蜂の巣の子供たちの作品情報・感想・評価

蜂の巣の子供たち1948年製作の映画)

製作国:

上映時間:86分

4.2

「蜂の巣の子供たち」に投稿された感想・評価

Hero

Heroの感想・評価

4.6
「この子たちに心当たりはありませんか?」

鮮度も深度も桁違いな昭和22年、戦争の爪痕著しい敗戦国日本でその日その日を生きる戦争孤児たちと彼らが慕う復員兵との下関から大阪までのロードムービー。市場で買った食物を闇市で転売、塩田の耕作、木工資材の運搬、大人に混じって労働し食事と金銭を手に入れる。同情するなら金をくれと言わんばかりのその逞しさというか逞しくならざるを得なかった背景がちらついて苦しくなる。でも決して悲観的に彼らの旅路を切り取るのではなく、優しく見守る親の愛が至るところに見て取れる。それもそのはず、監督は実際にこの孤児たちを引き取り各々が持つ悲しい過去を映画という芸術に昇華した、持ちつ持たれつの関係ではあるのだが、彼らの親代わりとしてそして映画監督として行動を起こしたその生き様はかっこよすぎる。痛々しい戦後の原風景をバックにしたロングショットの哀しさ、イマヘイのパルムドール受賞作を彷彿させる山登りのシークエンスの力強さ、ちらっと顔を見せる圧巻のショットの数々には度肝を抜かれる。でもやっぱり抑えても抑えても隠しきれない零れ落ちる悲しみが涙を誘う。この映画はロッセリーニ、デシーカに並ぶネオリアリズモの傑作に位置づけていいと思う。

「彼らに金や食べ物をやるのは簡単だ、大切なのはいかに愛情を持って接するかだ」

《鉄道のある風景》

悪さをしながら暮らしていたみなしご達が下関で優しい復員兵と出会って、
まっとうな仕事を探しながら放浪するロードムービー。

有名なエピソードですが、8人の子供達は本当に清水監督が引き取って育てている戦争孤児で、タイトル前の字幕が親を探す呼びかけになっています。

年のせいか小さい子供、元気、笑い声
それだけで涙が滝のように流れた。
セリフが棒なのもかわいい。
タバコとのお別れには笑った。

映像もすごく良い。
roland

rolandの感想・評価

-
「ありがとう」の映画や「がんばれ」の映画があり、これは「さようなら」の映画。
中庭

中庭の感想・評価

4.5
軽トラの荷台に復員兵と子供たちが乗り込んでいるショットで、車が道を曲がった直後、後景に海が広がり、順光が当たるようになって一人ひとりの顔が光り輝く。この光の移ろいはとにかく素晴らしかった。
作品を貫くショットの特徴としては、画面の前後に伸びる一本の道路を手前に向かって歩く登場人物たちの動きを、正面からゆっくりととらえるものが多く見受けられる(カメラは後退しながら)。例えば、片足の「おじき」に追われ、真っ黒で巨大な機関車がその姿を覆い隠し、進行を阻む瞬間。車輪の下からは地に着いた片足だけが写り込んでいた。また、今しがた別れた姉の面影を探し瓦礫を駆け回る少年とそれを追う仲間たちの一連のモンタージュや、校庭の砂で即席の青空教室を始めるシーン、全ての子供たちの身体的な躍動の撮り方。感動的な映像の数々に圧倒される。
特筆すべきは、虫の息の少年を背負い山を越えようとする一人の少年を壮大なロングショットで慎重に狙うカメラの視線であろう。最も優しく、少年に向けられた愛おしいまなざし。
pozanne

