刑事キャレラ/血の絆の作品情報・感想・評価

「刑事キャレラ/血の絆」に投稿された感想・評価

国内未DVD化のVHS良作。
フランスミステリー映画監督の巨匠クロード=シャブロルの脚本・監督作品。彼の監督作品のミューズたるステファーヌ=オードランもチョロっと出ている。

雨の夜の殺人事件。被害者の二人の少女のうち殺されたのはひとりで、犯人に襲われながらも逃げ切ったパトリシアは警察に飛び込む。担当刑事のキャレラは彼女の証言を元に捜査をするが、中々犯人を特定できず、一方でその証言の矛盾が明らかになっていき…。

問題の雨の夜の現場で何が起こったのか、刑事が一つ一つ謎を解き明かしていく展開にぐいぐい惹き込まれてあっという間に90分尺が過ぎていく。
非常に上質な心理劇で、最後に題名の意味が判り、渦中の少女を中心とする物語であったことが判る。

シャブロル作品は多々有れど、日本ではソフト化や配信の機会に恵まれないのが玉にキズだなぁ。
全てを引き受け何もかもを引き裂く悲鳴に始まり悲鳴に終わる悲鳴だけが決して狂わない狂気の詰め物。
少女性の純粋培養狂気爆発なので異常さの輪郭がエッジが利き過ぎてて血も凍るよう。
素敵素晴らしい気の狂いっぷりに感服し堪能。
冷え冷えとした悪意を秘めたミステリの世界なのだけれど、ミステリを拗らせていてミステリ構造自体の強度はかなり脆弱で、物語の焦点が、どうしてこの刑事は頭が切れるのに犯人が判らず、納得しないのかを明らかにすることであり、犯人が誰なのかといったフーダニット的なものを完全に排斥してあるから奇妙な感触だけが残り続ける。倒叙的に犯人は明確なのに物語構造そのものを叙述トリック的に揺さぶって、その度に着地をズラすことで映画をさりげなく更新し続けていた。そしてその刑事の盲目的な節穴の目を保ち続けるドナルド・サザーランドの魅力に尽きる。
日記の効果的な使い方や画角と配色、室内の構図、人物の配置など画面から滲み出る静かな怖さも秀逸。
雨が降って、シーツに雨水が溜まり妊娠した女性の姿になるとか駆け込んだ警察のドアの硝子戸にへばり付く少女の血の手形とか不吉の孕ませ方が本当に巧くて綺麗で恐ろしい。
人間に膨らみがなくて人間味というものが欠けていて、例えば真空パックみたいに人間の身体から空気を抜いて圧縮していった結果、そこには心臓の形をした悪意だけがくっきりはっきり残ってしまったみたいな感覚です。

この世界にはフレームの外部というものが全く存在しない。
t

tの感想・評価

4.5
豪雨の夜の殺人→ガラス扉に残る血の手形から最高。ドナルド・サザーランドの捜査(カップアイスを食しつつ尋問、牛をバックに尋問◎)より優先される近親恋愛。ロリコンおじさん×2、少女M、ジャム落下、アル中オードラン、秘密の日記、殺人シーンの「遅さ」…シャブロル自身気に入ってるらしい大満足の一本。
muscle

muscleの感想・評価

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すべてが徒労にキスなのかと思いきや突如『いとこ同士』がはじまる最高のラスト。『サイコ』的なナイフの連打が少女の皮膚を切るわけではなく血糊を撫で付けられていくように身体をナイフの鏡面が反射していくからエロい。落下するジャム、立ち上がる女の子、上昇するカメラ、『刑事ベラミー』や『主婦マリー』のあれこれの断片が。でもちょっと原っぱのど真ん中で日記文章朗読して追い詰めてくのはどうなのよとは思う。あと長い。ダレると思ってか急遽ハリのあるロリコン狂人が投入されてるように見える。

(あとシャブロル34本ってマジかよ。シャブロル全制覇への道のり遠すぎる。ちょっと飽きてきた。)
たかや

たかやの感想・評価

3.0
イマイチ。
血だらけの少女が警察署に駆け込んだ事件をドナルド・サザーランド演じる刑事が調査するお話。

殺された女性の書いていた日記の内容を回想で語るのだが、物語を語られるようで体感時間がめちゃくちゃ長い。何度も止めようかと思った。

良かったのは冒頭の雨に濡れた2人が雨宿りする地下道?に入るとカメラがクレーンで地上に出て雨を映すカット。
あとは警察署に逃げ込む少女に付いた血が警察署の入り口のドアに付くショットは素晴らしい。
csm

csmの感想・評価

5.0
ひとりで2時間ボーリングしてたと言い張るプレザンスさんのお相手の少女が可愛すぎてイヤだ、Mの帽子にえんじのスウェット。ちょっと高田みづえのようなリサラングロワさんの日記とピルと聖書。発見された日記を読むためにわざわざ着替えて起きてきて夫の背後から覗いてるのがミシュリーヌランクト監督なのか、最高。
冒頭から犯人が見切れている殺人からはじまるシャブロル得意のパタン。血だらけの両手。上司のデヴィッド・ヘミングスの若い子ずきもあれだけど、前科者だからまず疑われたドナルド・プレザンスのアリバイが最高。それきり出てこないプレザンス👍キャレラ役のドナルド・サザーランドが未成年の行き当たりばったりの嘘に振り回されているのが良い。横顔のシルエット。少年少女たちの母親オードランはアル中に。家族の食卓を囲む場面、雨宿りの殺人シーンも気持ち悪いし「借りを返せよ」とひざまづかせてフェラチオの強要。そしてやっぱしラストはドライブ。
AS

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4.0
どうせ来月のシャブロル特集に行けそうもないので自宅でのんびり未鑑賞作品を。
またの邦題を『血塗られた構図』。
オーソドックスな刑事ドラマが縦軸かと思いきや、早々にそこから逸脱し、被害者の内面にフォーカスしていくことで内側から事件全容を炙り出すアプローチ。
ロリ、インセスト要素がシャブロルと相性抜群。陰鬱な少女版『いとこ同士』。オエッ
見直して気が付いたけど、13歳の女の子と付き合っている気持ちの悪いオッサンはおそらくドナルド・プレザンス。若い女に振り回される『袋小路』(の役柄)への目配せなのかな。終盤のヌルイめった刺しは『サイコ』っぽい、だからといってヒッチコックらしさはゼロ、どちらかといえば近親相姦的な配置などからデ・パルマのハッタリに近い。事件(物語)の解決が車内ってのはシャブロル映画で何度か見たような気がする。
のうこ

のうこの感想・評価

3.3
雨の中濡れた路面の上を走る女の横移動から始まり傑作の予感。ドナルドサザーランドが殺人事件を捜査していくが、やっぱりいつものシャブロルお得意の近親相姦ものへとお話が収斂していく。歪んだ家族関係のお話。家族みんなが集まった食卓をカメラがトラックダウンしていくショットの不気味さがやばい。ドナルドサザーランドの倒錯も垣間見せるなど中々。画の技巧的な面は少し物足りないが。
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