虎の尾を踏む男達の作品情報・感想・評価

「虎の尾を踏む男達」に投稿された感想・評価

Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

2.0
「虎の尾を踏む男達」
正直本作は演劇形式なシーンがあり黒澤明映画では異色とも言える。本作は歌舞伎の勧進帳を基に7人の男らを中心に描き59分で終わる作品で昭和20年に製作し公開されたのが7年後と言う…大河内 傳次郎の芝居が本作をより良くし悪条件な時代ながらも徹底したセットにはびっくりする。
今年の年明けに、松本白鴎・松本幸四郎・市川染五郎親子三代同時襲名の記念公演として、幸四郎十八番「勧進帳」がテレビ中継されていたのを見て、この作品を思い出した。
久しぶりに本作品を鑑賞。

本作は、黒澤明監督初の時代劇映画であり、能の『安宅』を下敷きにした歌舞伎『勧進帳』を題材に、義経・弁慶一行の安宅の関所越えを描いたもの。

弁慶役の大河内傳次郎の重々しい演技と、強力役(地元の道案内兼荷物運び)のエノケンこと榎本健一の滑稽なコメディリリーフとの対比が本作のキモ。
この対比は、同じ黒澤明監督の「乱」における、仲代達矢(殿様)とピーター(道化)にも見られるね。

大河内傳次郎の独特のセリフ回しは今の人たちには聞き取りづらいかも。
昔、タモリさんや関根勤さんがラジオでモノマネしていたのを思い出した。

そして、強力役のエノケンの喜怒哀楽の激しい顔面演技や酔っ払ったときの身軽な演技には本当に笑わせられる。特に、本作最大の盛り上がり場面である弁慶の勧進帳読みの際、関所守りに勧進帳が白紙なのがバレたらどうしよう、という焦りをセリフなしで顔の表情だけで表すところは本当に上手い、そして笑える!
(ちなみに強力は映画オリジナルのキャラクターです。)

エノケンの動きを見ていると、若い頃の堺正章(かくし芸大会とか「西遊記」とか)や志村けん(「だいじょうぶだぁ」とか)を思い出すけど、当たり前だが、こっち(エノケン)が元祖ですからね!さすが浅草芸人!

「勧進帳」は本来悲壮感漂う作品だが、このエノケンの存在でハラハラドキドキのスリル感あるコメディとしても楽しめるのがよいです。

本作、上映時間が59分なので、「黒澤明監督作品を観てみたいけど、ハードルが高すぎて、何を最初に観たらいいのか分からないー!」という方にオススメです。

こういう作品を年のはじめに観たいなんて、私もやっぱり日本人だねー。
Yuuki

Yuukiの感想・評価

3.8
歌舞伎+コント+ミュージカル。
初期の黒澤作品ですけど、やはり黒澤明って生まれついての天才なのかな。
脇役に志村喬と森雅之なんて見る目がありすぎる。
こんなに昔の作品なのに榎本健一にすごい笑ったです。

このレビューはネタバレを含みます

 源頼朝に追われて奥州へ逃げ落ちる義経一行の関所突破の話。

 話は能の「安宅」と歌舞伎の「勧進帳」の翻案であるけど、エノケン扮する強力が加わっていて、ストーリーにリズム感を生み出していました。
 エノケンが山伏一行を山道を案内しているオープニングから、頼朝から逃げている義経一行がいるらしいと話しているうちに屋真淵たちがその義経だと気づく前半。中盤では安宅の関をどうやって突破するのかというサスペンス。
 真っ白な紙を読み上げるエピソードだったり、関所の役人が義経だと気づきながらも逃がしてあげたりという有名なエピソードの羅列なので、みなさんご存知的な面白さでしかないですが、エピローグでの酒宴から1人残されたエノケンが絵の夕日をバックに飛び六方をして帰っていくユーモア。

 60分という無駄のなさでワンシチュエーションを描いた面白い映画だと思いました。
茶一郎

茶一郎の感想・評価

3.6
【記録】
 第二次世界大戦終戦直後、目下本土決戦の恐怖に怯える国民を「笑い」の力でもって楽しませようと、黒澤明監督が『勧進帳』をミュージカルコメディ化した作品。
 人気劇、能の「安宅」と歌舞伎狂言の「勧進帳」をベースにしつつ、全編を完全にコメディに彩らせるのは、当時人気喜劇俳優だった榎本健一こと「エノケン」力。真面目な作劇を第三者視点で見るエノケン扮する強力の視点が、可笑しくて仕方がないです。
 和製ミュージカルと息込んだ今作ですが、製作当時はGHQの検閲により非合法作品として闇に葬られてしまった作品でもあります。
だりあ

だりあの感想・評価

3.0
当時は主演の名前が題名に付く
作品もあったと聞き、エノケンもその
代表的な喜劇役者だった。

そのエノケンの魅力全開なこの作品、
架空の強力を挟む事でオリジナリティを
確立している。
初期の黒澤作品を彩った名優たちが
揃っているのでその点の見応えはあった。
もし尺が2時間あったなら、どんな
映画になっていたのかという興味はある。
Tyga

Tygaの感想・評価

3.6
エノケンの魅力全開。

能「安宅」や勧進帳をベースにしているけど、難しいことは横に置いといて楽しめる作品。

コミカルで能天気なエノケンの存在が大河内伝次郎の弁慶の大立ち回りを引き立てているように感じた。

泡沫の夢のようなエンディングも好き。

DVDなら日本語字幕つきで見たほうがいいとおもう。
音の状態(+節回し)的に大河内伝次郎が何ていってるのかわからない部分が結構ある。
ごじ子

ごじ子の感想・評価

3.0
やけにカッコいい。時代背景や能・歌舞伎についての知識教養を要する作品かと躊躇したがいい意味で裏切られ、最後の跳び六法には笑わせてもらった。疎外感を覚えるほどの古くて馴染みのない世界なのに、60分の間に、自分が日本人であることを再確認する時間となった。
mikoyan358

mikoyan358の感想・評価

4.0
2009/2/1鑑賞(鑑賞メーターより転載)
「勧進帳」がベースなので凡その展開は知っていたが、まともに見るのは初めて。これまで木久蔵師匠の物まねでしか知らなかった大河内伝次郎の何言っているか判らない(本気で聞き取れない部分多数)けど圧倒的な存在感のある演技と、直接話の展開に絡まないもののケケケケという笑い声と軽妙な動きが弁慶一行の悲壮感と重厚感をぐっと高めるエノケンの振る舞いが素晴らしかった。製作が1945年9月(ということは撮影中に終戦!)、そしてGHQの規制で数年間お蔵入りにされていたということを知り、黒澤明はじめ製作者の苦労が偲ばれる。
あっという間で贅沢な59分
原作を知らないのでハラハラドキドキできた。
いい話でした。
DVDに日本語字幕が付いていて本当に良かった(笑)
要所要所で入ってくる歌もいいですね。
能とか歌舞伎の感じでしょうか。
和製ミュージカル。
弁慶ちょうかっこいい。
これが大河内傳次郎か。

あの関所の、中堅と若手のバランスが最高でした
富樫、あれは気づいてたな。
粋な盃でした。

ラストもよかったなー