西北西の作品情報・感想・評価 - 2ページ目

西北西2015年製作の映画)

West North West

上映日:2018年09月15日

製作国:

上映時間:102分

あらすじ

「西北西」に投稿された感想・評価

背骨

背骨の感想・評価

4.1

進むべき方向が自分でもわからないケイ。
確固たる自分像に縛られるナイマ。
常に相手に求めすぎてしまうアイ。

この世界に居心地の悪さを感じている3人が自分の生き方を求め彷徨い、もがく姿。

国籍・ジェンダー・宗教…自分らしくあろうとするほど世の中との軋轢が生まれ、愛しているからこそ相手に求めすぎてしまい嫌がられ、自分でもどうしたらいいのかわからなくなって好きな人を傷つけてしまう。

彼女たちの危うげに揺れる姿、そして自分を貫き通す姿こそ純粋さそのものだ。‬

しかし、この世界は時に純粋さを求めない。明確なルールなく自分らしくある事と相手を尊重する事を同時に求められる。

磁場が狂ったあの部屋はわれわれが生きているこの世界そのもの。
ここでは常にその時々に応じた向かうべき方向を自分で見つけ出さなければならない。
…そこに絶対正しいと言える答えがなかったとしても。

‪日本一ライダーズジャケットが似合うイケメン韓英恵。尖っていながらも儚くて美しい…惚れた。
いち麦

いち麦の感想・評価

3.0
ゲイとしての生き辛さと、異文化の中で暮らす生き辛さの共鳴か…ユニークな視点持つ女性達のドラマ。薄暗がりの中で捉えられたケイの表情や声からは気持ちが読み難く想像するしかない。暗喩的なインコは始終元気なく気になった。
yuca

yucaの感想・評価

4.0
強い信念を持っている人でも自分が分からなくなったり、揺るぎないなにかを求めることもある。でもそれの何が悪い?
コンパスが方角を正確に示せなくても、正しいそれを教えてくれる人がいればいいし、信じられるものがあれば善い、正解なんてないって気がつく。
映画を見てから ここまで長い余韻が続いたのは初めてかもしれない。
1日経った今でも、ふと気づくと映画の中に引き戻される。
描写ひとつ1つが、フィクションであるはずなのに嘘がなくて、
なぜか劣等感を感じた。どこか心が痛かった。私自身が周りの人や目の前の自分の道と正直に向き合えてないからかもしれない。

いつまでもこの映画の空気の中にいたい、終わってほしくないと思った。

この感情を色褪せないように残しておきたくてずっと考えてたけど、結局無理だ。

身体中を渦巻く感情を言葉で表そうとした瞬間に、急にそれらが偽りのように見えはじめて、悲しくなるときがある。

言葉は他者に伝えるためにあると思っていたけれど、実は 1番近い存在である自分を正当化させるためにあるのかもしれない。

でも、自分 は1番近くて実は掴めないほどに遠い。
今の私は特に自分がわからない。
実体のない他者 あくまで他者なのかもしれない。

じゃあ 自分 って何なんだ?
きっと一生涯考え続ける
そうはっきりと痛感させられた
西北西というタイトルが作品と合っていてとても美しい。
相互理解や尊重というのがどれだけ難しいか、現実的に描きつつ一筋の希望を残す。

メンヘラ女の描き方が、私の想像するメンヘラ女とほぼ一致していて驚いた。
しかし後半のモデルシーンは垢抜けててびっくりした。
「寝ても醒めても」で愛ってイミフだなと思った私ですら、愛って良いなぁと久々に思った映画だった。
もしかして私がメンヘラだからなのか?おわり
磁場が狂う部屋に住むケイは、ぐるぐる回る磁石のようにいつも心が揺れ方向を決められない、、愛においても生き方においても、、。

一方、磁場が狂う部屋にいても西北西を探して祈りを捧げるナイマ。そこには信じるものがあるから、、。彼女の真っ直ぐな眼差しは力強い。それでも彼女も遠く故郷(イラン)を離れ一人日本で暮らし孤独はあり揺らぎはある。

そんな二人と、ケイの恋人アイ。性別や宗教や人種などの線引きに惑わさる3人の女性の愛の彷徨いに見入ってしまった。LGBT感はあまり強くなく、彼女たちの、触れ合ってもなお孤独な魂に息苦しくなった。少しザラっとした映像もマッチしていた。

韓英恵。いつも印象深い方だけど、この映画での彼女は特に魅力的。

サヘル・ローズ。イラン出身の方と思うけど、やはり中東の女性は美しく眼差しの力強さに魅せられます。彼女の困惑顔もいい。

アップが多くセリフが少ないこの作品では、彼女たちの表情や眼差しが物を言うのですが、三人とも見事に応えていたと思う。

少し気になったのは、アイの母親のいかにもな反応と分かりやすいセリフ。それがなくともケイの揺らぎは十分伝わってきたので、この映画の雰囲気にはそぐわないと思いました。それでも、とても素敵な映画でした。


