ズール戦争の作品情報・感想・評価・動画配信

「ズール戦争」に投稿された感想・評価

約半年間続いたズールー戦争において、英国軍が先住民族相手に思わぬ痛手を負ったロルクズ・クリフトの戦いを描いた戦争叙事詩。見知らぬ土地の風景がイキイキと映し出される異国情緒ある旅行映画風味ってのが、宗主国たるイギリス人の琴線に触れるエンタメだったようで、けっこうヒットした作品らしい。
この規模の映画にしては最低限の制作費を切り詰めているようで、セット構築費を削減するために南アフリカでのオールロケーションを実施したとのこと。さらには、エキストラとして現地のズールー人が協力。低予算が功を奏して物語の臨場感が増し、結果として同年代の大作映画と比べても遜色ない迫力である。
冒頭の乱痴気騒ぎのような躍りがもう楽しい。映画の前半は、身綺麗な格好で優雅に茶会に勤しむ英国人と、他部族との殺し合いが日常茶飯事なズールー族の生活の対比が抜かりなく描かれていて、ウルルン滞在記っぽい異国情緒にあふれる。
このイギリス軍人たちを、侵略者でも犠牲者でも英雄でもなく、危機的な状況に放り込まれたごく普通の青年たちとして描いているのもよかった。非文明人の戦力を安く見積もって平和ボケしていた男たちが、危機と絶望に直面して奮起していく様子は、観客にとって親しみやすいものだったと思う。
近代となり、軍用ライフルが連発式になったと言っても、この当時の銃は耐久面においての信頼性は確立してなかった為、それが槍と棍棒と僅かな銃しかもってないズールー相手に苦戦を強いられた大きな理由のひとつでもある。マルティニヘンリー銃かあ。マスケット式のフォルムを残したスナイドル銃のほうがかわいいんだけどな。
ズールー軍は、中途半端な近代兵器では歯が立たない屈強な戦士たち。軍隊も形無しの統率力で迫ってくる。死ぬことが前提な捨て石のような作戦でも、意に介さず突っ込んでくる勇猛さ。めちゃくちゃ強い。ある種の先住民族たちへのリスペクトが感じられた。アメリカ西部劇に足りなかったものがここにある。
アフリカの部族社会は、文明のぬるま湯に漬かった我々の目からみればハードコアカルチャーにみえるかもしれないけれど、撮影した当時の数世代前には、確実にそこにあったであろう土着の価値観をしっかりと尊重しているような描写が偉いと思った。ズールー族を野蛮な原住民ではなく、特殊な美意識を持った誇り高い戦士たちだとしている。
両軍犠牲出まくりの戦闘のあと、英国軍は意気消沈なのに、またも大軍を引き連れて復讐に来たのかと思いきや、敵の勇敢な戦いぶりを称えに来るところ。めっちゃ好き!
かといって、ズールの戦士たちもただやみくもに犠牲を覚悟で突っ込んでくるわけではなく、連隊の波状攻撃は理にかなった戦法らしい。実際、イギリスとの戦争の際にズールー王国側が用いた戦術とのこと、そういったマニアックな面でも信用度の高い作品となっている。
同窓会風味のコメンタリーもよかった。出演者や故人の奥さんたちが当時を懐かしみながら、サイ・エンドフィールド監督の手腕や、主演件プロデューサーのスタンリー・ベイカーの人柄を褒め殺し。その後、役者として大成したマイケル・ケインと共演したことについても嬉しそうに語る。歴史的な大作に関われたことを誇りに思うと、みんな得意気だ。
でも、避けて通れないアパルトヘイト。人種隔離政権下でのロケ撮影のはなしになると、誰も彼も苦い顔をしながら複雑な思いを語っていたのが印象に残る。
秘密警察に張り付かれながらの撮影。ズールーへの報酬は一切を禁じられていたから、セットは取り壊さずに、学校や病院など公的施設として使えるようにと、そのままプレゼントしたんだって。偉いよ。紳士だよ。ベイカー卿、尊敬できる行いだ。
ある程度の良識がある人は、本作と『遠い夜明け』『インビクタス』を続けてみて三部作とすることで、南ア民主化に至るまでの大きな流れをザックリと感じることが可能。いっちょやってみてほしい。
一人旅

一人旅の感想・評価

5.0
19世紀の南アフリカを舞台にイギリス軍とズール族の戦いを描いた戦争映画。ズール族の戦い方がかっこいい。横一列になってイギリス軍が守る砦に接近。リズムカルに盾を叩きながら突撃を仕掛ける。また味方を多数犠牲にすることによって、イギリス軍が保有する銃の総数を把握する捨て身の戦術まで行う。イギリス軍よりも遥かに統率された軍隊。自己を犠牲にしてまで命令に従うズール族。国や文化が違えば戦い方も当然違うってことか。
sleepy

sleepyの感想・評価

4.2
英国映画における戦争 *****




原題Zulu, 1964年、138分、カラー。
1879年に大英帝国と南アフリカのズールー王国との間で戦われた一群の戦闘 Anglo-Zulu Warの中の一つ、ロルクズ・ドリフトの戦いをドライに描いた叙事詩。伝道所、病院でもある駐屯地が4000人のズールー族に包囲・攻撃される。(負傷者多数含む)約100人強の英軍の防戦を生々しく描いている。大英帝国軍が大敗北を喫したイサンドルワナの戦いを描いた「ズールー戦争 野望の大陸」(Zulu Dawn、1979年、バート・ランカスター、ピーター・オトゥール主演)とは異なる映画。

