人間の條件 完結篇の作品情報・感想・評価

「人間の條件 完結篇」に投稿された感想・評価

こんなに長い戦争映画初めて見たけれどこの長さがポイント。
戦争のせいでじわじわと変わっていく人間を描写するにはこのくらい必要になるんですね!

とにかく戦争は理不尽すぎると痛感した。梶はいったいどうすればよかったんだよ、、、と思ってしまう。
どんな人間でも変化させてしまう戦争の力はすごい。逆らってもどうしようもない。

最後バッドエンドで悲しいけれど、戦争はそうだよねと思った。

あとタイトルがものすごく好き!
これだけでいろいろ考えてしまう。
1週間使ってチマチマと第1部〜第6部まで鑑賞。9時間31分の長い旅路だった。
理想に生きる若きインテリ青年、梶が戦争の荒波に揉まれ、最後の最後に辿り着いた地に唖然。
戦争を描いた作品は数あれど、彼は果たして人間の條件に辿り着いたのだろうか?
要領良く生きた人間と彼との違いはなんだったのだろうか。この過酷な仕打ちこそ映画ならではの説得力だろう。
小林正樹は後の『東京裁判』の制作など生涯に渡って日本の戦争と真正面から向き合ってきた。既に高度経済成長で日本人が戦争を忘れ始めようとしている真っ只中でこのような作品を投下した覚悟にただただ敬服の外はない。
Unosuke

Unosukeの感想・評価

3.5
金子信雄がベストワーク!笑

やはり仲代あっての人間の條件だった。
小林正樹が無名の仲代達矢にこだわったのが分かる。
大晦日~元日のオールナイト、第1部~第6部〈完結編〉の一挙上映。

◆人間の條件・第五部~死の脱出篇
◆人間の條件・第六部~曠野の彷徨


◆この第五部では、「梶(仲代達矢)たちには、敗戦の連絡は無いが、生きる道を歩く様」が延々と続く一篇である。 

敵(ソ連)のど真ん中、敵中突破して逃げる3人の敗残兵である梶たち。 
森の中で女子供(その中には岸田今日子もいる)と出会う敗残兵3人だが、その後の女子供を連れての行軍では、飢えと疲れで森を進むうちに脱落者が次々と出る。 
大地をさまよう梶は、過去を回想するシーンが多数あらわれる。 

中国人の民兵団に狙われながら突進する梶たちだが、兵士xxx(内藤xx)の「くだらん自由を、高い金払って買っているだけかもしれん」のセリフは状況を顕著にあらわしており、素晴らしい。 

梶が女(岸田今日子)を見ている時に、それが妻(新珠三千代)に置き換わって見えてしまうシーンなどは映画ならではの表現である。

◆この第六部(完結篇)では、「梶(仲代達矢)の生き様」が集約されている。 

まだまだ森の中、原野を彷徨い続ける梶たち一行、ときおりロ軍と対峙して小競り合いしながら、日本人ばかりの避難民部落に辿り着く。そこには、避難民の女(高峰秀子)や老人(笠智衆)が居る。 

ここでも、梶は、避難民の女(高峰秀子)の話し声が、妻(新珠三千代)と姿も重なる。

避難民たちは、「ロ助」や「満人」を警戒しながら生きているが、その部落にソ連軍がやってきて、女(高峰秀子)の叫び声によって、梶たちは降伏して捕虜となる。 
そして、某所での労働を経て、通訳の意図的な誤訳によって梶はシベリア送りとなる。 
その後は、幾多のエピソードを経て、曠野に小さな雪の丘が出来る。 


「にんじんクラブ」を中心に、小林正樹監督らスタッフや出演者たちの苦労の結晶となる大傑作である。
ちょっと切り口を変えて。

仲代達矢演じる。この梶という男。
要するにチェ・ゲバラ化していくということではないか。

「モーターサイクル・ダイヤリーズ」みたいなものか。

で、この第5部から構成も世界観も演出もガラリと変わる。
正直少し、雑になったとも思える。
緊張感が画面の広さよりも、狭く役者の表情などの内面描写に入り込もうとしていく。

そして、出演シーンこそないが、新珠三千代はどんどんと大胆なエロスを醸し出していく。
いとそ

いとその感想・評価

4.4
9時間ぶっ続けで観ると、この映画の中の仲代達矢が狂っていくのと自分のしんどさがリンクしてしまう。そんな比では無いんだろうけど。金子信雄をボコボコにするところだけ爽快で、あとは絶望しかない。第1部の最初の場面と梶の死が描かれるラストではもう完全に別人。
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

4.5
壮大な映像の連続は脳内に焼きつく。
改めて見直しても小林正樹は壁あつき部屋にしろ本作にしろ後の切腹にしろ全て理不尽な社会を鋭く抉っている。こんな才能をもつ監督が当時まだ助監督で木下監督の下で働いてたと思うとやりにくかっただろうと感じてしまう木下監督が…!
mikoyan358

mikoyan358の感想・評価

4.5
2015/9/25鑑賞(鑑賞メーターより転載)
【第6部】6部合わせて点数つけたい所だが凄すぎてこりゃ無理だわ。梶がどうなるかを見届けるべく入った最終部が、悲惨さという意味では一番強いかもしれない。ソ連の捕虜になり、あれだけ人の事を考える思慮深い男だったはずなのに私刑を加えたり、梶の精神はもう破裂直前。それでも妻に会いたいという一心でかろうじて我を忘れずにいる梶には光明を与えて欲しかったが...とにかく、この全く別人とも言えるような変遷を一人で演じきった仲代達也の凄まじいばかりの演技力に大拍手。こんな「映画と思わせないような映画」もう出て来ないのではなかろうか。

2015/9/24鑑賞(鑑賞メーターより転載)
【第5部】敗戦を迎え、シベリア戦線から満洲へと向かういつ終わるともしれない逃避行が大半を占める、ただでさえ陰鬱なこのシリーズの中でもことさらに辛い第5部。何としても妻に会うためにまさに鬼のような形相で歩を進め人の命への向き合い方もかなり粗雑になってきた梶が、それでももうあと一陣の風が吹いてしまうと消えるようなはかない「人間性」というろうそくの火を何とか消さずに状況を切り抜けようとするのが、もう正直正視できなくなってきた。実際の戦地でも、多かれ少なかれタイトルにある人間の条件というものが試されたのであろうが...

このレビューはネタバレを含みます

第5部・第6部の見所といえるのは、ひとつはやり返すところなのだが、それよりも何よりもそれ以降のどうにも何の救いのない最終であり、一緒に観たまあまあ大勢の観客は終わってからも言葉を交わすのも憚られ、全員無言でシアターを立ち去った。
仲代達也に、金子信雄、笠智衆、高峰秀子……、と日本の名優によって完結する一大大河映画。日本映画の頂点の一つ。
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