ファンさんの作品情報・感想・評価

ファンさん2017年製作の映画)

方繡英/Mrs. Fang

製作国:

上映時間:87分

3.7

あらすじ

「ファンさん」に投稿された感想・評価

アルツハイマーに伏した老婆の無表情のどアップを大人数で静かに見上げて眺める、というなかなかシュールな経験をした。電流イライラ棒みたいな謎の釣り具が気になる。

2017/11/23 フィルメックス
死を間近に控えた老婆を見守る家族。息子や娘らの会話のシーンで、日本の家庭でも同じ様な会話が繰り広げられているなと思った。
先月、東京フィルメックスにて。

かなりウトウトしてしまったので評価はなしで記録のみです…。

ワンビンは知り合いに薦められて初めて見たのですが、う〜むあまりよくわからなかった…。
人が死ぬ前の親戚たちのやり取りと、死にかけのお婆さんの顔をずっと見させられる。
ほとんど動きがない長回しのシーンが多いとついつい寝てしまいます。

夏?(夏以外もかな?)に、中国人がお腹を出してごはんを食べるという習慣は初めて知りました。
みんななかなかファット。

これはワンビン作品の中でもわりとプライベートなところに焦点が合わせられているということだったので、また機会があれば他の作品に挑戦してみたい!
ムチコ

ムチコの感想・評価

3.6
フィルメックスにて。

この家族を撮るのをいつ決めてどうやって探したんだろう、ということばかり考えていた。
川での漁やそこへ向かう後ろ姿は見事だし、死にかけた人をまじまじ見る機会がないのでその意味では興味深いところもあったが、周りで無神経なこと言っちゃう家族とこのアップを見世物みたいに見ている自分はどれほど違うのか、という居心地悪さもあった。
男の人は口だけやいのやいの言うけど、実際にケアしてるのは女性。
masaakib

masaakibの感想・評価

3.9
人の死が近づいてきて、死が訪れて、親族内の人間関係に変化が芽生えてくるような特殊な時間を、よくとらえることができたものだなと。
t

tの感想・評価

3.8

このレビューはネタバレを含みます

@filmex
寝込む前のファンさんが部屋で直立している→ヤカンの沸騰する音→気付かず立ち尽くす→家族が慌てて止めるというワンカットでアルツハイマーを表象するとこが素晴らしい。
その後は延々と続くファンさんの顔面アップショット、謎の雷魚捕獲シークエンスで眠気を誘うのだが、惰性化していく死の危機という意味で面白かった(不謹慎?)。家族に看取られて死ぬというのが幸せと言われるがこの家族のように半分見世物のように扱われていくのが本当に幸せなのだろうか…
「fashion」の文字とおっさん達の露わにされた腹が光る。
なやら

なやらの感想・評価

3.3
微妙……死にゆくファンさんにフォーカスしたメインパートが結構つまらない。それまで散々顔を映しておきながら、臨終間際のファンさんをあえて撮らない(親族の女が被っちゃってて見えない)のもまあ敢えてなのだろうが謎。
ワンビンもこれだけではマズいと思ったのか、結構な尺取ってファンさんの親族が密漁(?)に精を出すシーンを並行して描いてる。
そっちはちょっと面白かったが、もはや別の映画じゃねえかって感じ。
ボートで漁するおっさんが、魚をすくうタモ網をオール代わりに操っていて笑えた。
常に腹部を全出しするスタイルで黒Tを着ているオヤジがいるがあれは一体何なんだ?
猫

猫の感想・評価

3.0
個々のショットは強い。漁のシーンは大好き。赤焼けた黒い夜空、懐中電灯の白い光、照らされた草の緑。

だけど全体的には王兵ワーストか。死という題材を扱った結果、演出不能な臨界点の向こう側に踏み込んでしまうことになるんだけど、それに対する自衛行為なのか、節々に作為が見られる。そりゃショットはキマるけど、カメラと被写体の距離感は全く生きて来ず。
ほし

