座頭市血煙り街道の作品情報・感想・評価

座頭市血煙り街道1967年製作の映画)

製作国:

上映時間:87分

ジャンル:

3.8

「座頭市血煙り街道」に投稿された感想・評価

朝丘雪路さん追悼2本目です。大映座頭市シリーズ全22本中の17作目。演者書き出しのクレジットでは三枚目の筆頭。まあ、看板で言えば5〜6枚目くらいの端役です。

役所は旅芸人一座の女座長。艶っぽいせいで地回り興行師のトラブルに巻き込まれてしまうという良くある設定。朝丘雪路さんの役にはピッタリなんですが、出番が少なくてあまり印象に残りません。実はこの映画、決闘シーンで有名な映画なんですよね。見ていて思い出しました。本来ならゲスト役の近衛十四郎が座頭市に殺られて一巻の終わりになる筈なんですが、これが決着しない。恐らく、剣劇の大御所に、それも殺陣の名人に殺られ役はやらせられなかったってことなんでしょう。

話には聞いていましたが、近衛十四郎の刀がとんでもなく長い。こんな大太刀だと、普通の役者じゃ抜刀できません。それに座頭市は仕込み杖ですから逆手振り回しの接近戦。なので、本来どうやったって立ち回りが離れすぎて形になりません。が、凄いですよ、気迫がちょっと違う。ガンガン近くで振り回しています。勝新太郎の殺陣も凄いんですが、これは完全に近衛十四郎の勝ちですね。

息子の松方弘樹さんが言ってましたが、毎晩深酒して必ず二日酔い状態で撮影に行っていた近衛さんが、座頭市のこの撮影の前日だけは酒を抜いたらしいです。負けてたまるかっていうプライドだったんでしょうね。

三隅研次さんの演出もいいんですよ。とにかくアングルの切り方がいい。決闘の終盤にちらほら雪が降ってきて、切られて流れる血が美しく光るんです。白と赤のコントラストを考えて雪を降らせたんですね。

この映画、全体的にはどうもイマイチな展開なんですけど、でもこの決闘シーンだけでも見る価値は十分にあります。

このレビューはネタバレを含みます

 座頭市が旅籠で相部屋になったお母さんとそのお子さん。お母さんが死んでしまって、お子さんを父親の元へ連れて行く座頭市の旅の話。
 
 前半から中盤は座頭市と少年の絆が描かれていき、口が悪い座頭市だけどなんやかんや守りながら旅をする。旅芸人と一緒になったりして。
 その後、父親がいるはずの街へやってくるけど。父親の姿がない。絵師の父親はヤクザと悪代官に捕まっていて、監禁されながら絵をひたすら書かされている。

 この絵がエロい絵で、それを悪代官たちが「○○両で売ろう」と悪い顔で密談してます。こういう絵、めっちゃ高く売れるんだ。と、この当時の性風俗業界、どうなってんだと笑えます。
 
 今回は何と言っても、浪人役で近衛十四郎さんが相手役として配置されていて、クライマックスの一騎打ちは日本映画史に残る一騎打ちの迫力だと思いました。
 冒頭から座頭市を狙う一行を一瞬でやっつける座頭市のスピードが凄くて、クライマックスでもヤクザたちを何十人も叩き斬っていいきます。この時のヤクザさんたちが、いきなり5人くらいを瞬殺されるのに。次から次に向かっていってその勇気が凄いです。毎回、5人くらいが斬られて全滅していくという。

 父親を救ったと思ったら、浪人が現れ正体を現す。そして浪人の前に立ちはだかる座頭市との雪の中での殺陣。この時の2人のダイナミックさとスピード。近衛十四郎さんなんて、背中で刀を受けたりするのがめっちゃカッコよかったです。
 「オレの負けだ」と自ら決着をつける美学なんかもよかったです。

