日本一のショック男の作品情報・感想・評価

「日本一のショック男」に投稿された感想・評価

MOCO

MOCOの感想・評価

3.0
「簡単、簡単、じゃあね
ぶはぁー」

『無責任シリーズ』『クレージー作戦シリーズ』『日本一の男シリーズ』など1960年代に一世を風靡したクレージーキャッツであり、植木等氏でしたがドリフターズの人気上昇などの影響もあり「日本一のショック男」がクレージーキャッツとして最終作となりました。と、言ってもクレージーメンバーの参加者は植木等氏谷啓氏犬塚弘氏の三名です。

「日本一のショック男」は、高度成長期の過疎化・公害問題に触れた世相を風刺した映画です、さらに上京する日本一作はチョビヒゲで破れたスーツ姿、下着も靴下も穴あきとくるとチャップリンへのオマージュを感じさせます。

 偶然・・・日本一作の周りに主要人物が全員いるというサスペンスなら怒れて来るような小さな世界の展開も笑わせてくれ、全盛期の面白さはないもののストーリーもしっかりしています。もし「日本一のヤクザ男」や「日本一のワルノリ男」より早い上映をしていればヒットしたのではないかと思われます。脇を固める堺左千夫・小島三児・高松しげお・二瓶正也・塩沢とき・太地喜和子・酒井和歌子等も若く、懐かしい出演を見るだけでも楽しくなります。

 クレージーキャッツの映画は全てビデオ化DVD化されている訳ではなくこの映画も放送でもない限り観ることができない貴重な映画です。

[今は簡単に観ることが
  出来ないので
  ストーリー全体を!]
 東北の小さな部落・霜焼村字出唐子は次々と住人が東京へ上京し、巡査・日本一作(ひのもといっさく・植木等)は、最後の住人になってしまいます。

 一作は出征の時、部落に想いを寄せる花子がいたのですがもう帰れない気持ちから「おめぇーのこたー、キライだ」と突き放し出征し、終戦で帰った日が花子のお葬式だったという暗い過去を持っています。

 一作はある日、山上春子という若い娘の自殺を止めます。
 春子は恋人(田中邦衛)との結婚を兄から反対され自殺しに来たのでした。
 偶然・・・春子が花子と瓜二つだったこともあり一作は春子の兄を説得するため春子と上京し、先ずは春子の会社の課長に無断欠勤を詫びに行きます。
 春子の家に帰ると同居している兄は行方不明のため一作は部落の佐藤茶助(加藤茶)が働くキャバレーを訪ねます。店に茶助はおらず、一緒に部落を出ていった小川三三子(みみこ)を指名するのですが源氏名がわからず、何度もNo.1ホステスよし江(太地 喜和子)を指名して払えないほどの指名料を請求されてしまいウエーターとして働き借金を返すことにします。

 一作は歌手志望で家出してきた少女に店のお金で蕎麦を食べさせてあげます。

 三三子から売上を伸ばすのに客のビールを沢山の飲まなければならないのが辛いと聞いた一作は三三子のテーブルを回る度にコップを空コップとすり替えることにしました。
 噂を聞いた他のホステス達からビールの回収を一杯10円で懇願され回収したビールを飲んでいた一作はビールをビンに詰め直しキャバレーの路地でラーメンの屋台をしている男(谷啓)に一本50円で販売します。 
 ビールの回収で売上を増加させた一作はフロアーマネージャーに昇格し、全ウエーターを巻き込んでのビール回収プロジェクトが始まり詰め直したビールは店で再販され巨額の利益を産みます。

 偶然・・・春子の会社で会った課長が来店し三三子に絡み一作は課長と口論になり、支配人(小島三児)は一作が客ともめたことを社長(塩沢 とき)に報告するのですが社長は一作を支配人に昇格し今の支配人はクビにします。
 
