虎の尾を踏む男達の作品情報・感想・評価

「虎の尾を踏む男達」に投稿された感想・評価

KOU

KOUの感想・評価

3.5
1945年製作ってだけで何処か感慨深い。
黒澤明っぽくない手法が用いられている所が特徴的。
話自体は単純で、関を超えられるかの攻防戦。一難去ってまた一難の構成は1時間以内と短めな作品ではあるが、それでもハラハラする展開を生み出す。

表情豊かな演技が楽しい。
黒澤明が、数人のクローズアップを素早く切り替えてゆく市川崑みたいな手法をやらせたことがあったとは思わなかった驚き。

あの有名な勧進帳のストーリーに加えて愛嬌たっぷりのエノケン演じるオリジナルキャラクターが、ジャージャービンクスみたいなコミカルさで良い味出してた。
勧進帳

エノケンさん出てます。

大河内伝次郎さんは、
木久扇師匠の物まねでしか存じ上げてなかったので、新鮮でした。

主人を打つ辛さ、武士の武士たるところが、良かったです。
まず、常陸坊が弁慶(武蔵坊)に見えた。

黒澤作品の中では最も語られることもなく。内容も含め大いに地味な作品だとは言える。
しかし、まさに泥沼状態の戦争末期。
まさに撮影中に終戦を迎えた、というぐらいのその状況で、これは、なかなかに反権力な内容ではないかと思う。

時の権力者、頼朝に逆らい逃げる義経一行。
それに随行する強力(ごうりき)による道化。つまりこれは晩年の「乱」じゃないかと思う。
また、ある運命を共にする、という部分では「影武者」にも通ずるし、そういう意味で色々興味深いと思った。
二兵

二兵の感想・評価

3.9
巨匠・黒澤明による初期の作品。製作は1945年だが、検閲により、公開されたのは50年代になってからとのこと。

今回の題材は、歌舞伎で有名な『勧進帳』のエピソード。平安時代後期、源義経が兄・頼朝に追われて東北へ逃げ延びようとした際、途中山伏に変装して、安宅の関所を越えようとしたものの、なかなか突破できず…というもの。

このお話自体は知ってはいたが、恥ずかしながら無教養で歌舞伎を観たこともない人間なので、弁慶が唄うシーンでは、少々退屈に感じてしまった。

それでも、弁慶を演じた大河内傳次郎、オリジナルキャラである強力を演じたエノケン、富樫を演じた藤田進らの芝居は流石だし、全体的に緊迫感のあるものになっていた。特にエノケンは、日本の喜劇王と呼ばれた人なだけはあり、今見ても笑える演技を見せてくれる。そして一瞬しか出ないが、義経を演じた岩井半四郎の美しさよ。

舞台・ミュージカル・コントなどを全部ごた混ぜにした感じというのか…1時間しか無いのでさくっと観られるのも良い。
Taul

Taulの感想・評価

3.0
『虎の尾を踏む男達』(1945)DVDで初鑑賞。戦争末期、黒澤明の異色作で勧進帳のパロディ喜劇。なんとミュージカル要素も。エノケンと大河内傳次郎の名人芸が面白く、黒澤の伝統演劇好きを改めて知る。静けさから見栄を切っての劇的さ。策略逃亡劇で『隠し砦の三悪人』の元ネタの一つだった。
1980年8月30日、並木座で鑑賞。

公開順は後になったが、戦争末期の映画製作には悪条件の中でつくられた作品。 
この映画でのキーマンは、やはりエノケンだろう。もし彼が不在だったら、恐らく平坦な映画になっていたと思う。エノケンの起伏にとんだ表情・姿が、映画に躍動感を与えている。 

物語は、義経が峠を越えられるか否かというものであり、いたってシンプルであるが、大河内伝次郎とエノケンの対照的な存在感が、良い作品となった大きな要因だと思う。
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

2.0
「虎の尾を踏む男達」
正直本作は演劇形式なシーンがあり黒澤明映画では異色とも言える。本作は歌舞伎の勧進帳を基に7人の男らを中心に描き59分で終わる作品で昭和20年に製作し公開されたのが7年後と言う…大河内 傳次郎の芝居が本作をより良くし悪条件な時代ながらも徹底したセットにはびっくりする。
今年の年明けに、松本白鴎・松本幸四郎・市川染五郎親子三代同時襲名の記念公演として、幸四郎十八番「勧進帳」がテレビ中継されていたのを見て、この作品を思い出した。
久しぶりに本作品を鑑賞。

本作は、黒澤明監督初の時代劇映画であり、能の『安宅』を下敷きにした歌舞伎『勧進帳』を題材に、義経・弁慶一行の安宅の関所越えを描いたもの。

弁慶役の大河内傳次郎の重々しい演技と、強力役(地元の道案内兼荷物運び)のエノケンこと榎本健一の滑稽なコメディリリーフとの対比が本作のキモ。
この対比は、同じ黒澤明監督の「乱」における、仲代達矢(殿様)とピーター(道化)にも見られるね。

大河内傳次郎の独特のセリフ回しは今の人たちには聞き取りづらいかも。
昔、タモリさんや関根勤さんがラジオでモノマネしていたのを思い出した。

そして、強力役のエノケンの喜怒哀楽の激しい顔面演技や酔っ払ったときの身軽な演技には本当に笑わせられる。特に、本作最大の盛り上がり場面である弁慶の勧進帳読みの際、関所守りに勧進帳が白紙なのがバレたらどうしよう、という焦りをセリフなしで顔の表情だけで表すところは本当に上手い、そして笑える!
(ちなみに強力は映画オリジナルのキャラクターです。)

エノケンの動きを見ていると、若い頃の堺正章(かくし芸大会とか「西遊記」とか)や志村けん(「だいじょうぶだぁ」とか)を思い出すけど、当たり前だが、こっち(エノケン)が元祖ですからね!さすが浅草芸人!

「勧進帳」は本来悲壮感漂う作品だが、このエノケンの存在でハラハラドキドキのスリル感あるコメディとしても楽しめるのがよいです。

本作、上映時間が59分なので、「黒澤明監督作品を観てみたいけど、ハードルが高すぎて、何を最初に観たらいいのか分からないー!」という方にオススメです。

こういう作品を年のはじめに観たいなんて、私もやっぱり日本人だねー。
Yuuki

Yuukiの感想・評価

3.8
歌舞伎+コント+ミュージカル。
初期の黒澤作品ですけど、やはり黒澤明って生まれついての天才なのかな。
脇役に志村喬と森雅之なんて見る目がありすぎる。
こんなに昔の作品なのに榎本健一にすごい笑ったです。