わさびのネタバレレビュー・内容・結末

「わさび」に投稿されたネタバレ・内容・結末

“早く、戻ってきて”

葵(芳根京子)の心からの精一杯の声
色々な事を含んだ言葉

芳根京子さんの演技がとても良かったです
山葵にコーヒーにビール…辛かったり、苦かったりして、子供の頃は全然美味しくなかった。

なんで『美味しくない』って矛盾を飲み下すのか…辛苦を味わう意味を、少しずつ理解していく。

懊悩があるからこそ…
平静が美しいのだと思える。

煩悶とするからこそ…
静けさに安堵を覚える。

純粋さを失ってこそ、その尊さを知る。

突き刺すような辛みが与える実感。
それはまるで、山葵の味わい。

だから、入れ過ぎると涙が出るのかもね…

嚥下した後に残る清涼感。
ほのかな甘さ。

様々な感情がある中で…
一瞬の鮮烈さの後に続く余韻。


わさびー

外山文治監督、短編三部作のラスト。


叙情という言葉の意味を、存分に味わえる…
とても優しい短編集だったと思います。


深みのある味わいを作り上げていく行程。
この複雑な余韻こそが、人生なのかも…

上昇する速度と緩やかな下降。
誰にとっても等価な…移ろいゆく時の流れ。

生者必滅…
永遠なんて存在しない。

だからこそ、この瞬間を尊ぶ。
catch the momentだね(笑)

リミットがなきゃ、何処までも弛緩しちゃう。
少なくとも、私はそういう怠惰な人間。

この三部作、美しい風景が印象的であるのは…とても優しい意味を持ってるはず。
寛容な心を感じた。

個人的には今作が三作中で一番好き。
他の二作の境地には、まだ早いかも(苦笑)
寿司屋の娘の主人公は、心の病で寿司を握れなくなった父親のために、高校卒業を機に寿司屋を継ぐことを決める。しかし、離婚して再婚したヒロインの母や高校教師は「女の子にはムリ」と消極的な反対意見を出し、またヒロイン自身も先の見えない将来に不安を抱えていた。帰り道、ふと立ち寄ったバッティングセンターで、ヒロインは小学生時代に所属していた少年野球チームの監督と再会する。かつて魔球のようなカーブを投げていた監督に、彼女は1打席のバッティング勝負を挑むのだが…という話。

外山文治監督の短編を集めたDVDの中の一編。病気の父親と二人暮らしで、どこか自分の将来を冷めた目で見ているヒロインの葛藤や不安を、雪のちらつく街並みの中で静かに描いていた。あらすじを読んだだけの先入観だと寿司屋、女子高生、野球とミスマッチな題材なこともあり、とっちらかったストーリーを予想していたが、割とスムーズに各エピソードを30分の短い上映時間内に上手くまとめていた。父親と娘のやりとり自然でしかもお互いへの愛情が何気ない台詞の中に含まれていた。
主演は芳根京子で、本当にどんな役でも達者にこなす印象。最後の「早く帰って来て」と言って泣く演技は、気丈に振る舞いつつも実は弱いヒロインの心情を表していて、こちらももらい泣きしてしまった。

劇中で「アンパンマンて顔全部食べられたらどうなるんだろう?」問いに「愛と勇気だけが残るんじゃねえ?」と答えるのは面白かった。
鮨屋の一人娘。
母は父と別れて再婚した。
父はいつしか心が壊れてしまった。
進学もしない、部活も辞めた、鮨屋を継ぐ、そう決めた。

だけど。

父とカウンターを挟んでの空気感、流した涙の美しさ。

お父さん、頑張ってわたしを育ててくれたんだよね。
こちらは内容云々も勿論でしたが、
それ以上に役者さんの力量に圧倒される作品。

終始台詞の無い1作品目とは変わって、きちんと台詞がありますが
台本に書かれている台詞よりも、台本に直接書かれていないであろう登場人物が「飲み込んだ言葉」の方が実は多かったのでは?と感じます。

今、この人は何かを言おうとした、でも言えなかった。

それを目の動き、唇の震え、瞬きなど細かな表現力で示す。

「伝える」よりも「伝わる」方が難しいと教わった事がありますが、芳根京子ちゃんの演技は間違いなく「伝わる」演技。
本当に凄いです。

あんなに若いのに、まだまだやりたい事は沢山あるのにその気持ちを閉じ込めなきゃいけない主人公。

鬱を患った父親への理解を示してはいるけど、一方で
父親の「何時に帰るんだ?」という質問をはぐらかして道草したり、進路についての担任との面談ではほとんど目を合わせないなど
現実と向き合い切れていない様子も見て取れます。

