最後の家族の作品情報・感想・評価(ネタバレなし)

最後の家族2016年製作の映画)

OSTATNIA RODZINA/The Last Family

製作国:

上映時間:123分

4.0

「最後の家族」に投稿された感想・評価

Hayaki

Hayakiの感想・評価

4.0
キッチンを破壊した後の家族の会話
ベクシンスキーの作品がダークで凄く良い
トマシュの気持ちが痛いほど分かる
シーンがいくつもあった
かなり良い。そう何度も見返したくなる作品ではないが、きっと胸の内で何度も思い返す。

エキセントリックというか精神異常の息子トマシュだが映画や音楽、ラジオに向き合っている瞬間の心底燃え上がる様に彼を愛おしく思わずにはいられない。

あの絵を描く彼の裏にはこんな悲劇があった=確かに辛い人生だけどおかげであの芸術が生まれた みたいな語り口でないのが良かった。
普通にひとりの人間、ある家族のただの物語である。

母の死を妻に告げ、妻の死を息子に告げ、息子の死を告げる相手は居らず一人老いていくのみ。生前妻がベクシンスキに洗濯の仕方を教える場面がつらかった。


映画で見ても、ネットで情報を確認しても、なぜかあの酷い人生の終わり方の印象が薄い。思い返してやっと思い出す。というのもトマシュの死で鈍痛がピークに達してしまって以降が生温い灰色といった感じ。
Solaris8

Solaris8の感想・評価

4.2
12/2 ポーランド映画祭でフィクション映画「最後の家族」を観た後に、ドキュメンタリー作品「ベクシンスキー家の人々」を観てきた。

映画は画家である主人公が、ポーランド南東部の田舎町のサノクから、無機質なワルシャワの鉄筋コンクリートの集合団地に引っ越しした時期から始まる。ワルシャワはショパンが生まれた美しい街だが、雨が降る共産主義時代のような冷たい街として描かれている。

主人公はアパートで絵を描き、最愛の妻は、寝たきりの義母や母を献身的に介護する。息子は別のアパートに暮らすが、鬱病で切れやすく自殺願望を持っていて、自立出来ない。その家族の結末を淡々と描く。

ベクシンスキーは少年時代にナチスドイツのポーランド侵攻を経験したそうで、絵画作品は退廃的で「終焉の画家」と呼ばれるが、温和で家庭的な人だった。趣味はビデオカメラで撮影するのが好きな人で、家族で写した動画が多く残っている。

主人公の幼少時代は、息子と同じく鬱病だったそうで、主人公と妻は、自立出来ない息子に理解を示しながら、辛抱強く、面倒を見ようとしている。

映画の中で、息子や妻との関係を中心にコミカルに家族関係を描いているが、歳を重ねるに従って、家族の一人一人が順送りで欠けていく。

ベクシンスキーの家族の義母、母が亡くなり、最愛の妻を亡くし、1999年のクリスマスイブに鬱病の息子が自殺する。家族を一人ずつ見送る毎に鉛色のワルシャワの墓地の回想シーンが描かれるが、あるがままに見送る主人公が不憫だった。

息子が自殺しようとした頃の2000年をミレニアムと呼んだが鏡に写った物言わぬベクシンスキーが、世紀末思想を受け入れていたように思ってしまう。

最期は、映画「愚行録」の様な衝撃の滅多刺しのシーンで映画は終わってしまう。真実は小説よりも奇なりと云うが、ベクシンスキーの人生ほど映画らしい映画はないように思えた。
家族の死を重く捉えていないのが新鮮でよかった。
「飯できたぞー」ぐらいのテンションで「母さんが死んだぞー」って言ってたのが印象的。ヤバすぎだろ 笑

生きてる意味について息子と母親が話してるところもめちゃくちゃ良かった。

@ポーランド映画祭
ポーランド映画祭@広島市映像文化ライブラリー

終焉の画家ベクシンスキーとその家族の物語。(1975年~2005年頃のポーランドでの話)

この人物について何も知らずに観たので、ラストとか「納得いかねぇ~」って感じだったんですけど、ほとんど実話なんですってね。これが伝記映画だったってこと、帰ってから気付きました。

あとあの鬱病の一人息子役を演じてた俳優、「イーダ」「幸せのありか」のダヴィド・オグロドニクだったなんて!おととしのオレ旬主演男優賞に選ばせてもらった俳優なのに、それにも気が付かなかった。一体何を観てきたんだ俺は…
ポーランド映画祭にて

