大忍術映画 ワタリの作品情報・感想・評価

「大忍術映画 ワタリ」に投稿された感想・評価

kuronori

kuronoriの感想・評価

3.0
白土三平のファンです。
んでもって「ワタリ」は子供の頃に初めて読んだ白土マンガ。思い入れがあります。と、いうわけで、原作漫画ファンの立場からのレビューとなります。

本作の存在は昔から知っていたのですが、トンデモ映画だという噂を聞いていたので、あえて避けていました(笑)。
しかし、You Tubeなどで予告編を観てみると、音羽の城戸役が大友柳太朗だと知り、それはちょっと観てみたいという気がしてきて、鑑賞に至りました。
観てみると確かにうなずけるところはあるのですが、噂ほどでもないなというのが正直な感想です。
もしかして、私がトンデモ慣れしちゃってるだけなのかもしれませんが(笑)。

原作の第一部を映画化しています。
原作は全三部作で、第一部が伊賀の死の掟の謎を追う第三の忍者篇。第二部が0(ゼロ)の忍者篇。第三部がワタリ一族篇です。

冒頭からわりと原作の流れに忠実に話が展開します。
伊賀の下忍組が命じられて、昨日までともに戦っていた仲間のひとりを殺すため、集団で追い詰めていくところから始まります。「死の掟」に触れたのです。
追う側は何をしたのかと問いますが、追われる男は舌を切断されていてなにも話せません。理由もなにもわからないまま、支配に対する恐怖から術を尽くして殺し合い、命令は遂行されてしまいます。
しかし殺された男は死の直前に、懐に忍ばせていたこけしを投げすてます。それを拾ったらしく思われるのは、流れ者の足の悪い老爺とそれに付き添う少年でした…。

子供の頃に原作を読んだとき、その非情さにおののきました。当時のマンガはほとんどが子供向けでこんな非情さはなかなかありませんでした。思えばこれが後にハードボイルドにハマる基礎になったのかもしれません。

原作はここから、
百地三太夫と藤林長門守という伊賀を二分する上忍同士の対立。
得体のしれない「死の掟」に縛られている下忍達の惨めな境遇。
首領の上忍と下忍の間に板挟みになっている中忍である大頭。
下忍たちの反抗組織である赤目党の結成。
等々という大きな流れが背景として描かれていきます。
残念ながら、本作はこの部分が殆ど描かれていません。とはいっても、ここを強調すると傾向映画的になってしまうわけですが、明らかにこの辺りの匙加減に失敗しています。
原作を読んでる人は、この描かれない背景が自動的に脳内補正されてしまうので、そんなに不満は無いのですが、原作を読んでないと始終戦ってばかりいるよくわからない映画に見えるんじゃないでしょうか。
藤林長門守と百地三太夫は実は同一人物で、わざと対立してみせて配下の下忍たちを上手く操っているのではないか…という仮説も提示されません。
その仮説が否定されて謎が深まるといった過程も無く、いきなり真相が提示されるので、「ワタリ」最大の面白さである「謎解き」の要素がまったくありません。

白土マンガには、使われた忍術のカラクリを解説して種明かしをしてくれる面白さがあります(実際に出来るかどうかは別にして、それっぽく説明してくれるわけです)。これが全くありません。
なので、ワタリの二つの得意技、「オボロ影」はなんで武器が効かないのか全然わからないし、「無角の兜割り」は火薬仕込の手裏剣投げに姿を変えてしまってます。(まあ、子役の金子くんが、眼の盲点を狙って飛んできて頭蓋骨をぶち抜く鉄礫を使って人殺しをしてもマズいわけで…(笑))
カンパチは「死巻き」を隠しませんし、「真空斬り」は気合をかけるだけで斬られた者がバタバタと倒れる謎の技ではなく、種明かしの方しか出てきません。それも説明が無いので、何故みんな動かないで斬られるままに止まっているのかわかりません。
そんなこんなで、本来の本作の狙いであった筈の「忍術を駆使した死闘」も、単なる荒唐無稽な術の掛け合いになってしまっています。
(しかし、集団で繰り広げられる小振りな忍剣によるチャンバラ等は、見逃しがちではありますが、今ではなかなか観られない技術の高いものだと思います。さすが東映剣会!)

