フレームに入っていない部分の人間の動きを想像させるカメラワークは、緻密な空間と音の設計の上に成り立っている。狭い階段が映っているだけで涙が出るのは、上階の思い出を想像させるから。90年も前、戦前に完…
>>続きを読む国宝にめちゃくちゃ影響を与えてそう。
家系、血が強力すぎる力を持つ歌舞伎という世界の残酷さを描いているという点ではテーマも同じ。
異なるのは焦点を当てている人物や、排除される原因。
この作品では身分…
蓮實重彦を知らなかったら見ることがなかっただろう映画。配信で見たけど家族からはなんでこの人はこんな古い映画なんか観ているのだろうと思われているはず。古い映画は敢えて観ているという感じが常につきまとう…
>>続きを読むこんなにも「言霊」が宿った映画は他にないと思う。
「覚悟はできております」と言ったときのお徳の存在感、「あなたと呼んでもいいのですね」と布団で力無く菊之助に話すあの瞬間。この映画はお徳の言葉とその力…
冷たい西瓜と鏡餅。バックヤードの空間設計。建具を通して映す横移動。人力車から降りる花柳章太郎、赤子をあやす森赫子、風鈴屋、女性二人連れ。仰角。辻に置いたカメラが首を振って森赫子を追うその横顔(少しピ…
>>続きを読む歌舞伎界を舞台に、五代目尾上菊五郎の養子である二代目尾上菊之助と、その実妹の乳母お徳との身分違いの悲恋を描く。
長回しによるワンシーン・ワンショットが多用されるため、それぞれの場面への没入感が凄ま…
『国宝』の「100年に一度の壮大な芸道映画」という宣伝文句が、いかに何の意味も持たないものであるか、それを再認識させられてしまう映画が、この『残菊物語』である。
歌舞伎の上演シーンは、この最たる例に…
芸道に生きる男とそれを支える女。
『国宝』が心に響いた若い世代にも是非観てほしい作品。
菊之助が赤ん坊の時以来に会った甥に「大きくなったなぁ」と声を掛け「おいちゃん誰?」みたいな事言われてる場面…
©1939松竹株式会社