勝手にふるえてろの作品情報・感想・評価 - 416ページ目

勝手にふるえてろ2017年製作の映画)

上映日:2017年12月23日

製作国:

上映時間:117分

3.9

あらすじ

「勝手にふるえてろ」に投稿された感想・評価

kyon

kyonの感想・評価

4.5
”こじらせ系女子”、「普通」という尺度からの脱却。

ヨシカはとある会社の経理課で働く24歳、女性。絶滅生物に興味があって、男性経験は片思いのみ。中学の同級生のイチに10年以上片思いしつづける最中、会社の営業の二に告白される。理想(の好きな人)と現実(で自分を好きだと言う人)で揺れ動くヨシカの物語。


恋愛に限らず、理想と現実の問題は常にあらゆる場面で現れるけど、何かなくとも自分の心の拠り所としての偶像や憧れの存在やモノがあったことを思い出す。

いつからか頭の中の理想と現実と折り合いをつけるようになるけれどヨシカは物語の中でそのイニシエーションみたいな状況に直面する。


自分にはじめて告白してくれたのは”憧れのあの人”ではなく、全くタイプではない、キリシマくん。
全然「普通」に考えてどこか頼りないし、思い出の中のイチと比べたら物足りない。
イチになぞってニと名付ける始末。キリシマくん登場してからしばらくは画面越しのタイプじゃないしなぁ感が溢れてる笑

そしてひょんなことから現在のイチと再会を目論んで実行しても、彼の中での自分の存在を知ってもがきだす。

この作品を観ている中で、ふつふつと感じるのは、ヨシカがこじれてるなら、こじれるというのは理想と現実の狭間で揺れ、戸惑い、もがいた先に、自分を「普通」の尺度から外すことなんじゃないかな。

ヨシカが冒頭から自分に謙遜しているのは、自分が物語世界の主役ではないと昔から気付いていて、自分をまるで「普通のOL・A」みたいに捉えているからだと思う。

そうして彼女が自由になれるのは自分の精神世界やイチの召喚の中で、そこはヨシカが唯一主役になれる場。

現実世界の自分の立ち位置を捉えつつ、頭の中の理想の世界にいる理想的な自分の在り方、2つの世界を区別しているのは「普通」の尺度。

普通に考えたらヨシカは地味なOLの1人、普通に考えてニってありなの?普通に考えて男性経験なしってないよな、普通だったら人間関係の距離感はこうできるはずなのに、普通に考えてイチは人気者でみんなに愛されてるーーヨシカの背後にはそんな誰も見えもしない普通の尺度がある気がして。


そんな普通の尺度からヨシカが脱却したのはやっぱりクルミの件からなのかな。もともと1人の場では自由に過ごしてるヨシカだったけど、ニとの恋愛を通じて、他者と繋がる瞬間を感じて、ニに自分を曝け出すラストにかけて、ヨシカはこの普通の尺度から脱却したんじゃないかな。


そしてこの脱却は解放ではなく、ヨシカは多分大きく変わることはないけど、自分を肯定することは出来たんじゃないかなと思う。

ヨシカの脱却までの道筋を丁寧な感情の揺らぎとともに、孤独は孤独なりに、距離感ベタは距離感ベタなりに、なんとか自分と向き合い、自分を癒そうとするヨシカの世界に私は自分を重ね合わせる瞬間がいくつもあって、”リアル”だった。

そして渡辺大知や片桐はいり、北村匠海、石橋杏奈、樹里といったキャストと共にもがく人間の滑稽さ、ユーモアにところどころ笑わされる。

ちょっと演劇っぽい演出もあったり、くだびれたモカシンからイチに向かって綺麗なパンプスを履いていくその仕草やささいな行動にヨシカの感情が乗せられていて良かった。

やっぱり松岡茉優が好演。
苦しみ、悩み、泣き、怒り、喜び、笑い、キスをするところまで、繊細なヨシカの姿がこびりつく。孤独に押し潰されそうなヨシカがニに対してラストに「なんで…?(こんな私のことが好きなの)」と聞く瞬間がたまらない…!

このヨシカに自分を映した女性や男性は少なくないはず。

大きな展開はないけど、
ヨシカの中では大きな展開で、
そうして普通の女性の1人として描かれるヨシカを通して改めて、
”普通”というものはないんだなと私も脱却したのでした。
westtribe

westtribeの感想・評価

4.1
原作未読。たいそう楽しませていただきました。全編、松岡茉優祭り。一人称視点なので出ずっぱりの快演怪演。
初主演作品ですが、立派な代表作でしょう、これは。
TakuMori

TakuMoriの感想・評価

4.9
松岡茉優初主演作。
学生時代から10年片想いしている妄想の中の彼氏・イチと、告白してきた会社の同期・ニの間で揺れるOLのヨシカが主人公のラブコメディ。
周りの評判がすごく良くずっと観たいと思ってたのが、やっと観れた!
そして、良過ぎた!!
めちゃくちゃ面白かった!!!
ラブコメというジャンルでは、人生ベスト級かも!

