階級関係 -カフカ「アメリカ」より-の作品情報・感想・評価

「階級関係 -カフカ「アメリカ」より-」に投稿された感想・評価

Riku

Rikuの感想・評価

3.5
原作との決定的な違いはカール・ロスマンがいない空間があること

半分カフカ、半分ストローブ=ユイレのハーフ&ハーフ

S=Hの中では見やすい方だった。
commonlaw

commonlawの感想・評価

4.4
ロングショットの長回しと、人物のアップのタイミングが計算され尽くされていて、構えて見てるとびっくりする。演技も一貫しているように見えて、微妙に圧迫感のある演技もバランスよく使われており、また登場人物が全員インパクト大の顔面で、個々がはっきりしてくるのも凄いポイント。
カフカ『失踪者』をあらすじそのままで映画化。不条理な世の中に対する主人公の抵抗を描いたもの。実存主義文学が好みの僕としてはたまらんかった。蜘蛛の巣に絡みとられた蝶を見ているかのよう。
Ryosuke

Ryosukeの感想・評価

3.9
感情のこもっていない演技をするものと、大げさでわざとらしい演技をするものの両方が登場する。階級が上の立場から抑圧的な態度をとるキャラクターは後者に割り振られている。労働者と資本家の関係を戯画化するために演技の様式を変えさせているのだろうか。
暴力を行使する様が形式的で不自然なのも面白い。(最初に呼ばれた家で娘が怒るシーン、ボーイ長を突き飛ばすシーン、かつての仲間に暴力を受けるシーン)
画面内の位置的な上下関係が、階級の上下を表現していると思われるショットもあった。
映画としては若干不自然な舞台的な立ち位置、会話シーンでも一人の表情のみを映し続ける撮影(しかも横顔だったりする)など、劇映画でありながらやはり独特。人物がフレームアウトした後も空間を捉え続けるショットや、唐突な省略編集による不思議なテンポ感もストローブ=ユイレ的。陰影の強い画は美しい。
棒読み棒立ちで強情、自分の唐突な感情の変化に正直な主人公には不思議な魅力がある。
暗転して、列車の走行音のみが響くラスト。列車はまた次の階級関係の下へと彼を運んでいくのか。
Mitsunoir

Mitsunoirの感想・評価

4.2
なんとなく S=Hがわかった、いや映画がわかってきたというのか。やっているのは別にバザン的長回しによるリアリズムではない。かと言ってハリウッドの物語文法的なカットの切り返しなどを用いた劇でもない。カフカの失踪者の映像化、とも片付けるべきでない。映像とテクスト(音)の塊が表現される、つまり空間と時間のエクリチュール。非常に優れた形式美。

加えて個人的に、社会に抵抗して放浪する彼の姿には少なからず共感できる部分があったので結構好き。そんな何度も繰り返して見ようと思うかは今後の映画観次第ですが。
難解な作風で知られるカフカ原作の本作が、管見の限りではストローブ=ユイレの映画のなかで最も親しみやすいようにおもうのだが、それこそがストローブ=ユイレという映画作家の特異さを端的に示す。
話は、ストローブ=ユイレの他の大半の作品とは異なりコンテクストの知識は不要で、ときどき繋がりがよくわからないものの、シーンのひとつひとつはむしろ明解で、芝居の間も見慣れた娯楽映画に近い。
カフカ的でありつつストローブ=ユイレ的でもある、カフカの失踪者の映画化。

ストローブ=ユイレ作品ではどちらかと言うとオーソドックスな形式の映画。

要点をまとめた感じではあるけど、それで時折断片を綴る形になってゴダールや後のハネケ的な趣も感じさせないでもない。

オーソン・ウェルズの審判を見ても思ったが、やはりカフカの独特な世界観にはモノクロが合う。
紫色部

紫色部の感想・評価

3.5
2018.2.21 アテネ・フランセ文化センター

会話の高低差、陰影の映えるモノクロの質感が普通にノワール的なのでどうしたことかとなる。パンや長回しはまんまストローブ=ユイレだが、カフカへのアプローチとしてはハネケが一番近い?
I

Iの感想・評価

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ストローブ=ユイレが撮る原作ものの劇映画ということでどんな風になるのか気になっていたけど、脚本にもなってないプロットを演出なしで観せられてる気分で、つくづくこの人たちにとって映画とは方法論とプロパガンダでしかなかったんだと割り切れた。

良い悪いではないけれどやっぱりこの極度はまったく好きになれない。

原作未読故の誤解だろうかと一瞬思ったものの、併映のアンラシャシャンも大差なかった。(脚本がデュラスなだけまだマシだった)

180度パンからの3人とラストの長回しは良かった。
全速力で走っても殴られてバルコンに運ばれても分け目の乱れないクリスチャン・ハイニシュ。汚れない白シャツも素敵だ。画面に映らない人物の声が記憶に残っている(横になる歌手を映すショットとか)。最後、列車のとなりに座ったのが裏切りを遂行したかもしれないあいつだったことには驚いた。
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