上映前にポーランドやベクシンスキについてある程度の紹介があったので難はなく観れた。それがないと理解が難しいかも。

生活風景が淡々と描かれているため妙にリアリティがあり、1人ずつ家族が減っていく切なさに迫られた。
ただ、その描写があまりに淡々としすぎていてこういった映画に不慣れな僕には少々キツかった。
有酸素

有酸素の感想・評価

3.7
「終焉の画家」ズジスワフ・ベクシンスキー。画家としてより家族の一員としての彼とその家族の当たり前の日常が少しずつ消えゆく物悲しさ。移りゆく時代が進化する電子機器で表される。ポーランド映画祭2016
いち麦

いち麦の感想・評価

4.0
ポーランド映画祭2016にて鑑賞。
個性的な作風の画家一家の実話ベース。集合団地の別室に離れて暮らす息子。殆どが圧迫感すら感じさせる閉鎖的な室内シーン。家族の関係を録画し続ける奇妙な姿。家族が徐々に“衰弱”していく様が痛々しい。
D.オグロドニクが、自閉的で精神を病んだ難しい役処のトマシュを不思議な愛おしさまで誘う味のあるキャラクターとして魅せる…素晴らしい演技に拍手。
moku

mokuの感想・評価

4.5
強烈だった…。
ああいう環境で描いてたのか…ベクシンスキー。
いくつか身につまされる事もあってかなりキツさもあったけど、面白さが勝りましたね。
時間をおいて また観たいなぁ。

どうでもいい事だけど、ベクシンスキーと息子、お皿を舐めるのな。ホントにやってたんだろーか?

(ポーランド映画祭)
「会ったばかりのアリシア・シルヴァーストーンに腹を蹴られまくりたい…」という理想の最期を嬉しそうに語る好々爺(=ベクシンスキー)。そんなオープニングから鷲掴みされた傑作でした。

鬱病に苦しむ息子の話は最近観たケン・ローチの『家庭生活』を思い出した。
ロック音楽評論家である息子が「家族の死」を、ジェネシス(バンド)のメンバー脱退劇になぞらえて、(家族からの)「脱退」と表現していたのは面白かった。

自殺を試みた息子を発見して病院に運び込んだベクシンスキーが担当医に「自殺は勇気ある行為。息子は生きていても辛いだけなんで出来ることなら…(このまま死なせてやって)」と言うと、「じゃあ何で病院に運んだんだ?」と返され、それに対して「警察に運ぶよりマシだから」と答えたのはケッサク。
史実ではないとしても独自のユーモアと反権力具合が伝わる好エピソード。
自殺した息子の遺体を発見しての第一声が「おめでとう」とは…苦笑いしかないですね。

余命1年と宣告された妻がベクシンスキーに洗濯機の使い方を教えながら、私が入るお墓(=ベクシンスキー家の墓)には今誰が入っているの?とかを日常会話のように訊くシーンに涙。洗濯機の使い方の説明に飽きてしまって洗剤を舐めたりしているベクシンスキー最高。

(映画の)最初からカメラを撮りまくるベクシンスキー。ビデオの時代になるとビデオカメラで家族はもちろん鏡を使った自撮りも。
家族の遺体を発見するとまずは冷静にビデオテーピング……普通のようで普通じゃない家族関係。一度観ただけではとてもじゃないけど消化しきれない。
基本、ベクシンスキーが常にニコニコでユーモアを忘れない小市民として描かれていて◎。晩年はおじいちゃん好きが好みそうなおじいちゃんに。

ラストがちょっと分からなかったけど、ベクシンスキーについてちょっとググって史実を知るとすぐに納得。映画が良ければ、そういうことも有りだと思うし、もっとベクシンスキーのことが知りたくなった。

ここ数年、伝記モノ映画が多過ぎてウンザリな中、これはぶっちぎりで良かったです!

あと息子役の俳優が2015年マイベスト『幸せのありか』に主演(マテウシュ役)のダビド・オグロドニクと知って驚き。違い過ぎてて分からなかった…。そういえば『11ミニッツ』のバイク便の人も彼だった。彼の出演作は当たりばかりなのかも?
あ…『イーダ』での流れ者のサックス奏者役もあったか…。
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