辛い現実を脈絡無く瞬時に変えてくれる「魔法」を信じていたいけれど、向き合うべき「現実」がすぐそこにある事にも気付いている
子どもと大人の丁度中間の女の子。

魔法のボールを打ったあのシーンは
自ら現実と向き合う選択をした、意志の表れだったんだな…。

そんな娘の成長を父親も間違いなく感じていて、彼もまた未来に進む為に「入院」という選択をしたのだろう、と…。

鬱患者が身の回りの環境を大きく変えるのは物凄く勇気のいるしんどい事だと思います。
入院して病気が良くなるのならすぐに入院していれば良かったのに、恐らく長いことその選択をしていなかった。出来ない理由があった。

でも、最後に入院すると言ったのは娘に励まされたから。娘の為を想ったから。

きっとそれは娘にも伝わっていたのだと思いますが、
最後の最後に溢れた涙が彼女の本当の気持ちで…。
「早く帰ってきてね」子どもの立場の素直な気持ち。

「わさび」は間違いなく、親子の絆を深める人生のアクセントだったんだな…。

とても繊細で胸が痛いけど、物凄く優しい作品でした。



自分が知っているからこそ、理解したくない。言えない言葉がそこにあって、侘び寂びがあるからこそ、ツーンと心に響く。



学生時代の自分を思い出した。

あの頃の自分には、ここまでの希望がなくて、キャッチボールをする相手もいなかった。
明確な自分らしさが有りつつも将来があり、希望がそこにあった。

正直、わさびが心から羨ましく感じたかな。


限りない叫びがそこにあって、僕にも響きました。


響く言葉はそれぞれ違う。


ああ、今日も生きよう。


話して言葉にした瞬間に気付く事ってあるよね。そんな事を気付かしてくれる。


そんな限りない希望を大事にしていきたいな。
外山文治作品集2作目。にて1番のお気に入り。

飛騨古川を訪れる機会があり、ロケ地巡りを事前にしていた作品。

本当に綺麗な街並みと、「ここ行ったことある」という優越感、笑

話のストーリーも物凄く素敵。

両親が離婚し、付いて行った父親も病気になってしまう。
その父親の寿司屋を継ぐかどうかの葛藤。

まだ17歳で将来の事を決めなくてはいけない。

先生にも、親にも「私が店を継ぐ」という意思を伝えていたのに、恩師である監督に問われると少し迷ってしまうところ。

「みんなが上手くいくように自分が我慢する」

そういう人間。

「もう詰んでるんだよ」
家庭の事情で仕事を継がなくてはいけない また 生活保護を受ける事情で大学進学の道が閉ざされている。
そんな状況の中の彼女の一言がすごく響いた。
大人の心配なんて無用、ほっといてよ って感じの。

自分の中で決着を付けるために監督の”魔法のボール”に挑戦する。

芳根京子の演技が別格すぎた。

彼女の演技は本当にリアルで、短編という事もあり、本当に飛騨高山の街に住んでいるんじゃないかと思わせるような存在だった。

お父さんに初めて?自前の寿司を食べてもらった時、感想を求めるシーンは可愛すぎた、明らかわさび多いよね、それ?笑

お父さんも 「ありがとう」と伝えてから「水」と言ったあたり 優しい親子なんだと思った。

わさびばっかりじゃしんどいけど、人生さび抜きじゃあつまらない。
「早く帰ってきてね。」
2回言うんだけど、そこにもメッセージが込められている。

ラストシーンといい、全体的に表情の変化が凄くて30分じゃあ物足りない!

けど

彼女が今後どんな人間になっていくのか。

見せない という方法で客の想像力に任せているのかと思う。

パンフも買ったし長い事余韻に浸ろう。笑

(スクリーン左後ろにいた帽子を深く被ってた人が芳根京子に見えたのは果たして...笑)

本人でした(Twitter情報)
会社を通さず、監督自ら配給・宣伝している「映画監督外山文治短編集」の一作として鑑賞。

素晴らしいロケーションとキャスティング。どの作品も短編らしい小さなテーマを実に巧みに表現していた。

残念なのは、台詞の多さ。語らずとも十分分かる美しさ、上手な役者の些細な演技で、十二分に堪能できる世界観であった。もっともっと、外山ワールドに没頭させて欲しかったな、と思う。

特に最後の涙。彼女の思いは人それぞれの思いを重ねられる余地が欲しかったなー。