ほしの感想・評価

5.0
誰でもない誰かとして突然現れた老婦はその直後に歯を剥き出しにし、目を見開き、横たわっている。家族の口から彼女がどうあったかはいくらか分かるが、それまでどこで何をしていた誰だったのかは明らかにならないままこの映画は終わる。言い換えれば、観客の「感情移入」の余地を一切奪い、われわれとファンさんの距離を限りなくゼロに近づけるのだ。まるで彼女はお前自身だというかのように。その宣告を引き継いだわれわれは死にゆく老人と同じく目を閉じることなど許されず、ただ静かに、時に身をよじりながら息をするほかないのである。今や矩形に映る女とわれわれは映画と観客という図式を飛び越え鏡像関係へと転じ、映画は観る者すべてをこの時空へ連れて行く。老いや病を隠蔽し、綺麗な身なりのままみな逝くことができると説いた『人生フルーツ』はここにおいて墜落すると言えよう。
やはり王兵、素晴らしい。圧巻。

王兵にしては短尺の87分。
しかし思えば、これまで集合体を対象にとらえてきたことを考えると、今回はファンさんただ一人(と家族)に目を向けた作品として、適尺だったのかもしれない。
短いと感じることはなく、十分“過ぎ行く時間”そのものを目の当たりにすることができた。

王兵の絶対的な実力は言うまでもないが、あえてその特徴をあげるなれば、被写体との関係性を極めて濃厚かつ希薄に築ける点であるに違いない。
「鉄西区」や「収容病棟」では、被写体が自分たちのパーソナルな問題も何の気なしに語ってしまう「濃厚」な人間関係を築きつつも、まるでカメラと被写体という構図を感じさせない「希薄」な存在として立ち振る舞うことができる。

今回の『ファンさん」では、その「濃厚」が極みまで達したように思える。他人が撮ることはおろか、見ることすら叶わないはずの「死」に直面することを許されているのだから。

2016年7月6日というテロップが出た直後、ファンさんがその命を終えようとする最中、王兵は少し離れた位置にカメラを据える。おそらくそこには、家族の様子をとらえたいという主体的な目的はもちろんありだろうが、それ以上に「立ち入れない」なにかがあったのだろう。しかし、家族たちは、あえて王兵のカメラに目線をやる。「そこから見える?」「もっと近くにこなくて良いの?」と今にも話しかけてきそうである。この距離感こそ、まさに王兵の絶対的な実力であり、絶妙な味わいを出している。

さらにこの作品で特筆すべきは、死に瀕した女性の「目の動き」を克明にとらえ、それを「生と死の狭間のモチーフ」として描いていることではないだろうか。作品中盤、5分以上にわたってファンさんの顔がアップで映されるシーン。直前家族が話していた昔話を聴いていたのか否か、ファンさんは少し涙を浮かべている。その奥で、彼女の目はすごいスピードで左右に動いている。なにをみているのか、なにを考えているのか。あまりに素晴らしい、まさに決定的な“何か”をとらえたカットに違いない。

最後に、この作品では、一見すると何も関係のなさそうな「魚獲り」のシーンが散りばめられている。当然「日常の演出」「家族の死と魚の死の対比」など様々な意味合いを持っているとは思うが、それ以上にやはり空気感の緩急を生み出しているのが印象的であった。
おそらく多くの観客は、魚獲りのシーンにクエスチョンマークを浮かべ、なかには寝てしまう者もいただろう。しかし、それが現実であり、日常である。うとうとして、油断してしまう。
しかし、その一寸先には、「死」が待っている。唐突に立ち上がるファンさんの呼吸音は、「呼吸」というものがもつ意味を最大限僕らに感じさせてくれる。
この緩急こそ、おそらく「死」なのだろう。

本当に素晴らしい作品であった。
王兵のなかでは、ある意味異色の作品であったが、それでも凄まじい破壊力をもっている。

是非日本公開してほしい。
というか、NHKとかが、ちゃんと放送してもっと多くの人がこの作品を観るべきだと思う。必見です。
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