カメラが長回しされること自体の魅力に頼らず、大胆な演出が長回しに意味を与えている。『溶岩の家』での似たシチュエーションでの長回しは、主人公が異国の地を闊歩する躍動感を強調するに留まっていたように思う…
>>続きを読む前回の5年前の特集上映で見逃した、ペドロ・コスタ長編第3作の傑作から。
物語は、スラムに暮らす若い母・ティナが産後の絶望から赤ん坊と共に自殺を試みる。父親が赤ん坊を連れ出し、路上で物乞いや売買を試…
前観た時よりちょい苦手だった。というかこんなに異質な映画だったっけと思った。確かに『溶岩の家』と『ヴァンダの部屋』との間という感じはする。(『溶岩の家』と同じサイズの顔のアップ)
スラムの女性たちの…
固定された目線は、偶然入ってくる人のみを映し出す。大きく歪んでうねる街は、巨大な生物のようで、巨大すぎるがゆえにその爪の先しか見られない。それに寄生するかのように人は生きるんだ。そんでその寄生生物を…
>>続きを読むこのレビューはネタバレを含みます
渋谷ユーロスペース
路地裏の線や道端のゴミも写実を越えて、ニヒルな模様のように見えてくる構図の美しさ。
・台詞の少なさ
・掃除機、手前に植物
・病院での乱闘
・生に対する絶望と、バス車内の俯き顔…
"あなたの痛みを分かち合うことができればいいのに"。画面の中に唐突に現れたこの言葉が、頭の中を駆け回っている。この映画を一言で言うならばこの言葉だと思う。冷たい生活、凍りついたような人々の表情や仕草…
>>続きを読む血が肉付けされたストーリー性のある物語なら、こっちはその肉を削ぎ落とした剥き出しの存在を映す映画。
ここにそういう人たちがいて、こんなふうに暮らしていてというのを、責めるようでも掬いあげるようでも…