あなたの顔の前にの作品情報・感想・評価

「あなたの顔の前に」に投稿された感想・評価

sonozy

sonozyの感想・評価

3.5
長年アメリカで一人暮らしをしていた元女優の中年女性が突然韓国に帰国し、妹や、彼女に新作の出演をオファーしたい映画監督と会う一日のお話。

元女優のサンオク(イ・ヘヨン)は引退後、長年一人アメリカで暮らしていたが、突然韓国に帰国。
妹ジョンオク(チョ・ユニ)と再会するが、帰国の理由は明らかにしない。

妹と公園を散歩中、撮影を頼んだ通りがかりの人。
店を開いた妹の息子。
かつて暮らしていた家に寄り、そこにいた女性と娘。
といった人とのやり取り。

そして、彼女に出演オファーを申し出た映画監督(クォン・へヒョ)と約束した仁寺洞の「小説」という店へ向かう。
監督の知り合いのオーナーのその店は閉店中で鍵を預かった監督とサンオクの二人だけ。
監督の助手の青年がちょっとだけ登場。隣の店から中華料理と中国酒(珍しく韓国焼酎でなく)を買ってきます。

ここでのサンオクと監督の会話からラストまでが見どころでしょうか。

登場人物やショット/場面の少なさも、60歳を超えたホン・サンスらしい本作のテーマにふさわしい感じ。

※プロダクション・マネージャーとスチル撮影を監督の長年の(不倫)パートナー、キム・ミニが担当しているようです。

ヒホン国際映画祭(スペイン): 審査員特別賞
国際シネフィル協会: 最優秀女優賞(イ・ヘヨン)
いま、ホン・サンス作品は過渡期にあるのだと感じる。中年後期の女性が主人公で、もはや色恋ではなく、命や今日を生きることに目を据える。微笑ましさは醸し出せない、違う世界線に移行していく途上。
もはや「韓国」というより「世界の」という枕詞で語るべきホン・サンスのプロリフィックな作品群の中で、近年目を引くのが死の匂いを感じさせるフィルムたちだ。老詩人がとあるホテルを死に場所として選び、人生を終えるまでのモノクロの記録『川沿いのホテル』(2018)は言うに及ばず、『あなた自身とあなたのこと』(2016)では主人公の画家が死の床にある自身の母親についてつぶやき(2015年に実母を亡くしているので、自身の体験に基づいていると思われる)、ホン・サンスのフィルモグラフィ史上最も女性の力強い足取りで終幕する『夜の浜辺でひとり』(2017)ですら、キム・ミニ扮するヨンヒにまとわりつく黒い影は何やらあらぬ世界の住人のように思えてならない。だが一方で、酒と煙草、そして女と男の横顔というアングルで人生への微笑と苦笑いを表現してきたホン・サンスが、死のモチーフに惹かれているというのも頷ける。当然ながら死とは生に対する究極のアイロニーだ。だからこそ近年より旺盛になる創作意欲とは、彼のとめどない生への邁進の現れなのかもしれない。
 日本での公開が待たれる『Introduction』(2021)と『The Novelist`s Film』(2022)とのあいだに連なる『あなたの顔の前で』(2021)。ジョンオク(イ・ヘヨン)は映画出演の経験もある女優だが、今は一線を退き、母国の韓国から離れて暮らしている。帰国したのは、自分を主人公に映画を撮りたいという監督に会うため。この手段というのが実に異質だ。映画監督からジョンオクへの連絡は、SMSやカカオトークではない。メッセージを音声で残しそれを聞くという手法であり、この演出は、カットの手数を減らしよりミニマムにするためであろうが、話すトーンと言葉が密接に結びつくことにおいて、音声言語はより完成されたシニフィアンであり、声を吹き込む瞬間と聞く行為が一致しないことからも、相互の感情が同様に微妙にズレていることを示す。ムードとタイミングのズレによる気まずさと、だからこそ紡がれ出る物語にこだわり続けてきたホン・サンスの新たな手並みがまた生まれたのだ。(荒井南)

全文はこちら↓
https://www.nobodymag.com/journal/archives/2022/0401_1534.php
ヨラ

ヨラの感想・評価

3.6
ホン・サンス作品の登場人物って共感できないけど憎めないひとばかりだと思ってたんだけど、えっわかる…ってなって戸惑っている。
とにかくオチがいい。あと、妹の性格は相変わらずで笑ってしまった
あと助監督かわいすぎんか(調べた)

このレビューはネタバレを含みます

2022/3/15
@ルーブル
大阪アジアン映画祭

全ての事が、愛しく思え、
感謝してる心情は、、、
時間がないと言うことだ。

そうなって始めて踏み出せること
言えることまた、言えないこと。

ホンサンス/홍상수が、描くとそれさえも
さらっとなるなー
でも、今までの作品と違った感じも受ける。
JIHO

JIHOの感想・評価

4.0
昨年、韓国の映画雑誌CINE 21で韓国映画部門1位を獲得。
見る前からハードルが上がっているけど、
そのハードルは難なくクリア。
不穏なようで陰鬱なオープニングシーンから傑作の予感、
アメリカ帰りの元女優と彼女の妹がソウル近郊の緑豊かな
川縁のカフェでパンとコーヒーを飲みながらのたわいない話からの
元女優が一文無しみたいな状態で帰国したことがわかるドキドキさ。
一本の大きな木と自然の緑と青空、行き交う通行人、
ボーッと見ていたら気がつかないけど、映画的悦び満載で堪らんです。
他にもいいシークエンスがたっぷり、
イテウォンの生い茂った庭のおうちのくだりもドラマティックだったし、
仁寺洞のカフェ小説でのギターからのアレはもうどうしようって感じ!

個人的には大好きな作品だけど、万人受けはしないかも。
隣に座ったおっさん、ずっと鼻を弄ってスマホで時間を気にしていた。
つまらなかったら退場したらいいのにね。

大阪アジアン映画祭で鑑賞
mappii

mappiiの感想・評価

-
これが噂のホン・サンスズーム!!!

下手くそすぎるカノンを永遠と諦めずに弾き続けるのを気まずそうに聞いてる監督へのズームには不覚にも笑ってしまった。

どうでもいいような会話を長回しでずっと撮り続けてるだけなんだけど、おばちゃまの会話ってほんまにたわいもなさすぎてずーっと聞いてられるのよね。面白かった!!!
この日、大阪アジアンで観た中で1番好きでした。

トッポギが死ぬほど美味しそう。
見た後、近所のおばちゃんにおすそ分けでみかんもらった時の気分になった

このレビューはネタバレを含みます

ワンカットが長い!それがまたすごい!
コーヒーのシーンは最初の「このコーヒーが一番」という意味のない会話から始まったのに、そのシーンでの感情の起伏と背景のギャップが猛烈にインパクトに残ってる。
茅

茅の感想・評価

-
ホン・サンスの、アタリのやつ!!!
心から素晴らしかった!

珍しく死や信仰といったシリアスで鈍重なテーマを扱っているはずなのに、やはり限りなくホン・サンス。チャーミングで、ライトで、お喋りが楽しかった。

笑いあり、驚きあり、感動あり。
最後のセリフとショットは、完璧。美しすぎる...!はからずも泣きそうになった。
ホン・サンスは、観客の想像力を完全に信じきっている。
もう、こんなん絶賛するしかないでしょう!!!

日本で劇場公開されるのだろうか?してほしい。

ほんで、ホン・サンスの映画を見てる最中って、やっぱ謎の充実感がある。自分はこれを見ていたいし、見るべきだし、見る必要もある、という感覚に包まれる...なぜだ!?
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