上映後に監督と小川あんさん(この映画には出ていない)のトークがありました。観客少なくて申し訳ない^^;
中村拓郎監督は俳優出身だそうで、俳優の井浦新にちょい似でイケメンでした。自らの体験からこの映画を作ったそうです。
小川あんさんは、濱口監督の「天国はまだ遠い」に出ていた女優さんで、その映画のエピソードとして、「演じたというより濱口監督と話しをしただけという感じだった、、」というのは興味深かったです。
kyoko

kyokoの感想・評価

3.7
ケイは韓英恵さんのイメージそのもの。強いけれど弱い。
サヘルさん演じるナイマは美しくてかわいらしい、けれど強い。
彼女が祈祷する姿に涙が出そうになるのは、ナイマではなくサヘルさんに対して、のような気がする。

クラブでふたりが踊るシーンがかわいくてかわいくて。
ここでもなんだか泣きそうになってしまった。

狂った磁場で向かうべきところを見失ってしまったふたりに対して、アイだけが迷いがない(ように見える)。でもそのまっすぐさが強烈で息ができない。彼女がいるとなんだか逃げたいような気分になった。

マイノリティーに宗教を絡めてしまうと、予想外の展開は望めるはずもなく。
なるようにしかならない結末に少し物足りなさもあるけれど、傲慢さと愚かさの中に描かれた愛が痛々しくもしっとりと美しかった。
菩薩

菩薩の感想・評価

3.3
人に踏まれながら生きていくのが嫌なのです、それ以上に人を踏みながら生きていくのが嫌なのです、けれども一人で生きていくのはとても辛いし寂しいのです、それならば人に踏まれながらでも生きていく覚悟を持たねばいけないのですが、そんな覚悟も持てずにいるのです。

その部屋の磁場は狂っている、だから祈りを捧げるべき方角も分からずにいる。己の中に確固たる「信じるべき」物が見つけられない、正しい方角には神がおり、大海原に投げ出されようと、空が晴れていれば光り輝く星が進むべき方角を示してくれるのだろうが、私が見上げる空はいつも曇っている。人はどうして互いに潰しあわねばいけないのか、互いに追い続けなければいけないのか、視線を交わし、歩調を合わせ、進むべき正しい方角に進んで行けないのだろうか、人と人とは、永遠に分かり合えないのだろうか。自分と他者の間に存在する壁、それは己を守る為の防護壁の役割も果たしながら、他者への到達を阻む障壁にもなる。宗教・人種・性別・文化・性的指向・言語・価値観、自分と他人は違う人間だからこそ、その壁を越えようと、貴方を知ろうと言う思いが友情や恋や愛情に変わって行くのだろうが、そこに生まれる摩擦にどうしても耐えられず、私はきっとまた誰かを傷つけてしまう。だとすれば、やはり自分は自分の壁の中で、膝を抱えてじっと耐えていくしか無いのか、生きていくのは、そんな葛藤といつまでも闘い続ける事なのだと思う。世界は今日も一つしか無いが、世界は今日も一つにはなれない、ここでは当たり前に多数派でいられても、一歩進んだ先では少数派に追いやられてしまう。排除されていく悲しみ、理解される喜び、進んでは転び、転んでは進み、人は皆、自分がいるべき場所へと還っていく。私にとっての西北西とは、貴方にとっての西北西とは、自分が自分を生きていく為に、今日も正しい方角を探し続けている。

ここはとっても寒いのです、とても息がつまるのです。
いお

いおの感想・評価

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彼女たちの圧倒的な孤独感。
偏見と相互理解と性愛、体温。

好きな映画。上質な空間。
ハコも良かった。
イメージフォーラム素敵。
櫻

櫻の感想・評価

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その心がどこにあるのか、何を考えているのか分からないから、目線の先を追っている。同じ部屋にいるのに、あなたのことがわからない。祈るべき方向を見失ってしまったから、孤独の皮膜を何層にも重ねて分厚くしてしまう。性別も、性的指向も、職業も、宗教も、それらがあなたを形づくっているものであっても、あなたのことを本当に理解するための要素には足りない。美味しいと言った時の表情や口調、さっきまで寝ていた布団のシーツのしわと温度、去っていった時の風や匂い、その眼がどこを向いているのか...そんなあなたの些細なことをひとつも溢すことなく拾い上げて、言葉にすることはできない。分からなくてごめんね。あなたと私はこんなに違うんだと突きつけられて苦しくなるから、離れていきたくなってしまう。

ゆらゆらといつも不安定で、ひとつも同じところなんて無い。だけど、手を合わせればちゃんとあたたかい。分からなくて何度も不安になるけれど、いつか男とか女とか関係なくなるくらい愛し合える日がくるといいよね。