木枯し紋次郎 関わりござんせんの作品情報・感想・評価

「木枯し紋次郎 関わりござんせん」に投稿された感想・評価

中島貞夫/菅原文太版『木枯し紋次郎』の続編。世の中がどうなろうと「関わりござんせん」、出来れば社会の片隅で一人静かに死んでいきたい。というアティチュードの紋次郎が否応なく浮世の争いごとに巻き込まれ、仕方なく自分が関わることでさらなる悲劇を引き起こす。という大筋は前作と同様。

ただ今作の脚本の軸は、紋次郎の出生の秘密と、その鍵を握る、13歳の時に女郎として売られた生き別れの姉=おみつ/市原悦子との関わり。前作での浮世との関わりがすべて行きずりであったことを思えば、この血縁と出世との関わりという設定がゆえに、作品全体に「人生」や「業」といった余計な湿り気を与えていて、中島貞夫が雇われ仕事感満載でやっつけただろう前作の圧倒的なドライさには劣る。殺陣についても前作ほどの衝撃はない。しかし大傑作。

カメラ位置低め、頭部が切れた構図から、固定かカメラが引いたり寄ったりしながら撮った、スクリーンの中を何人ものキャラクターが移動するショットはどれも目が離せない。無意味なクローズショットの連続に辟易させられた『最後のジェダイ』の記憶がまだ真新しいせいか、ときおり的確に配置される菅原文太の顔のクローズショットに何度も度肝を抜かれる。画面後ろが漆黒で、菅原文太の頰が光ってる。それにあの目力。特に横顔のショット、凄かった〜。

前作同様、土砂降りの雨のシーンも多いが、横殴りの風を起こして空中に巻き上がった砂埃でスクリーン全体が白く濁った画面が今作では印象的。それまでずっと真っ赤な紅を頰に下品に塗りたくられ、一度も正面から顔を撮ってもらえなかった市原悦子/おみつを、彼女の弱さ/醜さがもっとも露わになるシーンで初めて、砂埃が立ちこめた淡い乳白色のスクリーンのど真ん中で美しく撮る。という演出があまりにも残酷。

唯一ナイーブな義侠心の持ち主であり、観客の共感の対象人物として描かれる田中邦衛の演技も良かった。もう既に『北の国から』の田中邦衛が完成してました。紋次郎の後ろ姿を引きでとらえた映画最後のショットは、前作最後のショットのあまりに唐突で、乾ききった演出が衝撃的すぎて、少し見劣りがしてしまう。特に紋次郎が切り捨てた相手の最後の言葉が木霊するという演出はちょっとトゥー・マッチ。にしても大傑作。むふー、興奮収まらず。
牧尾

牧尾の感想・評価

3.8
テレビ版よりもこっちのが原作のイメージには近い。原作者も菅原文太紋次郎を気に入るわけだ。
しかし暗くて黒くてこれは受けるの難しいだろうな…。
たくましすぎる市原悦子。
東映ヤクザ映画で見た顔いっぱい。
YosinoLee

YosinoLeeの感想・評価

2.5
紋次郎役が菅原文太と言うのも知らない人には違和感があるかもしれないが、見所はそこでは無い。知り合った性悪女郎が実は紋次郎の実の姉。そして姉を演じるのが市川悦子。この市川悦子のとんでも無い性悪っぷりが本作の肝。そんな姉に恩義を果たそうとする文太紋次郎がいじらしい。それと紋次郎に恩義を果たそうする渡世人田中邦衛もこれまたいじらしい。

このレビューはネタバレを含みます

さが。
文太紋次郎の二作目。
前作の「マッドマックス」なサバイバルから、仕切り直したように正統な渡世人時代劇の方向へ(「正統」が何か知らんけど)。

副題が全く反対。実の姉との再会で面倒に深く関わらざるを得なくなる。
過去の因果の根が絡みついて不幸へ引きずりこまれる厳しすぎる展開。
幸福の如きものの線香花火の様なはかなさよ。
前作のニ割増ぐらい切ない。

最後の台詞のリフレインに、俺の中の何かが肩で風切る。
赤ん坊の泣き声からのフラッシュバック、心中と暗いスタートで引きこまれる
市原悦子が演技上手すぎてビックリ、田中邦衛安定して良い味、待田京介がクール
殺陣がキメキメじゃなくてリアルな感じ
Chihiro

Chihiroの感想・評価

3.0
田中邦衛、市原悦子など脇役の演技に味があって前作よりずっと面白く観られた
待田京介さわやか〜
第2作目。中島貞夫的には「前作は頼まれ仕事だけど、こっちは積極的にやった」とのこと。
凄まじく暗い。赤子の口に布を詰めて殺そうとする母親のシーンから映画は始まる。
口減らし、心中…紋次郎はトラウマを刺激される。
だが、口減らしで殺されそうになった自分を助けてくれた姉を思い出し、心を落ち着かせる。
紋次郎にとって、姉は家族であり命の恩人なのだ。
紋次郎にとっての聖母である姉。彼女に対しても「あっしには関わりのねえことでござんす」を通せるのか?
それがこの作品のテーマだ。

売春婦に堕ちた姉の役を市原悦子が演じるが、鬼気迫るという次元を超えていてもはや怖い。
紋次郎の思い出の中の「聖母」は消え、心身ともに愚劣な女に堕ちきっているのだ。
男で失敗し続け、ヤクザに媚へつらい、自分の人生のために紋次郎を売る。
踏みにじられ続けた自分の人生に比べ、紋次郎は裏社会の有名人となっている。
自分の庇護対象だったはずの弟が人生を成功させている事への嫉妬があるのかもしれない。
そして、裏社会で名が通っていること=人生の成功と考える回路に彼女の救えなさがある。
紋次郎の手を振り払い、悪徳ヤクザの元へ走り、最悪の結末を迎える。

これがヒットしなかったせいでシリーズは打ち切りらしいが、当然かもしれない。救いが無さ過ぎる。
作家性の爆発といえば聞こえがいいが、あまりに人間を醜く描きすぎているし、殺陣のリアリズムという意味でも前作の方が上。
でも好き。
神

神の感想・評価

4.0
市原悦子を筆頭に、キャラの濃い役者揃いで楽しい作品。今回の山本麟一は裸体褌なし。
それにしても菅原文太の痩せ細った体!目力!素晴らしすぎる。