釜足はいつだって最高、秒で紋付き袴出せって笑

腐った人間はいつだってどこにだっているし就職難もある、東京だって停電してた
そんな中でも確かに温かい営みがあって世界を形作ってたんだなと染々思いました、佳作です◎