主演の金子吉延さんは、まさに凄い子役ではありますが、根本的に明るい。「仮面の忍者 赤影」の青影役や、白土漫画なら少年の成長物語である「サスケ」の方が多分あっているのではないでしょうか。
少年ながら非情に徹したクールなプロフェッショナルであるワタリは(かなり健闘してますが)今ひとつ似合わない。

また、本作が、公開後のカラーテレビ番組展開を睨んだ映画であるせいか、子供向けに作られているせいか、色彩設計が妙に鮮やかで、赤鬼のように赤いドーランを塗りたくった下忍が出てきたり、逆に青い人がでてきたり、原作のキャラクターを更にデフォルメしたような衣装だったりと、絵的に渋さがありません。…いやこれは単なる私の好みなんですが(笑)。

結果的に本作は原作者白土三平の怒りを買い、東映と白土三平は絶縁状態となります。
そのために東映の特撮忍者時代劇のテレビシリーズ企画は、急遽、原作を横山光輝に変えて、「仮面の忍者 赤影」が生まれることになるわけです。
その後「ワタリ」は、「サスケ」や「カムイ外伝」を作ったエイケンでのアニメ化が企画されましたが、パイロットフィルムの作成までで頓挫し、実現はされませんでした。
しかし、これは観たかった!「ワタリ」ファンとしては、せめてそのパイロットフィルムが観たいなぁと、以前からずっと願っているのであります。
今の技術でOVAとかにならないかな?
忍術合戦に特撮やアニメーション技術を取り込んだアクションシーンが見どころです。あと、大友柳太朗の演技が主役を食うぐらいの存在感でした。
白土三平の「ワタリ」は愛読書だった。50年以上も前の特撮としては素晴らしい出来だったと思う。ワタリ役のボクちゃんもなりきっている。やはり忍びモノは面白いなぁ。伊賀忍者"虎の穴"が興味深い。
虎氏

虎氏の感想・評価

3.5
漫画「ワタリ」を原作とし、実写化した作品。原作未読。
少年忍者のワタリと老忍者の爺が、伊賀の里の"死の掟"の秘密を暴く為に活躍する物語。

本作の見どころは、忍術に重きを置いたアクションシーンでしょう。当時の撮影技術を駆使して、数々の忍術を映像化しています。セットが多いのですが、それぞれがアクション用に考えられており、頑張りが感じられます。

ワタリ役の金子吉延と爺役の牧冬吉というと青影と白影を思い出すけど、「仮面の忍者 赤影」は「ワタリ」のテレビ化が頓挫した為に作られた経緯があるとの事で納得。本作で培われたノウハウが活かされているのでしょうね。

なお、敵ボスを倒すと、余韻の時間はほぼ無く終わってしまいます。昔の映画の定番的な流れですが、慣れる事が出来ないなぁ(^^;
全編に渡って豪快かつ自由自在の忍術を見せつけてくれる快作。(特撮の定義にもよるが)数十秒に一回特撮カットがあると言っても過言ではない。美術もよく作りこんであり、当時の京都東映の実力の高さがよくわかる(なお本作で培われたカラーでの撮影・合成技術のノウハウや、金子吉延、牧冬吉、天津敏らのキャスティングは、そのまま翌年のTVドラマ『仮面の忍者 赤影』に継承された)。
でも脚本は子供向けなので微妙。途中で必然性もなくミュージカルが始まっちゃうのはドッチラケだ。くノ一もたった2人しか出ない。バトルばかりで飽きる。だが、娯楽に徹した忍者アクション映画は一見の価値ありだ。
nobu0326J

nobu0326Jの感想・評価

4.2
小学5年。当時マサカリを担ごうかと真剣に考えた。本当に心躍るかっこ良い作品。
うぅむ…これが、ゴジラやガメラ、ガッパと張り合うための、東映初の特撮映画だったのか…。
まぁ、ヒットしたのだから御の字ですね。
さらにこれと『怪竜大決戦』が、『赤影』へと繋がったのだとすれば、功績は評価されるべきでしょう。
主題歌もイイ!