ヨシカに共感出来れば出来るほどこの作品は楽しめるし大好きになると思う。
自分は男だし正直あまり共感出来なかったんだけど、それでもこれだけ楽しめてしまったので作品として相当出来が良かったんだなと。

特に、やっぱり中盤のどんでん返し的展開が良かった。
そこまでもかなり楽しく観てたけど、その転換点から一気に引き込まれてもう前のめりになって。
そこでヨシカと一緒に自分も苦しんでしまったから、ラストの2人のシーンは泣かされた。。
そして黒猫チェルシーのぴったりな明るいテーマで終わるエンディングまでも最高で、観終わったあとの気分がとても幸せで、もうすぐにでもまた観たくなるほどでした。


この映画で一番良かったのはやっぱりキャラクターだと思う。
絶対に松岡茉優を好きになってしまう映画。
共感できなくても、ヨシカというキャラクターが愛おしくて好きになってどうしても感情移入してしまう。
演出や構成も良くて、コメディとしてちゃんと笑わせられるし、だけどコメディというだけでは片付けられない重さやテーマ性もあって。

もしかしたら人は片想いして色々な想像をしている時が一番幸せかもしれない。
付き合うとはその人と向き合い始めることでその分苦しみもあるけど、向き合った先でしか見つけられないものもあるんだろう。

好きな人と一緒に見たくなる・感想を語りたくなるものがラブコメとしての正解だと個人的に思っているので、それで言えばこの映画はもう大傑作でした!
ryoya

ryoyaの感想・評価

5.0
久し振りに映画を見て衝撃を受けた
直後の感想としては満点

前半はひたすらニヤニヤしながらコメディを楽しむ感じだったけど、後半は見ていて胸をえぐられる様な感覚、いつかの自分を重ねる部分もあった

松岡茉優はくそ可愛い
クアラ

クアラの感想・評価

3.8
『勝手にふるえてろ』を観てきました。

年齢=彼氏いない歴な妄想女子【ヨシカ】が脳内恋愛とリアルな恋愛に揺れるラブコメディ映画。

松岡茉優の演技力と表現力に全てを注いだかの様なオールインワンな展開が面白い。そして松岡茉優が超超超可愛い‼︎

独特な映像表現だったり、二転三転するサスペンス感のある展開も面白かったです。
sci

sciの感想・評価

4.5
待ちに待ってました。
共感しまくりのあらすじ。主人公のヨシカを演じる松岡茉優が、こじれねじれた心の中をこんなにもさらりと、こんなにもしつこく演じられるなんて。無表情が深淵を感じさせてどアップの場面も飽きずにドキドキ。綿矢りさの小説ということで言葉遣いも独特なのだけど、そこもきちんと表現していて個人的に主演女優賞をあげたい!

中学時代から10年間片思いの一。謎めいたこんな男に女は惚れるのさ。良い思い出もあることで都合よく片思いを熟成させちゃっているヨシカが無敵。ヨレヨレのコーデュロイのワイドパンツ(なぜ2日続けて同じ格好?)、履き古した靴。いかにもヨシカ、いかにも自分。

「一目でいいから、今のイチに会って前のめりに死んでいこうと思ったんです」が思わぬことになり、想いが外に向かって攻撃をはじめてしまうところは「ヨシカ、それはダメだ!こっちの世界に戻ってこい!」と心の声を大にしていました。

渡辺大知さんの二がまたよい。冒頭の「鉛筆折れちゃいました」とかネクタイがヨシカの顔に二度もかぶさるシーンでその存在が見事に描かれている。ただの頭からっぽのうざったい奴かと思いきや「リアル召喚」された時の二人の会話。ちゃんと分かってるじゃんお前~、と感涙しながらそのやり取りっぷりに爆笑していました。
二人のやりとりの間がいちいちう上手い。

自分に当てはめて思いを寄せられる。こんな映画もよいんだよなぁ。
渡辺大知くんのイメージが色即ぜねれいしょんで止まっていたので「ん?このおっさん顔はだれ?」と思ってしまった。(失礼)

主人公の妄想の世界で生きてるところが痛くて共感出来た。

このレビューはネタバレを含みます

良い映画でしたー!
色々詰まってるのに、凄く綺麗にまとまってる印象。で、その分、自分の感想が上手くまとまらないので箇条書き笑

・松岡茉優さんの表情の豊かさ。喜怒哀楽どれも魅力的で引き付けられる。特に好きなのは『絶滅~』時の能面のような無表情と産休届け時の鬼気迫る表情。この演技を観るだけでも繰り返し映画を観たいと思える。

・主人公の服が良いですね。特に仕事とプライベートの切り分けが分かりやすかった。あと、捻挫→勝負の靴を履くシーンは美しい。

・『絶滅~』からの動物園という振り切り方が極端で気持ちいい。頑張ってんだなーって共感した。

背骨としての成長物語がシンプルだからこそ、見所満載でも食傷気味にならず、観賞後もスッキリって感じなのかな?と思いました。もう3回くらい観たい!
100点満点だけど遠くにいる人と80点でもそばにいてくれる人とでは、80点の人を選ぶ方が幸福度が高い話。
邦画史に残る傑作中の傑作。。。ではないとは思う。思うが、ハマった人にとっては一生愛すべき作品にはなるはず。
少なくとも私はそう。
私は男だが、観ている間中「ああ、これは俺だ」と松岡茉優さんを観ながら思っていた。
彼女が苦しんでいる場面では、映画館から今すぐ逃げ出したくなるくらい同じように辛かった。

もっとも、そのような共感性ばかり求めるような狭い映画ではなく、松岡茉優という稀代の女優を目的に観るだけでも絶対に楽しめるはず。
バラエティだけで彼女のことを判断されている方は、どうかこの映画を観て欲しい。