pozanneの感想・評価

3.0
とある資料館でひとりで観たことのほうが記憶に残っている映画。

このレビューはネタバレを含みます

デ・シーカの「靴みがき」やロッセリーニの「無防備都市」「ドイツ零年」などとの作られた時代背景が重なることも興味深い。この作品の少年たちよりは年はさらに上なのだが、ウィリアム・ウェルマンの「家なき少年群」のことも見ていて思い出す。義坊が山へおぶわれて登っていくが、海を見る前に息絶えてしまうシーンは凄いな。今の時代ならもっと凄いアングルから撮影できたりもするんだろうが、この山を登る様子の撮影は技術云々を超えた迫力がある画面になっている。塩田から逃げ出したのを復員兵の島村や子供たちが追いかけていくときの遠景の撮影も素晴らしい。こうした素晴らしい山や海や畑など背景と子供たちの演技が見事にはまっている。素人の子供たちを撮影に使ったのは難しかっただろうが、子供たちが実際に映画の撮影に飽きている様子さえもこの作品では活かしているんじゃないだろうか。野球をしている子供たちを見つけて試合をしようと近づいていくと野球をしている子供たちが一斉に逃げ出していく様子も印象に残っている。復員兵の島村は、みかへりの塔出身者でそこへとラストは戻っていく。おじきまでも子供たちに大歓迎されているラストは希望に溢れているな。
てふ

てふの感想・評価

-
高知あたご劇場 映画で観る日本の復興期特集

監督が引き取り育てていた実際の戦争孤児たちを使い、焼け野原となった街でロケ撮影が行われた映像には、ネオレアリスモにも近いものを感じた。
川野誠

川野誠の感想・評価

5.0
私が見た、おすすめしたい難民映画

太平洋戦争直後の戦災孤児たちをテーマにした映画なんですが、映画の中で戦災孤児を演じているのは、本当に戦災孤児なんです。
なにしろ映画のオープニング・タイトルに、いきなり「この子たちに心当たりはありませんか?」と出るんですから、これを見ただけで昭和23年にタイム・スリップしてしまいます。

子どもたちの演技は(少々ぎこちないけど)喜怒哀楽を自然に表現しています。子タレでもない子たちに、なぜそれが可能だったのか。
「なあに、簡単なことだ。子どもたちといっしょに遊んでやればいいのさ」と清水宏監督は語ったそうです。子どもを撮ることにかけては定評のある人だったとか。

清水監督に期待に応えてか、子どもたちも頑張ってます。「急斜面のガケを全速力でかけおりる」と言う危険きわまりないシーンを、長回しの一発撮りでこなしてるのですから。かの有名な「蒲田行進曲」の「階段落ち」もマッ青です。

ストーリーは敢えて記しません。
本編「蜂の巣の子供たち」は、行き場を無くした復員兵が戦災孤児をつれて放浪する、一種のロード・ムービーです。
続編「その後の蜂の巣の子供たち」は、自分たちの居場所を見つけた子どもたちの後日談です。

「蜂の巣」シリーズは色んなテーマが盛り込まれてるし、また、楽しく見られる娯楽映画でもあるんですが、強いて挙げれば、この映画のテーマは「愛」と言うことになるでしょうか。
それはまず、子どもたちを撮る清水監督のまなざしに愛があふれているし、また、子どもたちを守る復員兵の次のようなセリフにも現れています。

「世間の人たちは戦災孤児にお金や物を与えるまではするけど、あの子たちに本当に必要なのはそういったものじゃない。何と言うかなあ、あの子たちに親身になってやる大人が必要なんですよ。」

実はこの復員兵、「みかへりの塔」と言う養護施設の出身で、そこの教師と保母に見守られて育った。子どもに大人の愛情が必要なことは身をもって知っていたのです。

それでこの子たち、その後どうなったのかと言うと、清水監督に養育されて「ふつうの人」になったとか。ふつうが一番ですよね。

日本にも難民問題はあったんだと言うことが良く分かる映画です。戦争は最大の人権侵害ですな。
戦争孤児を見捨てない清水宏監督の愛情あふれる作品。田園をバックにしたロングショット、風景の中にぽつんと佇む子供がどんな気持ちでこちらを見つめているか、その画の切り取り方、または子供へ寄り添う視点がとてもいい。
アミール・ナデリ監督の「駆ける少年」やアミルホセイン・アスガリ監督の「ボーダレス ぼくの船の国境線」は、この映画の子供たちだと言える。
これを観る前に『みかへりの塔』を観ておくといい。清水宏は映画監督の生き様で世界一かっこいいのでは
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