 ある日No.1ホステスよし江の家に連れ込まれた一作はヤクザの親分が春子を連れ込み「兄貴の居所を教えろ」という現場に出くわします。
 偶然・・・よし江はカネマル化学に関係がある親分に囲われていたのです。
 一作は春子を連れて帰る代わりに春子の兄を探し、店の売上の半分を親分のものにすると勝手な約束をします。親分は信用するため対抗組織のカラッケツの茶の首を要求してきます。
 偶然・・・対決の日カラッケツの茶が茶助とわかった一作は三三子を連れて田舎へ帰るよう言います。

 偶然・・・ラーメン屋台の男を春子の家に連れていくと男は兄・啓太でした。啓太は兄妹で勤めるカネマル化学の工場排水の垂れ流しを止めさせようとしたのですが、聞き入れられずヤクザに命を狙われると思い家を出ていたのでした。

 一作は啓太にキャバレーの悪徳商法(ビールの再販・売春斡旋)を告発させ、あっさり逮捕されあっさり容疑を認めあっさり刑事を丸め込んで取調室から脱出し、親分のところへ助けを求めます。
 ところが一作は関東組に警察官の身分が分かってしまい短刀で脅されます。
 偶然・・・一作を追う刑事らがそこに突入し関東組は現行犯逮捕され一作は逃げ出します。

 カネマル化学の課長が関東組の親分と関係があると知った一作は課長を脅し工場の警備員になると工場排水に抗議する住民に、社長が工場を訪れた時に社長を襲うことを指示しスーパーマンの如く社長を助け社長秘書になります。
 偶然・・・社長の机に飾ってある行方不明の娘の写真を見た一作は娘を探して見せると約束します。
 偶然・・・その娘はキャバレーで蕎麦を奢った娘でした。

 テレビ局を訪れた一作はスポンサーになっている「主婦の浮気ドラマ」を突然打ちきり新しいドラマを制作を発表します主人公にする社長の娘は局のスタッフに探させます。

 放送初日、一作は視聴者にカネマル化学の公害を勝手に謝罪、被害者への保証を勝手に約束、今後は公害を一切出さないと勝手に公言します。

 会長は怒り、一作は社長に呼び出されるのですが「今後はカネマル化学の商品を買います」という電話が殺到し工場設備を作り直しても余るほどの利益が上がり、啓太に書かせた花子との思い出のドラマは大ヒットし、社長は娘と再会、そして一作はたちまち重役に、啓太は念願の作家に、春子の彼氏も戻り大団円を迎えます。
 部落に戻るとドラマの舞台になった村は観光地の様に人が訪れ茶助と三三子夫婦は大儲け、スポンサーをなくしたよし江が待っていたのですが「ここも静に過ごせなくなった」と・・・。

 この映画を最後に植木等氏はなりたかったシリアスな俳優に転換し、やがて黒沢明氏に誘われ・・・。
べらし

べらしの感想・評価

2.8
シリーズ最終作(だよね?)。
高度経済成長が怪しくなり公害・過疎問題の時代を迎えて時代がアッパーな植木等からマイペースな車寅次郎にシフトしてきている様子を窺わせる。
実際加藤茶との二枚看板だしな
は

はの感想・評価

4.0
とにかく出鱈目で、出てくる人間みんな前しか見てない。後ろ振り返らない結果、農村の片田舎だった舞台が東京に移りハワイに移りニューヨークに移る。

出鱈目な映画ってことで「下落合やきとりムービー」を思い出したけど、赤塚不二夫の出鱈目ってどこか死が匂うっていうか、死を予感してるからこその人生の無意味さってヤツがカタチになってるような気がするのに対して、こっちは真っ直ぐに出鱈目。当時の公害問題を社会風刺的に随所に盛り込んでるのに全然後味が残らない。当時を知らないってのもあると思うけど、映画全体のグルーヴがポジティブにマスクしてるんだと思う。そんくらい出鱈目。と思ってたらラストで社会風刺と出鱈目が見事に融合してて笑った。笑いながら考えるみたいな。