金子くんカワイイねぇ~。♪
大友柳太朗ら大物役者に混じって頑張ってます。
実写だとやはり斧に振り回されてる感が否めないけど、これがどうしてメチャ強い。(笑)

基本プロットは、市川雷蔵主演の『忍びの者』(1962)と同じく、伊賀の里を勢力二分化して競わせ、実は…といったもの。
無意味にバタバタ死んでいく忍者たちの末路を、当時の子供達はどう受け取ったのかなぁ。

イケメン役どころの村井國夫がカッコイイ。
その恋仲となる女忍に、TVトーク番組の『忍術千一夜』で初見良昭と共に出演していた、本間千代子。

そして見所はやはりクライマックス、大友柳太朗の大人数相手の大立ち回りでしょう!☆

…白土先生、どこに激怒したのかな?
やっぱり、あのピーヒャララかな?(笑)
しかしまぁその激怒が無かったら『赤影』は存在してなかったと考えると、温かく見守ろうという気にもなります。☆
わっぱ!キサマ何者だ!?という追っ手の問いに、斧を構え「ワタリだ!」と猛々しく名乗りをあげる少年忍者。この歯切れのいいオープニングが最高。本人がワタリだって言うんならワタリなんだろう。本作では敵も味方も名前や身分は自己申告制だ。
おはなしは、「なんだそれは?!」の連続で息付く暇もない大冒険が繰り広げられ、使い捨てにされる伊賀の下忍たちを救うために少年忍者ワタリが忍者の世界を走り抜けて行く。
ぐるぐる回り光る極彩色のライトの映像と、野を走り跳び上がるワタリを追った空撮、伊賀崎六人衆との死闘や黒幕との決闘、脳が不意打ちをくらう突然のダンスなど、縦横無尽に駆け巡るワタリの大冒険を、時代劇のなかにアニメと特撮が混在するアクションでみせる。私の世代だと、夏休みおたのしみ劇場で再放送していた『仮面の忍者赤影』の世界観にすごく似ていた。
HAMA

HAMAの感想・評価

3.7
子供の頃、祖母と映画館で見ました。当時はまだまだ忍者モノがすごく人気があったんですよー。金子さんと牧冬吉さんは赤影や河童の三平でも共演してたので、子供心にもホントの親子かなって思ってました。
青二歳

青二歳の感想・評価

3.0

このレビューはネタバレを含みます

実写の特撮映画ですが66年当時の東映アニメーションのスキルが一応使われている並びでここにmark。東映京都班が特撮に挑むなんて…
白土三平が大激怒したらしい作品。まぁ怒るのもムリはないなぁと思いますが、何故かフランス台湾でヒットしたらしい。カラーフィルムによる特撮など、東映がTVドラマに新ジャンルで進出する足掛かりとなった作品だそうです。このヒットを受けてTVドラマ“赤影”が作られる運びになったと思えば、これも悪くはない出来ではないでしょうか。
ただ好みで言えば、東映特撮なら50年代にモノクロで撮った実写特撮映画(“猿飛佐助”とか)の方がワクワクした…今作はちょっといろんな事やろうとして安っぽく感じます…そもそもフィルムがTVっぽいので、シネスコサイズで見ると妙な気分。80年代のTVスペシャルと言われても信じます。66年ですよ。斜陽になりかけているとはいえ、50〜60年代の日本映画黄金期にあって、まだまだ名作が生み出されているこの66年にこの質感…この出来栄え…
ウルトラマンのテレビ放映が始まって、時代は特撮だTVだ!と焦っていたのは分かりますけれども…いや絶対50年代の特撮の方がカッコよかったってば。

そして何よりキャストだれも分からない…66年の東映なのに大友柳太朗くらいしか分からない…TVドラマ部門のスタッフが中心になったようなのでキャストもその辺で揃えたんでしょうか。大友柳太朗を逆さ吊りなんて誰か止めなかったのか!笑っちゃいましたけども。
自分は東映はまだまだカバーできていませんが、東映ファンの人でもわからないんじゃないかと思うくらい本当に知らない人ばかりである…東映城のお姫様はいずこ…
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