 そして実の父親より座頭市になついてしまった少年との若れの寂しさを胸に次の街へと歩いていく座頭市の哀愁が最高の映画でした。
とある縁から座頭市が子供を父親のもとに届ける旅をすることになるシリーズ第17作目。
冒頭の挿入歌で勝新の歌が聞ける。うまい。
とりあえず生意気な子供を絡ませることでそれっぽいドラマを展開させ、旅の一座の中尾ミエがイキイキと歌ったり、一座から金を取ろうとするケチなヤクザが出てきたりと、徐々に雲行きが怪しくなりだしたシリーズの低迷期に片足を突っ込んだユルさ全快の雰囲気ではじまるのだが、最後のチャンバラ対決のあまりの凄絶さに圧倒される!
やはり、本作の白眉は近衛十四郎VS座頭市の決闘だ。保守本流の正統派長刀剣術と外道の居合剣法の対決は、重く艶やかな勝新座頭市の真骨頂が存分に発揮されている。さらに見事なのは、敵役をかって出てくれた大先輩スターの顔をたて花を持たせる決着の素晴らしさ。お役目としてはエロ皿の規制をしている役人という面白設定だが、間違いなく市が刃を交えたなかでは最強の剣豪のひとりであり、この一点のみだけをみたとしても、シリーズ屈指の傑作だと断じることができる。
私がシリーズのなかで一番好きな『座頭市あばれ凧』もそうだが、ユルめの娯楽作としてはじまって、ドスンと超ヘビーに終わるやつが好みなようだ。
これを発見して「リメイクしよう!」って思った奴、高揚したんだろうな。カッコ悪くてカッコいい市。子役の可愛くなさも心を掴んだんだろうな。保護者然とするでないこの距離感。近衛十四郎との雪の中の決闘。坂上忍が「勝さんは形だけのリハで本番がビシッと決まって鳥肌がたった」と言っていたけどさもありなん。そして三隅美学が炸裂。
小癪なガキを黙らせて後退りさせる鬼気迫る石噛み最高。いてもいなくてもよさそな坪内ミキ子だけど、伊藤孝雄へのひとり相撲を悟る表情がよかった
くずみ

くずみの感想・評価

3.5
多彩な共演者の見せ場を作るためか冗長ではあるが、道中でやたら出会う“旦那”、近衛十四郎とのやりとりで全てを忘れる。
座頭市シリーズ17作目。何の脈絡もなく女優が歌い出したり子役の演技があまりにもうざかったり、正直色々と"あれ"な部分はあるとは思う。だけど、近衛十四郎演じる赤塚多十郎と座頭市に殺陣がとにかくカッコいいので全部チャラになっている。最後の10分間のためにこの映画が存在していると言っても過言ではないだろう。最後の二人の殺陣は本当に凄まじいが、それ以上に座頭市とはどういう人間かをありありと表しているという部分でもまた素晴らしいシーンだ。子役の演技はうざかったものの、子供と座頭市の関係は少し泣かせるものがあったのもまた事実。ラストシーン以外の殺陣もまたカッコいいの一言。まさに座頭市の黄金期の作品だ。
チェケ

チェケの感想・評価

5.0
脚本がちょっと甘いとかそんなことはどうでもよい。勝新太郎と近衛十四郎という日本屈指の剣劇スターの対峙するクライマックス9分間。これだけでこの作品は日本映画史に名を刻まれたのだ。刀を失っても相手に必死で組み付く市が泣かす。
シリーズ第十七作。正直子連れもの前にもあったし、中尾ミエの明らか時代錯誤な歌唱シーン(めちゃ上手いけど)があるしで途中まで「三隅にしては…」と思っていた。しかし市が最後に立ち向かわなければならない相手が判明した途端、どうしようもない宿命に思わずため息が漏れてしまった。雪が降るのもエモくて最高。
堂ノ本

堂ノ本の感想・評価

3.8
子供と戯れる市に萌え、橋の上での闇討ちに酔い、ラストの雪降りしきる中での決戦に痺れる。