ニクガタナ

さらば愛しきアウトローのニクガタナのレビュー・感想・評価

さらば愛しきアウトロー(2018年製作の映画)
3.6
明日に向かって撃ちません。
それまでだって撃ってません。
80年代初頭のアメリカが舞台。16回脱獄して90回銀行強盗を繰り返した実在の懲りない男フォレスト・タッカーの華麗なる犯罪劇。誰も死なない、傷付けない。こんなに穏やかな気持ちで観れる犯罪劇はなかなか無い。軽妙な音楽、洒脱なタイトルワーク。80年代頭の雰囲気再現が見事。「ア・ゴースト・ストーリー」がなかなか良かったデヴィッド・ロウリー監督の演出はほんのり温かい感じ。実録トンデモ犯罪者老人伝としてはイーストウッドの「運び屋」の方に軍配を上げる。本作を引退作に選んで自らプロデュースした、ロバート・レッドフォードの哀愁漂う佇まいや良し。老け具合がちょっと痛々しいが、有終の美を飾るその笑顔に惚れちゃう。フォレストと恋に落ちる女性農場主役のシシー・スペイセクがチャーミング。フォレスト逮捕に執着し、惹かれていく末端の刑事役のケイシー・アフレックの冴えない感じが上手い。
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