ものの本によると、人類の戦争は第一次世界大戦で大きくその性質を変えたらしい。かつ、戦闘当事者、銃後の人々の戦争に対するとらまえ方も。20世紀初頭以降を舞台にした戦争映画とは違う捉え方、違う倫理観を持って接しなければならないと思う。加えて、英国が係る戦争を扱った英国映画(特に40年代から50年代後半に作られた映画)は、なんとなく他の国製の戦争映画とは感触が異なる気がして、英国には一種独特の戦争叙事詩映画の系譜があるのかと思ってしまう。

当時の英国事情やズールー王国の歴史、植民地化政策、アフリカ分割などを知っていればより適切により興味深く観ることができると思う(ひとまずwiki「ズールー戦争」が参考になる)。そうでなくとも英国軍人の孤立感・絶望感、抑えた恐怖がひしひしと迫る。大局的善悪を抜き、かつ肌感覚のある人間描写と、葛藤もにじみ出る。

実在の人物を描くが、歴史上の出来事を中心にした映画の常で、すべては鵜呑みにはできず、史実とは異なる点が英語版wiki (Zulu (1964 film))に詳しい。しかし決定的な映画全体にわたる変更・誘導は行われていない様子。私は英国、アフリカ史のド素人だが、大英帝国軍とズールー族、どちらかを一方的に悪者・英雄にすることなく、比較的バランスよく扱った印象。英国軍人たちから見ればズールー族はまるでイナゴの大群のように思え、ひょっとすると本作を観た方の中には「スターシップ・トゥルーパーズ」「ジョン・カーペンターの要塞警察」を思い出す人もいるかも知れない。(態度やタッチは大きく異なるが。また、ここでのZuluをバグやストリートギャングと同視するのではもちろんない)。そして米の西部劇「アラモ」は構造としては、本作とパラレルな作品に感じられる。波のように襲うズールーとの白激戦はやはり訴える力を持っている。

ただしズールーら憎し、とは描いていないし、むしろ最高半部ではズールーの気高さすら感じるように描写されている。さらにエンドクレジットが移し続ける光景もズールーへ敬意をはらったもののように思える。Chantのシーンは恐ろしくも畏怖の念すら感じる。本作では特定方向の戦争観・政治観は強調されないし、誰かを英雄視・過度な反省をすることはなく、そしてなんというか英国映画らしい実直な節度を感じる。大仰な(大手聖林映画に見られる)カタルシス重視、ヒーロー礼讃、過度に悲愴な実話をきどった映画とは異なる。

本作で大きくフューチャーされた若きマイケル・ケイン(軍人家系のエリート役)と、製作も兼ねたスタンリー・ベイカー(実践未経験の軍の橋の技術者)の不思議な連帯感が面白い。軍医役でパトリック・マギー(「時計仕掛けのオレンジ」等)も出ているし、ケインの部下ボーン役のナイジェル・グリーンが良い(グリーンは翌年に「国際諜報局」で上司役でケインと再共演した。未公開作も多い名脇役)。宣教師のジャック・ホーキンスの安定感はさすが。ホック役ジェームズ・ブースがとりわけ印象的でひとドラマある。英国脇役俳優の層の厚さがわかる映画でもある。

触れないといけないのは壮大なスコアを書いたジョン・バリー。007やジャージーな当時の作風と異なるオーケストレイションを披露する。不謹慎ながら血が沸くようなサウンドだが、戦闘シーンではあえて音楽を流さないことが静かな迫力を生んでいる。監督(と製作・共同脚色)はサイ・エンドフィールド。わずかだが印象的なナレーションはリチャード・バートン。実質★4つ半。

余談:リドリー・スコットは本作を好きな映画の1つに挙げていて、「グラディエーター」冒頭部分に影響を与えているらしい(出典不明)。撮影はほぼ屋内シーンを除き実際に南アで撮影され、今のズールー族が大挙エキストラで当時のズールーを演じたらしい。英国映画協会(BFI)が主催した、the greatest British films of the 20th century(1999年)の39位。英国では実際の戦闘自体は誰でも知っているような英国史上のエピックで、映画も重要視されている模様。