「ホラは吹いても嘘はつきません」とか名言はさんでくる植木等、「成功の母だ」っていいながら失敗しまくる谷啓とかも最高だけど、とにかく加藤茶がキレッキレで最高。というか、考えてみたらクレイジーキャッツとドリフターズが共演ってすごいんじゃないか。

あとから調べてみたら最後の日本一シリーズであり、最後のクレイジー映画とのこと。この映画で締めを飾るのも、なんの余韻も残さない感じが出鱈目で最高だと思う。
mitakosama

mitakosamaの感想・評価

2.9
クレイジー映画・約10年・30作目の最終作。出来は悪くないけど興行成績は振るわなかったらしい。

過疎化した田舎の駐在ヒノモト(植木等)。自殺志望だった女性を助けた縁で東京に来る。
先に東京に来ていた加藤茶を探すが見つからない、というプロットはワルノリ男と一緒。

20年前に浅草東宝オールナイトで見たが、当時友達と観て笑ったなぁ。キャバレーでホステスがビールを飲むフリをして回収して使い回す、というネタは凄く可笑しかった。ココは本当にオススメシーン。

縁があり製薬会社に入り、その会社の公害を内部から解決する。
過疎化問題・公害問題と当時の世相を大きく反映し、問題提起もしてるが話題にはならなかったようだ。
社会正義を通す作風はシリーズでは異色で求められて無かったのかなぁ?植木等個人の立身出世物語に比重が無くなったことも時代の移り変わりを感じる。
また、植木等が自身はヒロインと結ばれなく若い世代に譲る、という構図もクレイジーが後進に道を譲る縮図と似てて象徴的だ。

ヒロインは酒井和歌子。ゲスト歌手は小柳ルミ子。二人とも若くて可愛いぞ。
「ゴジラ対ヘドラ」といいこの時代は、かなり環境問題について取り上げた作品が多い。

クレイジー映画最終作である本作も同様。しかし、うわべだけの感じも否めない。
でも「日本一のヤクザ男」や「だまされてもらいます」に比べればまだ作品として成立しているから、まだ許せる。
hikari

hikariの感想・評価

3.3
コメディなんだけど、おそらくその時代の社会問題も扱っていて、単に笑えるだけではないところがよい。
最後はハチャメチャな展開なので、どうなるのかなーと思うんだけど、スッキリ終わります!
頭痛くなるくらい複雑な悩みがあるときに観ると元気が出てくるかも。
東北の出唐子村で巡査をしていた日本(ヒノモト)だったが、村人はどんどん東京に出ていってしまう。遂に一人ぼっちになってしまうが、偶然村を訪れたOLを助けるため、ともに東京へ向かうことに…。

クレージー映画最終作。本作も加藤茶が出演しているため、下品なネタをぶっこんでくるかなぁ…と身構えていましたが、今回はそういったネタはあまり見られませんでした。一方で、減反政策やら公害問題やら、本作はやたらと社会問題に言及しており、後期クレージー映画の流れは色濃く残っています。今となっては楽しめる要素になっていますが、当時の人は映画でもそんなこと言われちゃあ疲れちゃうんじゃないかなぁ、と思う次第です。
Kumonohate

Kumonohateの感想・評価

3.5
1971年ともなると、モーレツ・ヒーローの活躍の舞台たる企業を健全な組織として描くことは、もはやリアリティの欠如という意味で困難になっていたのだろう。また、東京で一旗上げるヒーローのバック・グラウンドとして、前作同様、公害や過疎を避けて通ることもできなくなっていたのだろう。というワケでこれはもう「日本一シリーズ」ではない。まさに最終作にふさわしいフォーマットの破壊ぶりである。

しかし、そんな浮き世の潮流に翻弄されながらも、若々しい酒井和歌子のチャーミングさは時代を超越している。なんて可愛らしい。それと、前作にも登場した、植木等が着ている真っ赤なスーツ!あれ、欲しい。