必死剣 鳥刺しのネタバレレビュー・内容・結末

「必死剣 鳥刺し」に投稿されたネタバレ・内容・結末

溜めに溜めてスポーツ的な殺陣で満足したところに、必死剣炸裂!

どうやって練習したかは知らないがとにかく炸裂!

漫画的な技だけど、藤沢周平の秘剣シリーズって本来こういうヤツだったと思い出す展開。
トヨエツかっこいいからいいけど、
ベッドシーン必要あるの?
藤沢作品の寡黙な剣の達人はやっぱりいい。

豊川悦司は「Love Letter」で初めて認識したので「なんだこのチャラいお兄さんは(イケメンって訳でもないし…)。」と思ってた。当時子供だったのでトヨエツの魅力が分かんなかったのもある。でもこの映画では渋くてかっこよかった〜。最期はセリフはないけど「怨みはらさでおくべきかーーー!」ってアテレコしたくなるくらい迫真。でも結局無能な殿様が生き残ってしまってやりきれない。

妻の姪と恋愛関係になるのはちょっと嫌悪感があって純愛に見えなかったので仄めかすぐらいがちょうど良かったな。

これも嫌いじゃないけど「鬼の爪」の方が好き。
悲劇ってのは、そうなるしかなかったからこそ悲劇的なのであって、「あれ?これって、あそこをこうするだけで丸くおさまってたんじゃ?」と思わせてしまうようなものは喜劇である。


完全にネタバレになるけど、これ豊川悦司が吉川晃司を斬った後、岸部一徳は豊川悦司に、「よくやった。しかし御別家様の名誉の為に、これこれこういう理由で死んでくれ。頼む」とか正式に伝えれば、トヨエツは納得して死を受け入れてくれたのではないか。トヨエツがそういう男であることは逆に前半からきちんと時間をかけて描かれていただけに、その積み上げを無為にしどんでん返し(?)だけを求めて不自然に無駄な斬り合いへと至る展開の違和感が拭えない。

最終的にも、海坂藩なけなしのキレモノ岸部一徳を斬って藩主を残しては、今後の藩政に到底望みは持てなるわけで、それはもはやトヨエツの個人的な恨みの解消に過ぎず、ますます人物像型の魅力は減るばかり。それにもともと大した男でない描写であった藩主が岸部一徳の死にびびる姿を見せられてもラストとして何の溜飲も下がらない。せめて藩主の方を鳥刺して藩の禍根を絶ち、最後まで冷静だった岸部一徳がびびるという展開で風呂敷を畳むべきだったろう。


酒を酌み交わすシーンがいちいち美味しそうなのと、各種所作の美しさ、地元ロケの景観でなんとか☆2つ
物語自体は時代劇でよくある「上が有能ではないから下の者振り回される」というのが如実に表れていて観ていて悔しかった。3人で幸せに生きて欲しかった…。
いい意味で「えっ?!」となる場面が2回あって予想を上回ってこられて良かった。
殺陣も兼見の生き様もかっこよかった
ネタバレあり

徹底した階級社会にラスト怒涛の一撃を決める系映画。こういう映画はラストが肝心だと思う。
そのラストがダメかなと。

刀を持ち替えて不要な殺生はしないのかと思いきやフツーに持ち替え直してやっちまうしスローモーションは入れちゃうし殺陣はそんなにキレてないしあーもー長いんだよ早く鳥刺しを見せろという感じ。原作(筆者は未読)を再現したのかもしれないけどこの話の展開じゃちょっと感情が伝わらないので共感できない。カタルシスもない。

対御別家(ツバに引っ掛けるところは思わず"おっ"てなった)、鳥刺しのヤバい感はものすごく良かっただけに残念。
老中いい人かな?と思ってたらやっぱり岸部一徳は…
物語の冒頭、重厚な能の舞と共にテロップで表示される登場人物の名と肩書き。
個人的にテロップで説明を済ましてしまうなどというのは演出のタイマンだ!と思う人間なので、一見「なんだこりゃ」と思ってしまいました。
が、その直後起きる大事件。
まさか、主人公がいきなり側室を斬って捨ててしまうとは!
そこまでの台詞を最小限にしたことで逆に空気感と衝撃度が強くなり、俺自身すっかり話に引き込まれ、この見せ方をするなら登場人物をテロップで示したのも納得した次第。
見事な導入ですね。

さて衝撃の冒頭が終わり話が進むと、「何故兼見は側室を斬ったのか」ということが回想と共に明らかになってくる。
理由は藩への憂いがさせたことと理解できるし、妻と死別しもう守るものもない男の捨て身の行動でもある。
だからこそ、次第に妻の姪からの思慕によって生きる事への執着を得ていく主人公の変化がドラマになるんだけど、過去に死を求め藩政のために藩主の側室を斬った主人公が、今では生きる糧を得た主人公が、藩政を憂いて藩主を斬りに来た刺客から藩主を守るために戦うことになるなんて…。

政道を思えば排除されるべき相手は自明なのに、仕官の身であれば守るべきは藩命。
上に立つ者としての器は、現藩主ではなく藩主別家の侍であるが、その侍自身が藩主の命を狙う刺客であるという現実。
クライマックスはあたかも過去の自分との対決のようでもあって、なんという運命の皮肉。
いや、でもそれがこの話の一番の見所であるし、その義と忠の間に挟まれる姿が藤沢作品らしい空気感を出してもいるのですが。

全体的に作品の雰囲気は落ち着いていて、正統派な時代劇といった印象。
兼見役の豊川悦司はキャラクターに合った想いを抱えた雰囲気を出しているし、姪役の池脇千鶴の所作は見ていて気持ちが良い。
逆ベクトルのキャラである側室役の関めぐみは、これがまた人間の嫌な感じが良く出ていて、斬って捨てられるのもむべなるかなと思わせる演技。
他の出演者では、主人公の上役である岸部一徳は演技巧者であるから今更言うまでもないけど、個人的には別家役の吉川晃司が出すオーラが見事で感心しました。

配役や作りで若者の観客にこびなかったことが、この映画を正統で落ち着いた時代劇という評価に繋がったと思うけど、そうであれば尚のことエンドクレジットで流れた歌の選択が惜しまれます。
単純に時代劇というこの映画のイメージには合ってないと思ってしまったので…。