ルートヴィヒ 完全復元版の作品情報・感想・評価

「ルートヴィヒ 完全復元版」に投稿された感想・評価

レナ

レナの感想・評価

5.0
完全版で観れて良かった…。4時間あるけど全く苦じゃなくて、それだけ切実に訴える力がある。こんな映画体験を長いこと待っていた。

狂気に苛まれて破滅する、ルードヴィヒ二世を壮大なスケールで描いた歴史大作だが、ヘルムート・バーガーの顔がみるみる変わっていって恐ろしい。怪演。
(昨年末に見た「スカーフェイス」を少し連想した)
目に入るものどれを取っても、全てが豪華絢爛で調和を持っている。その美しさ、内的世界の理想と現実との不協和音そのものが、既に狂気的である。
オペラも演劇も室内装飾も取り込み正に総合芸術で、映像全体が訴えている。ぞくっとするシーンがありすぎて語りきれない!

ルードヴィヒの弟で同じく精神を病んでしまうオットー1世が、少し前に観た「早春」の人だったのだけど、その作品より後に今作があることに驚く。それは物語の舞台もそうだが、失われゆくもの を描こうとする精神がヴィスコンティあるからだと感じる。彼の描く、絶望し、敗北し、破滅する人間の姿がここまで心打つのは、監督自身に重なっているからだろうか。或いは、彼らが決して誇りを失わないからだろうか。
TSUTAYA discasで、これが送られてきてビックリしました
オーダーしていた記憶がない...
しかも歴史ものって興味が無いし、4時間もある超大作じゃん...
『もんてすQ』は『ゔぃすこんT』のこと、そこまで好きじゃないしな〜

1時間ほど観て、つまらなかったら観るのやめよう〜くらいに思っていました
しかし映像の美しさは当然のこと、ストーリーも意外になかなか面白く、4時間を完走してしまいました



ヘルムート・バーガー、顔が良かっただけの俳優くらいに思っていたのに、ここまで才能がある役者とは知りませんでした

クライマックス、大佐の切ない表情に涙...



エリザベートが妹を平手打ちするシーンや、お城の中で高笑いするシーンが良かった

また、ルートヴィヒが出陣前の弟・オットー(スカーレット・ヨハンソンに激似)と会話するシーンで、天井の月のオブジェがクルクル回ってるところも綺麗だった...
nknskoki

nknskokiの感想・評価

4.6
バイエルン国王ルートヴィヒ二世の即位から死までを忠実に描いた歴史的超大作

とにかく圧倒的な美術
時折衣装や内装などにフッと目を移すと作り込みの素晴らしさに息を飲む

自立し独擅することで必ず孤独は付き纏う
一人で生きれる人は確かに人間として強いが孤独には難点がある
それは主観だけでは人間必ず視界が狭くなるということ
頑固に自分が正しいと思い込んで進めると思わぬ落とし穴にハマる
そうならないためにも必ず絶妙な軌道修正のアドバイスができる右腕的な存在は必要なのだ(両親、旦那や嫁、恋人、相方、親友、先輩後輩同僚、、)
それこそ第三者的監査機関のような働きをする人
信頼できる人なら誰でもいい

うわ…また長くなりそうだけどもう一つ😝

最近自分の中で大切にしている助言の仕方があってそれは「愛犬を散歩するように」アドバイスするということ

乱暴な人は自分の生きたい道へ愛犬のリードを強引に引っ張って誘導する
そうでは無くてリードは長くしておき犬の進みたい様に自由に散歩させる
リードは持っておくだけ
アドバイスとは自分の意見を押し付け思い通りにさせることではない

犬が車に轢かれそうになった時だけリードをクイっとこっち側へ引っ張ってやる(これが軌道修正)
あくまでやりたいように行動させる。本人が一番自分のことをわかっていてかつ色々考えているんだから
多忙や混乱により相手の視野が狭くなっているような危険な状況の時だけ軌道修正
嫁旦那恋人親友上司先輩後輩への助言の仕方はすべてこの方法でいける

「何にお悩みですか?話して下さらなければ相談に乗れません」

「悪魔の誘惑は退けねばなりませんぞ。暗い部屋で罪深い欲望を抱けば相手の体は誰であれ温かいのです」
ミツヒ

ミツヒの感想・評価

5.0
燭台の揺れる炎が松明に代わって降りしきる雪が雨に変わって終幕が訪れる、大好き
sy

syの感想・評価

4.0
凝りに凝った芸術作品としての映画

製作にかける時間、生まれ持った才能、そして育ちからくるセンス。これらの観点から、今はどう頑張ってもこんな映画はもはや撮れないし、撮ったところで間違いなく商業ベースに乗らない
こういうものを求め、そして存在させた「時代」というものを我々に痛感させてくれる、映画史に残るマイルストーンだと思う

我々はヴィスコンティという芸術家の、孤高の美意識にひれ伏すしかない
kumi

kumiの感想・評価

3.9
耽美でデカダンな雰囲気が漂うのは
ヴィスコンティの美意識ゆえの設定
(舞台・衣装)だけでなく、
ヘルムート・バーガーの整った姿によるものも大きい。

生身の女よりも、芸術。
ワーグナーを崇拝し力を得た王。

それにより無残な最後となる。
マミ

マミの感想・評価

4.0
最初から最後まで心を奪われっ放しだったのは、光と影の美しさ。映画にとって大切な要素であることは頭でわかっていても、こんなにも光と影が美しいものなのかと実感したのは生まれて初めて。