以下データ
★オリジナルデータ:
原題Zulu, 1964, UK , オリジナルアスペクト比(もちろん劇場上映時比を指す)2.20:1 (70 mm, Super Technirama 70) , 2.35:1 (35 mm), Spherical, 138min. Color(Technicolor), 35mm Film(horizontal)
中学生? のころ、八王子の たつみ映画館でみた、けど…話のナカミは 忘れた
mh

mhの感想・評価

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ズールー戦争(1879/1/11-7/4)におけるロルクズ・ドリフトの戦い(1/22-23)がモチーフ。
4,000人にも及ぶ敵相手に、レッドコートを中心にしたヨーロッパ兵たちは100人で戦い抜いたという、字面だけでも興味がわく題材。
それよりもこの映画のすごいところは、ビジュアル面とサウンド設計に尽きると思う。
ズールー人の踊りと、イギリス兵たちの合唱。
アフリカ人の肉体美と、正装の歩兵たち。
起伏豊かなアフリカの大地にいるレッドコートの一団。
水平線を埋め尽くすズールーの戦士たち。
風や炎の音、進軍の地響きなども丁寧に拾っている。
戦争とはイデオロギー、文化、価値観の衝突であることを、映像と音で語っている。
そんな大それた試みが大成功している。

スウェーデンから来ている宣教師が、ズールー人相手の布教を成功させてたり、
アフリカ人だけど、ズールー人と反目しているボーア人だから、イギリス側につくとか、
ウェールズ部隊はジョーンズさんばかりなので、お互い番号で呼び合ってるなど、面白いトピックもいっぱいだった。

冒頭のダンスを見たことでズールー人たちの魅力を理解しているはずなのに、だんだん怖くなってくるのが、当時の人びとの気持ちをトレースしているようで複雑だった。
猛攻をじっとこらえて必死で守っている印象だけど、Wikipediaによればヨーロッパ側の被害は少なく、ズールー人たちがいっぱいやられている。
ブレイク前夜のマイケルケインも見どころ。
話はシンプルなので点数低いのもしかたないと思うけど、個人的にかなり面白かった。
この映像美は必見。おすすめ!
犬

犬の感想・評価

3.6


1879年、南アフリカ
ズール族の族長セテワヨが率いる4000人と対峙したイギリス軍の活躍を描く歴史アクション

数で圧倒

アクションがなかなか良かった

山から
戦術はそこそこですかね

民族の感じ
踊りがスゴかったです
Jumblesoul

Jumblesoulの感想・評価

2.5
1879年の南アフリカのズールー戦争初期の実録戦争もの。
侵攻してきたイギリス軍と先住民ズールー族との戦いで、イギリス軍の武器は単発銃、ズールー族の自前の武器は槍のみという、何とも前時代的な戦い。ちなみにこの時期日本は明治12年で、前々年の西南戦争では連発銃や機関銃も使われていた。
というわけで槍と鉄砲の戦いが延々と続く戦闘場面は、日本の戦国時代の戦いみたいで少し飽きてくる。
両軍とも多数の犠牲者を出したが、結局同年の夏にはイギリス軍の勝利に終わる。
19世紀後半の大英帝国と南アフリカのズールー族との戦いの一部を描いた戦争映画。近代兵器を物ともしないズールー族の士気と戦術の前に、貴族階級の将官と叩き上げの工兵隊の将官が対立しつつ、圧倒的不利な戦況を乗り越えようと死闘する。イギリス版の西部劇みたいな題材で、別にズールー族悪くないじゃんと思っちゃうよね。戦闘シーンの迫力がなくてアクションとしては全然お話にならないんだけど、圧倒的不利なシチュエーション状況や、ズールー族のエネルギーは巧みに表現されている。マイケル・ケインのブレイク前の作品で、ナイジェル・グリーンとの上下関係が翌年の「国際諜報局」と逆なのが面白い。これを見ると無性にCivilizationをプレイしたくなる。
2018.5.19 ザ・シネマ
のん

のんの感想・評価

2.5

このレビューはネタバレを含みます


大英植民地帝国の戦争。
40対1の戦力比にも関わらず英軍が奮戦して持ちこたえたという、ズールー戦争中のロルクズ・ドリフトの戦いが描かれてます。

人物描写が良くて、マイケル・ケインの貴族的で弱々しい感じがフレッシュだし、ボーン伍長(ナイジェル・グリーン)の唯一軍人然とした姿勢が軍隊であることを示していて好感。
主眼としては少人数で持ちこたえた兵士たちの勇気を称える映画だと思うし、クラシックな戦闘はひとつの歴史として観れるけど、白人優越主義の臭いがプンプンするのはちょっと…。この時代の戦争映画特有の、とってつけたようなシーン(ズールー人達が英国軍の勇気を称えるかのようなシーン)は鼻につく。

一人の若い兵士が(なんで俺たちがこんな目にあうの?という意味で)「Why…?」と言うけれど、それはズールー人のセリフだよなって思ってしまう(もちろん下っ端の兵士の心の声ってことは別として)。

植民地主義の頃の戦争とか、先住民を殲滅しちゃうような戦争とか、それが歴史だから仕方ないとはいえ心がついて行かない……。
どなべ

どなべの感想・評価

2.0
戦闘シーンのあまりのアホくささ、戦争映画を撮るには1960年代はまだ早すぎることを知った
イギリスによる侵略の歴史の1ページを垣間見た気がした
ほんと酷い国だな
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