夜更けにふたりが出会う場面で、暗闇のなかそれぞれの顔にだけ光が当たっている。それが息を呑むくらい美しい!またところどころでインタビューを受ける関係者に横からあたる光が美しくて、字幕を読むのも忘れて見入ってしまったほど・・。どの光をとっても瞬間的に心が凍りつくくらいの美しさだった。いろいろ考えて照明係が光を当てるんだろうけど、すごい仕事ぶりだなぁと観終わってからもつくづく感心し続けている。

ところどころで入るワーグナーの音楽がまた良かった。ローエングリンの第一幕への前奏曲がギリギリ聞こえてくる音量で入っているシーンが忘れられない。その昔、子供心にワーグナーとコジマの関係に胡散臭さを感じていたのだが(事実はどうだったのか知りません。)、この作品でふたりはかなり胡散臭く描かれていてそれなりに満足感があった。
A

Aの感想・評価

3.7
2018.1.10(Wed)
ヴィスコンティ作品だから見たい見たいと思ってたけどどこにもなくて諦めてたらGYAOで配信してた…!GYAO様…!って感じで鑑賞。
とりあえず長かった。歴史がわかったのはよかったけど、ルートヴィヒの生涯をなぞったところで何が言いたいんだっていう。エリーザベトが根本的な原因かなと思ったけど同性愛者だし…、それか逆にエリーザベトと上手くいかなかったから同性に向いたのかな…?色んな抑圧があってのことかもしれないけど狂ってく様子もついていけなかった。抑圧っていう点では同性愛的傾向はかなり重要な要素だろうしヴィスコンティ的にも同性愛を描くのは別にアリだと思うんだけどその要素がフワッとしてたのはなんでだろう。
映像は美しいんだけど少ない台詞を補完するものというよりは豪華絢爛さを見せるだけのためのもののように思えた。でもヴィスコンティ作品は率直に物語的に素晴らしいって思ったの『ベニスに死す』だけなのに、どの作品も画がずっと脳裏に焼きついてるし、他のヴィスコンティ作品も見たいってなる。それがヴィスコンティの作る画面が理屈じゃなく持ってる魔力なんだなと思った。作品を本質的には理解してないかもしれない自分でもまた見たいと思えるっていう。今回も白塗りの顔が出てきたけどロミオのはあんまりインパクトがなかった。その代わり物語が進につれてルートヴィヒの顔が同じように白くなっていってる気がした。あとヘルムートバーガーの美しい顔と対照的なガタガタの歯が印象的だった。
あと前にワーグナーについて調べてたのが活かされて嬉しかった。あんなに性格悪そうだったとは。ワーグナーとの対比によってルートヴィヒの純粋さが際立ってたけど純粋が故に狂ってたのかな。オペラのあらすじとか音楽もちゃんと知ってればもっと楽しめただろうなと思った。映画を見ていて色んなことが繋がっていくのは楽しいけど自分にはまだまだ知識が足りないっていうのも痛感する。勉強したいけど知らないことと知りたいことが多すぎて何から手をつければいいんだろう。作中で色んなことに言及してる作家はすごいし羨ましいなと最近つくづく思う。
カラン

カランの感想・評価

5.0
様々な映画が様々に制作されて、様々に受容されるわけだが、現代の消費社会の商品流通コードには、明らかにそぐわない、超-大作。これは映画の神が作ったのか。

作曲のことは詳しくないのだが、音楽再生装置などなかった時代の作曲家は繰り返しの記号をつけて、自曲の理解を高めるために意図的にリフレインを使ったらしい。バッハやモーツァルトの曲を小学校、中学校の音楽の授業か、映画か、YouTubeか、とにかくどこかで聴いたことがある我々とは違って、当時の聴衆はその曲のことを何も知らないからであった。逆に現代の私たちとしては、昔の作曲家たちが楽譜で指示している繰り返し記号を、全部忠実に再現されると、しつこくてうんざりしてしまうのだろうか。古楽の演奏家にそのように文句をつけている評論家がいた。

この映画でも登場したワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』は4時間である。これはモーツァルトの『フィガロの結婚』や『ドン・ジョバンニ』が、3時間ほどの演奏時間であるので、長いとは言えないのかもしれない。しかし、ワーグナーの『ニーベルングの指輪』となると、4晩かけて16時間の演奏である!私など『タンホイザー』を10分聴いただけで、十分である。

時代が違う。

よく言われるセリフだが、流れている時間が違うのだ。メタリカというロックバンドの曲を聴かせると「長いね」という人がいるが、それが現代人の時間感覚で、哀しきせせこましさである。私たちには"Hey Jude"でも、"20th century's schizoid man"でも長大な曲になってしまうのだから、次元が違うのだ、ワーグナーやヴィスコンティーは。

年末と正月の休みを、ヴィスコンティの『ルートヴィッヒ完全版』に費やすというのは、我ながら良いアイデアなのではと思ったが、まさかここまで長いとは!

ヘルムート・バーガーとロミー・シュナイダーの2人は、これまた現代には稀な、特別な役者のオーラがでている。カリスマとはこういう人たちなのだろう。

映画は、漱石の『行人』のような孤独なのかと思いきや、ヴィスコンティ自身の孤独をナルシスティックに描いているように思えた。映画の構造はトム・フォードの『シングルマン』と同じである。トム・フォードがエンディングをしくじったのに対して、無論、ヴィスコンティはきっちり仕留める。オープニングの赤も素晴らしい。
Nagi

Nagiの感想・評価

4.0
人生で唯一字幕がなくてもよいと思えた映画。少女漫画に出てくるような優美な男性を自分が素直に気に入るのだと驚いた。長丁場ですべてを集中してみていたとはやはり言えないが、退屈することはない。
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